2025年04月17日

【Bookガイド】4月の“推し本”紹介=萩山 拓(ライター)

ノンフィクション・ジャンルからチョイスした気になる本の紹介です(刊行順・販価は税別)

◆木村草太『幸福の憲法学』集英社インターナショナル新書 4/7刊 880円
「幸福の憲法学」.jpg 日本国憲法は国民の「幸福を追求する権利」を保障する。しかし、幸福とは個人が自ら追求するものであり、外部から与えられるものではない。では、憲法は幸福に対して、どのような姿勢をとっているのか。気鋭の憲法学者が、同性婚やプライバシー権、選択的夫婦別姓などに絡む問題を、憲法に書かれた言葉と向き合い解きほぐしていく。
 著者は1980年神奈川県生まれ。憲法学者、東京都立大学教授。著書に『憲法という希望』(講談社現代新書)、『憲法』(東京大学出版会)など。
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◆藤原帰一『世界の炎上─戦争・独裁・帝国』朝日新書 4/11刊 900円
「世界の炎上」.jpg 第2期トランプ政権に戦々恐々とする各国指導者たち。世界各国に一方的な関税を強いるだけでなく、ガザ「所有」やカナダ、メキシコに経済的脅しをかけるなど、トランプ氏の論理は「強者の支配と弱者の従属」でしかない。同盟国をはじめ、日本を含む国際秩序はどう構築されるのか。不確実さに覆われた世界を国際政治学者が読み解く。『朝日新聞』のコラム「時事小言」に執筆してきた文章を再構成してまとめた時宜にかなう新書。
 著者は日本の政治学者。順天堂大学特任教授、東京大学未来ビジョン研究センター客員教授。
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◆飯田一史『町の本屋はいかにしてつぶれてきたか─知られざる戦後書店抗争史』平凡社新書 4/17刊 1200円
「町の本屋は…」.jpg 出版社・取次・書店をめぐる出版流通の基本構造を整理した上で、戦後の書店が歩んだ闘争の歴史をテーマごとにたどる。公正取引委員会との攻防、郊外型複合書店からモール内大型書店への移り変わり、鉄道会社系書店の登場、図書館での新刊書籍の貸出、ネット書店の台頭――。膨大なデータの分析から、書店が直面してきた苦境と、それに抗い続けた闘争の歴史が見えてくる。「書店がつぶれていく」という問題の根幹を明らかにする一冊。
 著者は1982年青森県生まれ。中央大学卒。出版社の編集者を経てフリーライターとして独立。著書に『いま、子どもの本が売れる理由』『ウェブ小説の衝撃』(筑摩書房)など。
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◆大鶴倫宣『ニッポン縦断 ほろ酔い鉄道紀行』イカロス出版 4/22刊 2000円
「ほろ酔い鉄道紀行」.jpg NHK<六角精児の呑み鉄本線・日本旅>が高視聴率を挙げている。そこには鉄道の旅に潜む楽しさ、魅力があふれているからだろう。せっかく遠くへテツ旅するなら、それだけで帰ってくるのはもったいない。行った先にはさまざまな美味しいもの、旨いお酒がたくさんある。それを味わってこそ、撮る絵柄にもその地域の優しさや厳しさがおのずと表れる。撮って楽しめ乗って極楽、食べて美味しく呑んでホロ酔いな、極上の呑み鉄の旅を紹介する一冊。
 著者は1974年福岡県生まれ。立命館大学卒業。会社員を経て、2006年よりフリーカメラマン。鉄道と料理を中心にキャリアを重ねる。隔月刊『旅と鉄道』(イカロス出版)で「鉄道美食旅」を連載中。
 
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◆いとうせいこう『「国境なき医師団」をそれでも見に行く─戦争とバングラデシュ編』講談社 4/24刊 1800円
「国境なき医師団」.jpg マルチクリエイターとして幅広く活動する著者が、「国境なき医師団」に同行して、世界各地の活動現場を訪ねる、『「国境なき医師団」を見に行く』シリーズの最新版! 世界で戦争が続く時代、いっそう困難を増す人道支援の最前線を、バングラデシュにあるアジア最大のロヒンギャ難民キャンプからレポート。作家の目がとらえた世界のリアルと、日本へのメッセージ。群像WEBの好評連載を書籍化。改めて著者の目線の鋭さに気づかされる。
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◆前川貴行『ボノボ─最後の類人猿』新日本出版社 4/24刊 1900円
「ボノボ」.jpg アフリカ・コンゴ盆地の熱帯雨林だけに棲むボノボ。新種と認められてから100年も満たない。最後の類人猿と呼ばれる理由だ。密林の奥深く、平和でおだやかな暮らしを営んでいるようだ。いまだ謎に満ちたボノボの生態を紹介する日本初の写真絵本。子供さんと一緒に頁をめくって、ボノボの表情など味わってほしい。、
 著者は1969年東京都生まれ。動物写真家。97年より動物写真家・田中光常氏の助手をつとめ、2000年からフリーの動物写真家として活動。著書に『オランウータン 森のさとりびと』、『火の山にすむゴリラ』などがある。
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◆萩原 健『ガザ、戦下の人道医療援助』ホーム社 4/25刊 2000円
「ガザ、戦下の人道医療援助」.jpg 国境なき医師団(MSF)の緊急対応コーディネーターを務める著者が、戦時下のガザで、人道医療援助活動に携わった6週間の貴重な記録を公開。至近距離での空爆、戦車による砲撃、繰り返される退避要求……。集団的懲罰のような状況の中、必死で医療に携わり、少しでも多くの命を救おうとする人々や、疲弊しながらも希望を失わないガザの住民や子どもたちの姿。活動責任者として、スタッフの安全を確保しつつ、地域住民との交渉などにも奔走する著者が、さまざまな背景も交えながら、戦下のガザの現実を活写する。
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posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | おすすめ本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする