2011年02月18日

菅内閣<死に体> 支持率20%割り込み、造反<16人>は第一波に過ぎない

 民主党の衆院議員(2009年衆院選の比例代表選出の当選1、2回議員)16人が17日、会派離脱届を提出した。 菅首相派と小沢元代表派間の民主党の党内抗争は、菅首相兼民主党現代表ののどもとに、<退陣>へと続く一手が打たれたことで、 新たな局面をむかえた。
 菅内閣の支持率は各社の世論調査で20%を大きく割っており、会派離脱の理由として「無原則に政策修正を繰り返す菅政権に正当性はない」 として、衆院選マニフェストを修正し、増税路線に踏み出そうとしている菅直人首相を厳しく批判した16人の言い分は、 単に菅対小沢の文脈に留まらず、一定の説得力を有しているといえそうだ。<16人>は第一波に過ぎないだろう。

 だが枝野官房長官は18日朝、「菅総理大臣は憲法に基づいて、残り2年半余りの任期を与えられて仕事をしており、 民主党代表としても、1年半余りの任期を与えられて仕事をしている。ルールに基づいて、 与えられた任期の中で最大限の成果を挙げていくことが、憲法上もわが党の規約上も菅総理大臣・菅代表に課せられている任務だ」(NHK) と述べて、内閣総辞職や衆議院の解散・総選挙の可能性を否定している。
 また蓮舫行政刷新担当相は同日朝、小沢一郎元代表に近い衆院議員16人が会派離脱届を出し、新会派結成を表明したことには 「国民のために一番最優先しなければいけないのは予算の成立だ。誰のために仕事をしたいのかまったく理解できない」と語っている。だが、 枝野氏、蓮舫氏とも、閣僚の体面を保つための演技ではなく、本当にそう考えているのだとしたら、これも大甘の話だろう。すでに情勢は、 菅総理大臣の退陣や衆議院の解散へと急速に動き出している。
 菅首相のなし崩しの対米追従、唐突な増税路線への転換、安易なTPP開国論、リーダーシップをはきちがえた党内・ 党外含めた稚拙な政権運営の姿勢を見る限り、ずるずると政権維持に固執することのほうが、国民生活に対するダメージは膨れ上がる。

 普天間基地問題についても、鳩山前首相の「抑止力は方便」発言は無自覚な首相像をさらけだしたが、一方で、 その愚痴や言い訳の類のなかに日本の政界・官僚の壁などの現実が告発されてもいる。だが菅首相は、「(鳩山前総理の) そうした表現についても本当に問題でもありますと同時に、内容的にも私の認識とは若干違っている」と反応し、また、北沢防衛大臣も 「鳩山前総理の発言は私はなかなか理解ができない。私の人生のなかでも1、2を争うような衝撃的なことだ」と語っている。

 つまり、菅首相や北沢防衛大臣は、鳩山前首相が「抑止力は方便」発言のなかで語った「相手は沖縄というより米国だった。 最初から私自身が乗り込んでいかなきゃいけなかった。これしかあり得ないという押し込んでいく努力が必要だった」との反省の弁を、 <対米従属>の立場から軽く鼻で笑う対応をしたといえるだろう。鳩山氏が、この時期に「抑止力は方便」と語ることで、 菅政権の面々がどのような反応を示すのか、読み込み済みだった可能性もある。発言の内容はともかく、 発言の動機と思われる部分には注視しておくべきだろう。

 東京新聞は18日付社説で菅内閣の支持率の下落にふれて、<原因は、マニフェストとは相いれない増税路線への転換や、 稚拙な政権運営など首相自身の政治姿勢にある>とはっきりと指摘している。
 そして<首相は、無駄削減による財源捻出などのマニフェスト実現を簡単に諦め、 安易に見直すことへの批判には謙虚に耳を傾けるべきだ>と提言している。そのとおりだと思う。
 また、<会派離脱の動きが政権崩壊につながる可能性はあろうが、国民生活に深刻な影響を及ぼすようなことがあってはならない。 その責任は首相側に立つか、小沢氏側に立つかに関係なく、民主党議員全員が等しく負うべきものである>として、民主党そのもの、 民主党全体としての責任を問いかけている。

 17日に会派離脱届を提出した16人の民主党衆院議員の動きについて、岡田民主党幹事長は「処分しない」として、 大ごとにせずに沈静化を図る姿勢を打ち出した。多少は知恵も働くのかという側面も感じさせるものの、これも枝野、蓮舫氏などとともに、 再びくっきりとその<お子ちゃまぶり>をさらけ出している閣僚・民主党の面々と同じ部類に属する動きでしかない。 民主党の内紛は亀裂というより、そこまでひどいのかと、民主党の実態をさらけ出すに至っている。

 18日付の社説で「民主党内紛 会派離脱は筋が通らぬ」と打った毎日新聞は、<16人は発表した「宣言」で、 「菅政権は国民との約束、マニフェストを捨てた」などと激しく批判する一方、記者会見では「離党したら何の意味もない」とも語った。 民主党はマニフェストの原点に返るべきだというのだろう。ならば、その実現に努力すればいいのであって、 自分たちの主張が通らないから会派を離脱し、国会で別行動を取って揺さぶるというのでは国民の理解は得られまい。 離党した方がよほど筋が通るというものだ>と、16人の行動うを批判した。そして、<首相や岡田氏も放置しているだけでは済まない。 分派行動には厳しい処分で臨まざるを得ないだろう。党内をまとめられない首相に野党との協議など夢のまた夢だ。 もはや党分裂も覚悟して臨むほかあるまい>と、厳しい対応を取るよう迫っているが、 その文言のなかには<党内をまとめられない首相に野党との協議など夢のまた夢だ>と、菅首相に対する叱咤とも、 あるいは揶揄ともつかない手厳しい言葉を差し挟んでもいる。

 菅氏の唐突な「消費税」発言で完敗した参院選から生まれた国会の「ねじれ」状況を考えれば、 今回の党内からの<分派><造反>の動きで、すでにこの段階で菅内閣は、<投了>のときを迎えたといえるだろう。
 <安易><唐突>で<裏付け>もないまま、菅首相がリーダーシップをはきちがえたまま口にしてきたTPP開国論、基地問題の対米従属、 閣内の増税シフト等々、菅政権の面々の退場をみすえながら、日本と世界の未来について一から抜本的にとらえなおす必要が出ている。

(小鷲順造/日本ジャーナリスト会議会員)

民主、離脱届16人処分せず 執行部、沈静化図る(共同通信)
http://www.47news.jp/CN/201102/CN2011021701000452.html
官房長官 総辞職や解散を否定(NHK)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110218/t10014142101000.html
民主会派離脱届 内輪もめの余裕はない(18日付東京新聞社説)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2011021802000042.html
社説:民主党内紛 会派離脱は筋が通らぬ(18日付毎日新聞社説)
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20110218k0000m070130000c.html

posted by JCJ at 15:11 | TrackBack(0) | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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