Cineric Creative/NHK/Pystymets a/Point du Jour
昨年末から劇場公開され話題のドキュメンタリーではあったが、この作品から制作した23分の短編版「Instruments of a Beating Heart」が今年のアカデミー賞「短編ドキュメンタリー映画賞」にノミネートされ注目度は一気に高まった。
3月2日の授賞式では受賞は逃したものの、日本の小学校の日常を捉えたドキュメンタリーに世界中から熱い視線が集まっている。
「イギリス人の父と日本人の母を持ち、日本の公立小学校に通った山崎エマ監督は、海外生活を送る中で気づかされた“自分の強み”は“日本人ゆえ”であり、遡ればそれは、公立小学校で過ごした時間に由来するのではないかとの思いに至り、『小学校を撮りたいと思った』ところからスタートした。コロナ禍の2021年4月から1年、150日、700時間(監督の小学校滞在時間は4000時間)にわたって撮影を行った」(作品の説明文から)という。
作りごとのない普通の小学校の「日常」をありのまま捉えていて、素直に教育現場の様子が伝ってくる。授業だけではなく、みんなで掃除に取り組む姿など、学校が子どもたちの生活全般を育んでいるのだと、カメラは追う。教員たちの奮闘ぶりも、とても素敵な場面が続きそれぞれの個性が光る。
そんな小学校の日常の「どこ」に世界の注目が集まったのだろうと考えながら観ることで、私たちが当たり前だと考えていたことが実は「スゴイ」ことなのだと気付かせてもらえる。「いま、小学校を知ることは、未来の日本を考えること」という映画のメッセージを素直に受け止めた。絶賛上映中。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年3月25日号