2008年08月28日

NGOメンバーの死と<不朽の自由作戦>=OEF

 アフガニスタンで日本のNGO「ペシャワール会」で活動してきた伊藤和也さんが誘拐され、遺体で発見された事件について、アフガニスタンの外務省は27日、犯行を強く非難する声明を発表し、こうした状況に屈することなくアフガニスタンへの支援を継続するよう訴えた。(→NHK)
 また、町村官房長官は28日、こうした非道な行為に対して強い憤りを感じるとしつつ、今回NGOから犠牲者がでたのであればあるほど、この「テロとの戦い」に日本が引き続き積極的にコミットしていくなどとして、インド洋での海上自衛隊による給油活動の延長を目指すべきとする考えを明らかにした。(→FNN、NHK)。これには与党内部からも異論が出ているというが、福田政権の既定方針であることは間違いないだろう。(JCJふらっしゅ「Y記者のニュースの検証)」)


 農業や医療・教育など幅広い分野で国土の再建に貢献し、日本とアフガンとの懸け橋としての役割を果たしているNGOの活動に、心からの敬意と感謝の意をこの機会にあらためて表しておきたい。

 きょう(28日)の北海道新聞社説が書いているように、「ペシャワール会」は、20年余りの地道な取り組みで住民と信頼関係を築き、日本人NGOの代表的存在として知名度も高い。毎日新聞社説が書いているように、同会は日本政府の資金を受けず、2万人の会員と年3億円の募金で活動を支えてきた。そして沖縄タイムスが書いているように、02年に沖縄平和賞も受賞し、その活動は国内外で高く評価されている。

 西日本新聞社説は、「紛争がやまない土地で、私たちは戦争をしない国、日本の人間であるということで守られてきた」「それが、日本が米国のアフガン戦争支援に自衛隊を派遣して以来、怪しくなってきた」との中村医師が最近語ってきた言葉を紹介し、(今回の事件が)日本人を標的にした犯行だとすれば、身の安全が「怪しくなってきた」>という中村医師の懸念が不幸にも現実になってしまった、と記した。

 日本は、01年以来、ブッシュ政権の「対テロ戦争」の一環である<不朽の自由作戦>に参画してきた。作戦の後方支援として海上自衛隊をインド洋に派遣し、洋上給油活動を続けてきた。世論の圧倒的な批判、反対の声を衆院の数の力で押し切り、ブッシュの戦争に与してきた。それが小泉―安倍自公政権がこれまでとってきた道であり、福田政権はそれを根本的に見直そうともしていない。

 小泉―安倍時代のように、この犠牲を「自己責任」と指を突きつけて、政府の方針に従えと強要するような時代からみれば、自公政権もずいぶん変わったといえなくもないが、その先鋒に立っていた町村氏は、やはり自公政権がブッシュの戦争への追従姿勢を崩していないことを表明する係として、今朝の記者会見で「テロと戦い」の継続の重要性を強調し、給油活動の延長をすべしと主張して見せたわけである。

 この政権も、昨年夏の参院惨敗以降、態度だけはかつての傲慢、強引さを矯めてはいるが、本質はなにもかわっていないのである。

 「ペシャワール会」は、毎日新聞社説が紹介しているように、紛争がやまない土地で、戦争をしない国・日本の人間として、医療だけでなく「農村の復興こそ再建の基礎」と農民支援に力を入れ、干ばつ被害のアフガンで、食料を届け、井戸を掘り、農業用水路を作った。そして緑が戻り、避難民も帰ってきた。
 地道な苦闘を担いながら、アフガンの人々と共にいき、支えようとする活動は、同じ自公政権がブッシュの<不朽の自由作戦>=OEFに自衛隊を投入したことで、徐々に安全と信頼が「怪しくなってきた」。

 22日にはアフガニスタン西部ヘラートで、米軍主導の多国籍軍による空爆が行われ、女性や子どもを中心とした民間人90人以上が死亡した。多国籍軍側は、武装勢力の戦闘員30人が死亡したのみと主張に食い違いをみせていたが、カルザイ大統領が調査を指示、爆撃の規模は大きく、多数の家屋が破壊されており、女性や子ども、高齢者など90人以上の非戦闘員が死亡していたことがわかった(AFP)。

 規模からいっても経緯からいっても「誤爆」で片付けられる内容ではない。アフガニスタン内閣は、民間人への空爆の中止、不法な拘束、一方的な家宅捜索などについて駐留多国籍軍の地位見直しを求めることを決めたところであった。

