2010年02月22日

普天間問題と米軍グアム統合計画「メディアはいつ眠りから醒めるのか」=梅田 正己

 現在、マスコミ9条のホームページの冒頭には、防衛省が作成した在沖米海兵隊のグアム移転について」 というレポートが転載されている。たいへん興味深く重要な情報だ。

<資料>米海兵隊のグアム移転について(防衛省グアム移転事業室 平成21年8月)

 しかしその重大さを正確につかみ取るためには、もう一つの重要な情報を知ることが必要だ。以下、その 「もう一つの重要な情報」 についてお知らせしたい。

◆普天間問題と海兵隊グアム移転に関する日米交渉の経過

  「世にも不思議な物語」。これは、戦後史に残る謀略事件・松川事件を評した作家・宇野浩二のことばとして知られる。ところが今、 その松川に劣らぬ、いやそれよりもずっとスケールの大きな「世にも不思議な物語」が進行中なのである。 沖縄の普天間基地移設をめぐる問題である。

 普天間基地の移設先を、鳩山首相は5月中に決定、この問題に決着をつけると言明した。できなければ、退陣という事態もあり得る。 ところが実は、米軍はすでに沖縄の海兵隊は、普天間の航空隊も含め、グアムへ移すと決めて、その準備を着々とすすめているのだ。まさか!  と思われるだろうが、事実である。

 沖縄の海兵隊の一部がグアムに移転することは、 日本でも周知のことである。それは2005年10月、日米双方の外務・ 防衛大臣による協議(2+2)できまった。「日米同盟:未来のための再編と変革」 と題する合意である。
 この中で、 日本政府は、 辺野古沿岸から大浦湾にかけ長さ1,800メートルの滑走路をもつL字型の「普天間代替施設」 を設置することを約束、その実現を条件に、在沖海兵隊員の約7,000名とその家族をグアムへ移転させることが決まった。
 この合意を受け、翌06年5月、同じく2+2で「再編実施のためのロードマップ」に合意する。
 その中で、辺野古に新設する代替施設には、1,800メートルの滑走路を2本、V字型に配置することになり、これの実現を条件に、 沖縄の海兵隊は「約8,000名の要員と、その家族9,000名は、部隊の一体性を維持するような形で2014年までにグアムに移転する」 (下線は筆者、以下同じ)となった。
 そしてこの海兵隊グアム移転のための「施設およびインフラの整備」の費用、約103億ドルのうち、日本は約61億ドル(6割) を負担することとなった。
 このあと、「ロードマップ」を実行するため、日本政府は07年8月、「駐留軍等(米軍のことだ!)の再編の円滑な実施に関する特別措置法」 を施行、米国への資金提供の準備をととのえてきた。
 
◆グアムに移転するのは司令部要員だけではない

 以上が、普天間基地問題と海兵隊のグアム移転に関する日米交渉の経過である。これだけを見れば、交渉内容に問題はあっても、 経過についてはとくに疑問はない。これのどこが「世にも不思議な物語」か、ということになろう。ところが、 移転する海兵隊隊員の内訳を見てみると、大きな「?」が浮かんでくる。「ロードマップ」には、 グアムに移転する海兵隊員については次のように書かれている。

 「移転する部隊は、第3海兵機動展開部隊の指揮部隊、第3海兵師団司令部、第3海兵後方群司令部、第1海兵航空団司令部、 及び第12海兵連隊司令部を含む」

 これを読めば、だれもがグアムへ移転するのは「指揮部隊と司令部」要員だと思うだろう。ところが、沖縄に駐留する海兵隊員の数は、 昨年9月の時点で1万2,000人である(沖縄県基地対策課)。
 全海兵隊員1万2,000のうち、司令部要員が8,000を占めるなどということがあるだろうか? 軍事のシロウトでも、 そんな軍隊があるはずはないことがわかるだろう。

 誤魔化しは、先の引用文の文末にある。それは 「……司令部を含む」となっていた。全部が司令部要員というのではなく、「を含む」、 つまり司令部だけでなく他の実戦部隊や後方支援(兵站)部隊も移転するということを、言外に述べているわけだ。そのことは、 この引用文のすぐ前にあった、これも先に引用した文章の中にあった。

 「8,000名の(海兵隊)要員は、部隊の一体性を維持するような形で……移転する」

 一般に軍隊は、司令部、実戦部隊、後方支援部隊の3つの要素から成り立つが、強襲揚陸をはじめとする海兵隊の作戦行動は、 陸上部隊が航空部隊(とくにヘリ部隊)や海軍(隊員を輸送する)と一体となって行なうのが特徴だ。したがって、この陸・空・海、 とくに陸と空が切り離されて分散配置されることは、司令部と実戦部隊がバラバラに配置されるのと同様、とうてい考えられない。そこで、 当然のことながら、グアムへ移転する海兵隊は「部隊の一体性を維持するような形で……移転する」とされたのである。

 そしてその「一体性」の中には当然、普天間基地を拠点とする海兵航空部隊も含まれる。だから、グアムへ行く司令部要員の中に 「第1海兵航空団司令部」も含まれなければならなかったのである。
 先に述べたように、現在沖縄に駐留する海兵隊は1万2,000である(実際のところはわからない)。その3分の2に当たる8, 000人がグアムへ移転する。その中には、 普天間の航空隊の本隊が含まれる。残るのは、 わずかに4,000人である。

 この4,000人については、 「ロードマップ」はこう述べている。

 「沖縄に残る米海兵隊の兵力は、司令部、陸上、航空、戦闘支援及び基地支援能力といった海兵空地任務部隊の要素から構成される」

 つまり、3分の1の規模に縮小された海兵隊が、沖縄に残ることになる。この縮小された海兵隊のために、 辺野古と大浦湾のジュゴンとサンゴの海をつぶして、1,800メートルの滑走路2本と軍港をもつ新たな基地を造ろうとしているのである。
 日本の小泉政権と米ブッシュ政権が合意した「ロードマップ」の文面だけからでも、これだけの「?」が浮かんでくる。
 さらにその上に、日本のメディアが目をつぶってきた米軍の計画を見ると、この「ロードマップ」と連動した、しかしそれをはるかに上回る「? 」と「!」が浮上してくるのである。

(書籍編集者)

つづきを読む

(マスコミ九条の会HPより了解を得て部分転載)

つづきの内容は下記のとおりです。
下のURLをクリックしてお読みください。
http://www.masrescue9.jp/press/umeda/umeda.html

 ◆着々と進んできた米軍の 「グアム統合計画」
 ◆グアムへ行くのは沖縄海兵隊と原子力空母、 陸軍ミサイル防衛隊
 ◆沖縄からの海兵航空隊はアンダーセン空軍基地へ
 ◆吉田健正著 『米軍のグアム統合計画 沖縄の海兵隊はグアムへ行く』
  四六判・160ページ・ 1260円(税込)・高文研発行
 (03−3295−3415)

◆関連集会情報 03・20 マスコミ九条の会「普天間問題」のウラに隠された真実
http://jcj-daily.seesaa.net/article/141806411.html

 

posted by JCJ at 02:16 | TrackBack(0) | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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