2010年11月21日

マスコミ気象台

◇控訴審でも朝日新聞が勝訴
 東京地検特捜部が2005年に摘発した旧カネボウの粉飾決算事件の朝日新聞報道をめぐる名誉棄損訴訟の控訴審で、東京高裁は28日、 原告の伊藤淳二・同社元会長の控訴を棄却する判決を言い渡した。一審に続いて朝日新聞社側が勝訴した。問題とされたのは、 05年8月1〜18日の朝刊と夕刊に掲載された「カネボウと裏金 60年代から」「粉飾 70年頃から」「粉飾生んだ保身と『愛社』」 など5本の記事。元会長は「裏金作りや粉飾決算が行われ、自分が深く関与したとの謝った印象を与える」などと主張していた。判決は、 「真実と信じたことに相当の理由がある」と述べ、名誉棄損の不法行為は成立しないと判断した。(「朝日」10月29日付)

 

◇中田・前市長側が勝訴
 「週刊現代」の記事で名誉を傷つけられたとして中田宏・前横浜市長が、発行元の講談社に5500万円の損害賠償などを求めた訴訟で、 東京地裁は29日、請求を一部認めて550万円の支払いと謝罪広告の掲載を同社に命じる判決を言い渡した。大段亨裁判長は 「裏付け取材はほとんど行われていない」と述べた。講談社側は控訴する方針。問題となったのは、「中田宏の『公金横領疑惑』と『黒い人脈』 などと題する3本の記事」。(「朝日」10月30日付ほか)

◇日本繊維新聞が休刊
 日本繊維新聞社は1日、同日付で日刊紙「日本繊維新聞」を休刊し、営業を停止すると、自社のホームページで発表した。 近く東京地裁に自己破産を申請するという。東京商工リサーチによると、同社は1943年創業で従業員33人。 負債総額は3月末の決算ベースで5億8964万円。平日発行の同新聞は公称12万4千部だったが、実際は半分以下に落ち込んでいたという。 (「朝日」11月2日付ほか)

◇捜索情報漏えいでNHK記者停職3か月
 大相撲の野球賭博事件を巡り、NHKスポーツ部の男性記者(31)が、警視庁による家宅捜索情報を事前に時津風親方(元前頭・時津海) に伝えていた問題で、NHKの福地茂雄会長は2日「公共放送の信頼を大きく傷つけた」として記者を停職3カ月の懲戒処分にすると発表した。 処分は9日付。復職後も記者職には就けないという。(「毎日」11月3日付ほか)

◇TBS除くキー局増益
 民放キー局5社の2010年9月中間決算が4日出そろい、フジ、日本テレビ、テレビ朝日の3社が増収増益だった。番組と番組の間に流す 「スポットCM」を中心に広告収入が回復。番組制作費などの削減の効果も出た。 TBSホールディングスの9月中間決算は2期連続の純損失となった。TBSを除く4キー局は本業の放送広告収入が増収となった。(「朝日」 11月5日付ほか)

◇英紙の国際報道、30年で4割減る
 英国の新聞が伝える国際ニュースが過去30年で40%減り、報道姿勢が「内向き」になっているとの調査報告を英民間非営利団体「メディア・ スタンダード・トラスト」が2日まとめた。同報告は、報道が世界の視点を欠くことで 「英有権者がアジアや南米の新興国の台頭といった地球規模の変化を理解することを妨げ、島国根性を強める」と指摘している。 報告は英紙ガーディアンはじめ高級紙、大衆紙の計4紙を1979年から10年ごとに分析。 79年には一週間で4紙合わせ502本を数えた国際ニュースが、2009年には308本へと大幅に減ったという。(「東京」11月5日付)

◇朝日記者を脅迫、有罪
 朝日新聞の阪神支局襲撃事件を引き合いに出した脅迫文が朝日新聞記者に送りつけられた事件で、脅迫罪に問われた東京都足立区、 医師本間隆行被告(56)の判決公判が4日、水戸地裁であり、小野裕信裁判官は「この事件はジャーナリズムに対するテロで未解決事件であり、 記者を脅迫するには最も卑劣なもので到底許されない」と述べ、懲役1年執行猶予3年を言い渡した。(「朝日」11月5日付ほか)

◇NHK、ネット同時配信要望
NHKの福地茂雄会長は4日の定例記者会見で、インターネットへのテレビ番組配信にNHKが本格的に乗り出す方針を明らかにした。 すでに片山善博総務相らに放送法の改正を求めているという。番組をテレビ放送と同時にネットにも流すことを視野に検討している。(「朝日」 11月5日付ほか)

posted by JCJ at 09:41 | TrackBack(0) | マスコミ気象台 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

この記事へのトラックバック