 伊藤和也さんの遺体には頭部と足部に銃撃の痕があった。誘拐グループのうち二人が逮捕されており、伊藤さんの死亡を逮捕されたメンバーが認めていたとの情報もある。それでもまだ、銃撃は誘拐グループの手によるものか、誘拐グループと追跡者のあいだに起きた銃撃戦によるものかはまだ明らかにされていない。

 神戸新聞社説が指摘するように、アフガン国内の混乱には、「隣国パキスタンの政局がタリバンの動きを活発化させている側面もある。さらに、生活が一向に改善されないことへの国民の不満もくすぶる。復興の進まない農村部ではケシ栽培が広がり、タリバン勢力の伸長を招いている」状況もある。
 また信濃毎日新聞社説が触れているように、「干ばつで食料自給率が大きく落ち込み、飢えが深刻な問題にもなっている。物価は上昇し、人びとの困窮は深まる一方」という状況もある。

 ケシ栽培については、AFPが27日、国連薬物犯罪事務所の事務局長の発言として、アフガニスタンのアヘン生産者は、自由にケシの栽培を行うことができる状況を維持するため、栽培地域を不安定な状態にとどめようと、タリバンに毎年およそ3億ドル(約330億円)の資金提供をしていることなどを伝えている。

 グループの一員は地元の人間であることも判明しているようで、犯行をめぐって内部で食い違いがあった可能性なども漏れ伝わっていた。信濃毎日新聞社説が、「ペシャワール会は、アフガン一帯で医療のほか、水源確保事業や農業支援など幅広い活動を行ってきた。現地での伊藤さんの信頼も厚かった。そうした点も踏まえれば、解放の望みもあった。肉親や関係者を含めて、多くの人びとの思いを裏切る、やり切れない結末になってしまった」と肩を落とすのも無理はない。

 伊藤さんは農業短大を卒業後、03年からアフガン復興に農業技術を役立てようと現地で活動を廃止、英語に堪能なだけでなく現地の言葉も習得し、村人や子どもからも慕われていたという(熊本日日新聞)。武装グループに連れ去られた後の捜索には、地元有力者や住民ら千人以上が加わった、いかに住民から信頼されていたかが分かると東京新聞社説は紹介している。

 どうだろうか。ブッシュや大国、強国のいう「対テロ戦争」。その組織の実態は、あまりに悲惨な生活に密着しており、貧困と犯罪の蔓延する地域の状況のなかから発生していることに私たちはいやがおうでも気づかされるのではないだろうか。そして、そこに生きる人々がどれほど伊藤さんたちの活動に人生を寄せ、期待と希望を寄せる状況にあることもわかる。同時に、そうしたなかで、米軍を中心とした多国籍軍の民間人殺傷に傷つき、怒り、憎悪を膨らませ、外国人の排斥を決意しようとするかも、想像がつく。

 ブッシュの「対テロ戦争」が、テロをさらに増大させ、活発化させる。民間人の犠牲が増えれば増えるほどタリバンが勢いを増す。外国軍の攻撃がタリバンに戦闘の口実を与え、暴力が暴力を生む負の連鎖がやまない。――下に列挙したように、各紙社説が指摘するとおりなのである。

 神戸新聞社説は、「空爆に巻き込まれて民間人が死亡するケースも多く、駐留外国軍に対して憎悪の感情が高まっているとされる。外国人の拉致事件も多発しており、今月13日には援助団体の女性3人が襲われ、殺害された」ことを挙げている。過去2週間のうちに殺された支援従事者としては4人目なのである(Radio australia)。そして日本はものの見事に、<不朽の自由作戦>=OEF参加国なのである。

 朝日新聞社説がいうように、「紛争地の人道援助NGOは、どの武装勢力からも中立的な立場を取ろうとする。なのに、なぜ襲われたのだろうか」。
 そして東京新聞社説がいうように、「援助の手を引けば、武装勢力のはびこる国に戻りかねない」。

 伊藤さんがアフガニスタンに旅立つとき両親と話し合った言葉を、沖縄タイムス社説が紹介している。

「農業の知識を生かし、アフガニスタンの子どもたちが食べ物に困らないよう力になりたい」

 治安が心配で両親はしぶったが、その場の浮ついたものでないことを知って伊藤さんを送り出したという。

 こうしたNGOメンバーの決意の反対側で、アフガニスタン国民の中には「インド洋での海上自衛隊による給油活動や自衛隊の本土派遣検討に対しては、反日感情が生まれている」(熊本日日新聞)ようなのであり、「ここまでの経緯を見ると、政府の対応は心もとない。混乱の中とはいえ情勢の把握に手間取り、一時は誤った解放情報に振り回された。アフガン当局に情報を頼り切り、独自の確認手段を開拓してこなかった実態をさらけだしたと言える」(北海道新聞)。

 沖縄タイムス社説がいうように、「高い志をもったボランティアの民生活動が、どれほど日本のイメージを良くし、国際貢献に役立ってきたか」を、いまここであらためて想起したいと思う。
 そしてその国の民衆を救わねばならないはずの「先進国からやってきた人間」が、「タリバン」と「民衆」の区別がつかなくなっている。いまやるべき救出の手立てをNGOに依存し、ブッシュの掲げる「対テロ戦争」というビジネス行為の尖兵として兵士たちが戦場に投入され、生活地域を戦場と化していく。

 武器を捨て、一人ずつ一人ずつの命を慈しみ、この悪循環に一日でも早く終止符を打とうと世界が力を合わせることこそ、伊藤さんの願いであろう。私たちはそのことを忘れるわけにはいかない。

 事態をずるずると泥沼へと引きずるだけの<不朽の自由作戦>=OEFを、そしてそれに連なるインド洋での自衛艦の給油活動を、いまこそ私たちは根本から見直さねばならないだろう。

 なくなられた伊藤和也さんのこれまでのご苦労とご活躍に、心からの感謝と敬意とを捧げたい。

<以下、28日付各紙社説メモ>

◎ペシャワール会について

■ペシャワール会は福岡市に事務局があり、中村哲医師が現地代表。パキスタンでの医療活動を支援する目的で結成され、パキスタンやアフガニスタンで医療事業を続け、難民への緊急食料援助や水源確保事業なども実施している。中村医師が「アジアのノーベル賞」といわれるマグサイサイ賞を受賞するなど国際的にも高い評価を受け、地元住民からも尊敬を集めていた。(熊本日日新聞)
■「ペシャワール会はアフガニスタンで医療活動を行う一方、井戸を掘り、かんがい設備を整えて農業指導や食料支援にも力を入れてきた。二十年余りの地道な取り組みで住民と信頼関係を築き、日本人NGOの代表的存在として知名度も高い」。 (北海道新聞)
■ペシャワール会は日本政府の資金を受けず、2万人の会員と年3億円の募金で活動を支えてきた。(毎日新聞)
■「ペシャワール会」は〇二年に沖縄平和賞も受賞している。その活動は国内外で高く評価されていた。(沖縄タイムス)
■医療だけでなく「農村の復興こそ再建の基礎」と農民支援に力を入れる。干ばつ被害のアフガンで、食料を届け、井戸を掘り、農業用水路を作った。緑が戻り、避難民も帰ってきた。(毎日新聞)

◎ペシャワール会の考え方、状況認識

■ペシャワール会現地代表の医師、中村哲さんは昨年、一時帰国した際「みんなが行く時は、行く必要はない。そこに必要性がありながら、だれもやらない場所で我々は活動する」と活動の原則を語っていた。(毎日新聞)
■「紛争がやまない土地で、私たちは戦争をしない国、日本の人間であるということで守られてきた」「それが、日本が米国のアフガン戦争支援に自衛隊を派遣して以来、怪しくなってきた」(西日本新聞、中村医師の言葉)
■日本人を標的にした犯行だとすれば、身の安全が「怪しくなってきた」という中村医師の懸念が不幸にも現実になってしまった。(西日本新聞)

◎伊藤和也さんについて

■伊藤さんも静岡県立農業短大を卒業、〇三年から農業技術をアフガン復興に役立てようと現地で活動していた。英語に堪能で、現地の言葉も習得し、村人や子どもからも慕われていた。しかし、武力紛争が行われている地域でNGO活動を同時並行的に行うことの難しさも次第に強まっていたという。(熊本日日新聞)
■アフガニスタンに行くとき、伊藤さんは両親と話し合っている。「農業の知識を生かし、アフガニスタンの子どもたちが食べ物に困らないよう力になりたい」。治安が心配で両親はしぶったが、その場の浮ついたものでないことを知って息子を送り出した。「本人の意志が固くて真剣だったので送り出したんです」と父親の正之さんは言う。(沖縄タイムス)
■伊藤さんは、現地のパシュトゥー語をマスターし、民族服を着て、住民と一緒にコメやサツマイモを栽培してきたという。二十六日に武装グループに連れ去られた後の捜索には、地元有力者や住民ら千人以上が加わった。いかに住民から信頼されていたかが分かる。(東京新聞)
■拉致された伊藤さんたちを奪い返すため、大勢の村人たちが捜索に加わったと伝えられる。厚い信頼と友情がはぐくまれていたのだろう。 (朝日新聞)

◎アフガンの状況

■米国防総省は今年6月、米議会への報告でタリバンや連携する武装勢力の目標を、アフガンから外国軍隊を追放し、支配地域から外国政府の影響力を排除することと分析した。タリバンは外国への憎しみが強い。NGOや民間人であっても外国人を狙っている。(毎日新聞)
■アフガニスタンは2001年の「9.11テロ」の犯行グループである国際テロ組織アルカイダを支援していたタリバン政権が米英軍に攻撃され崩壊した。その後、
選挙に基づく新政権が発足し国際社会の支援で復興体制が整い、米軍を中心にした多国籍軍によるテロ組織掃討作戦も始まった。日本も01年以来、作戦の後方支援として海上自衛隊を派遣し、洋上給油活動を続けている。ここ数年、タリバンは反米イスラム過激派勢力と組んで政府軍や多国籍軍との戦闘や爆弾テロを繰り返し、アフガンの治安は極度に悪化している。(西日本新聞)
■干ばつで食料自給率が大きく落ち込み、飢えが深刻な問題にもなっている。物価は上昇し、人びとの困窮は深まる一方だ。(信濃毎日新聞)
■国内の混乱には、隣国パキスタンの政局がタリバンの動きを活発化させている側面もある。さらに、生活が一向に改善されないことへの国民の不満もくすぶる。復興の進まない農村部ではケシ栽培が広がり、タリバン勢力の伸長を招いている。(神戸新聞)
■欧米など各国は、復興支援の一方、国際治安支援部隊(ISAF)によるタリバン掃討作戦を強めている。米軍の誤爆などで民間人の死亡者も増える状況にある。(信濃毎日新聞)
■対抗する米軍などの攻撃激化で巻き添えとなり、誤爆などによって犠牲になる民間人が増えている。それが治安悪化に拍車をかけ、テロ活動を活発化させているのが実情だ。(北海道新聞)
■米軍を中心とする多国籍軍の軍事行動にもかかわらず、アフガンの状況は悪化するばかりである。民間人の犠牲が増えれば増えるほどタリバンが勢いを増す、とも伝えられている。(沖縄タイムス)
■外国軍の攻撃がタリバンに戦闘の口実を与える−。暴力が暴力を生む負の連鎖がやまない。(信濃毎日新聞)
■アフガンでは、タリバン残存勢力が攻勢を強め、今年に入って治安は急速に悪化している。七月にはインド大使館前での自爆テロで四十一人が亡くなった。国際治安支援部隊(ISAF)と武装勢力の戦闘も激しくなり、最近では、米兵九人、フランス兵十人が相次いで死亡した。
 空爆に巻き込まれて民間人が死亡するケースも多く、駐留外国軍に対して憎悪の感情が高まっているとされる。外国人の拉致事件も多発しており、今月十三日には援助団体の女性三人が襲われ、殺害された。(神戸新聞)
■インド洋での海上自衛隊による給油活動や自衛隊の本土派遣検討に対しては、アフガニスタン国民の中にも反日感情が生まれているようだ。(熊本日日新聞)
■伊藤さん拉致・殺害事件は、戦火と干ばつと治安悪化に苦しむアフガンの厳しい現状を浮き彫りにした。(沖縄タイムス)
■今回の事件は、アフガン国内の今も続く混乱ぶり、人心の荒廃を映しだしたといえる。(神戸新聞)
■今回の事件は、アフガン混迷の根深さとともに、復興支援の難しさをも浮き彫りにした。(信濃毎日新聞)

◎アフガンで活動する日本のNGO

■高い志をもったボランティアの民生活動が、どれほど日本のイメージを良くし、国際貢献に役立ってきたか、をあらためて思う。(沖縄タイムス)
■現地では今もペシャワール会のほかに日本のNGO七団体が活動中だ。農業や医療・教育など幅広い分野で国土の再建に貢献し、日本とアフガンとの懸け橋になってきた。(北海道新聞)
■紛争地の人道援助NGOは、どの武装勢力からも中立的な立場を取ろうとする。なのに、なぜ襲われたのだろうか。 (朝日新聞)
■残念なことに、日本のNGOにも拠点をパキスタンに移す団体が増えている。こうした動きが、復興の停滞につながらないか、懸念される。(神戸新聞)
■紛争地での活動は、常に危険と隣り合わせだ。それだけに、民生支援に入るNGOは現地の事情や治安情勢を入念に把握し、住民との信頼関係を築くことで身の安全を確保する。ペシャワール会はその点で長い実績があっただけに、それでも完全な安全はあり得ないことを改めて実感させられる。(朝日新聞)
■アフガンでは同会を含めNGO八団体が活動している。安全確保のため活動の見直しは避けられない。それでも同会の幹部は二十七日、「活動は続けたい」と語った。援助の手を引けば、武装勢力のはびこる国に戻りかねない。(東京新聞)
■アフガンではペシャワール会をはじめ、10近くの日本のNGOや国際協力機構(JICA)が活動している。事業継続のためには、要員の一時退避もやむをえま
 い。悲しみを乗り越え、出来る範囲でねばり強く活動を続ける。それが伊藤さんたちの志を生かす道だ。(朝日新聞)

◎日本政府の対応

■日本も01年以来、作戦の後方支援として海上自衛隊を派遣し、洋上給油活動を続 けている。(西日本新聞)
■インド洋での海上自衛隊による給油活動や自衛隊の本土派遣検討に対しては、アフガニスタン国民の中にも反日感情が生まれているようだ。(熊本日日新聞)
■ここまでの経緯を見ると、政府の対応は心もとない。混乱の中とはいえ情勢の把握に手間取り、一時は誤った解放情報に振り回された。アフガン当局に情報を頼り切り、独自の確認手段を開拓してこなかった実態をさらけだしたと言える。(北海道新聞)

◎今後について

■戦火の広がりにより各団体が活動の縮小を余儀なくされている中で、深刻な影響を受けるのは必至だ。実績を積み上げてきた事業が見直しを迫られるのは、残念なことだ。(北海道新聞)
■道のりは険しいが、貧困が治安悪化を生む連鎖を断ち切らなければならない。それには、生活再建につながる支援こそが大切だといえる。今回の事件を乗り越え、活動を継続させる必要がある。(神戸新聞)
■スタッフの安全を確保しながら、支援活動をどういう形で続けるか。世界各地で活動する日本のNGOは常に判断を迫られる。現地の事情にあわせた柔軟な方法を見つけてほしい。(毎日新聞)


日本人殺害 NGOの安全策を図れ(北海道新聞28日付社説)
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/114336.html
中村医師の懸念が現実に 拉致 遺体発見(西日本新聞28日付社説)
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/43990?c=181
アフガン邦人殺害 無政府状態の進行を許すな(熊本日日新聞28日付社説)
http://kumanichi.com/syasetsu/kiji/20080828001.shtml
[伊藤さん遺体発見]治安悪化で支援困難に(沖縄タイムス28日付社説)
http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20080828.html#no_1
アフガン拉致/理不尽すぎる支援者の死(神戸新聞28日付社説)
http://www.kobe-np.co.jp/shasetsu/0001385232.shtml
邦人拉致 日本の国際貢献に打撃(東京新聞28日付社説)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2008082802000122.html
アフガン拉致 善意を阻んだ暴力を憎む(毎日新聞28日付社説)
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/
伊藤さん遺体で やりきれなさが募る(信濃毎日新聞28日付社説)
http://www.shinmai.co.jp/news/20080828/KT080827ETI090012000022.htm
アフガン拉致―青年の志を無にしない(朝日新聞28日付社説)
http://www.asahi.com/paper/editorial.html


<関連報道及び関連情報サイト>
アフガン日本人拉致殺害事件 町村官房長官「このテロとの戦いに引き続きコミット」
(FNN)
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00139455.html
アフガン復興支援 対応策検討(NHK)
http://www3.nhk.or.jp/news/k10013753361000.html
計画的に外国人を狙ったか(NHK)
http://www3.nhk.or.jp/news/t10013753271000.html
アフガニスタン本土及びインド洋における「不朽の自由作戦」(OEF)死者
(iCasualties.org: Operation Enduring Freedom )
http://icasualties.org/OEF/Default.aspx
Afghan officials find body of Japanese aid worker
http://www.radioaustralia.net.au/news/stories/200808/s2348369.htm?tab=latest

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JCJふらっしゅ
Y記者の「ニュースの検証」=小鷲順造
http://archive.mag2.com/0000102032/index.html
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想像しよう。世界から貧困と差別と人権侵害と憎悪と武力による人間の支配がなくなったその日を。平和主義に徹し、日本国憲法を遵守し、世界の平和な姿を実現していく人材であふれた日本の姿を。国民の生存権を守り、海外戦地に自衛隊を派遣せず、後期高齢者医療制度が廃止された日本を。真に市民による市民のためのメディアの誕生と発展を。想像できればそれは必ず実現できる。みんなが想像しているのだから、実現できない理由をみつけるほうが困難なのは当然のことではないか。

posted by JCJ at 18:35 | TrackBack(0) | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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