2011年03月03日

空の安全が危ない/報道が口をつぐむ、日航整理解雇の実態=仲築間卓蔵

 昨年12月16日、日本航空のキャビンクルーユニオン(CCU)の集会に呼ばれて話をした。内容は「日本航空問題とメディア」 である。
 大会議室は満員。寒い日だったが熱気ムンムン。久しぶりに高揚感を味わった。
 日本航空労働組合と日本テレビ労働組合とのつき合いは古い。お互いに賃金昇格差別問題で共同行動をやったものである。
 当時は「千代田総行動」華やかなりし頃である。そんな中で日航労組も日テレ労組も勝利的解決をみた。だから、 日本航空問題となれば他人事ではないのである。

 歴史は繰り返すのか、いま、日テレ労組は賃金体系改悪で会社と争っている。経営側の「身勝手さ」「やりすぎ」との対決は同じである。
 日テレの賃金切り下げは、視聴者のいのち≠ノ直接関係しないが、番組の質≠ノ関わる。視聴者と無関係ではない。
 日航のベテランパイロット、客室乗務員の整理解雇は、利用者のいのち≠ニ安全≠ノ直接つながる。「ハドソン川の奇跡」 は誰もが記憶しているだろう。
 12月31日付けで解雇を強行されたパイロット、客室乗務員は、1月19日、東京地裁に提訴した。支援の輪は広がりつづけている。が、 メディアはどうか。真正面からとり上げることに及び腰である。
 2月1日のテレビ東京系「ガイアの夜明け」激動のJAL 復活の行方は≠見た。だが、主なスポンサーは日経新聞とキヤノン。
 番組は、解雇通告された客室乗務員の涙、機長を夢見ていた副操縦士の戸惑いなどで始まったが、経営破たんの責任追求はない。
 稲盛和夫会長の「経営哲学」と「意識改革」「リーダー教育」が力点である。 ロビーにいる子どもたちに制帽をかぶらせて写真を撮ってやったり、カードを配ったりしてお愛想を振りまく機長。
 機長の「JALは生まれ変わりました」という機内スピーチに感動したという投書の紹介。それを読んで涙する広報関係者と機長。
 いかに客を呼び戻すかだけに腐心する場面の積み重ねである。そこには「空の安全」という視点はない。「安全より利益」の姿勢である。  
 稲盛会長の「意識改革」方針の「独占放送」だった。
 進行役は、好感度良好俳優の江口洋介。放送された地域は北海道、東京、愛知、大阪、瀬戸内、福岡。関東圏の視聴率(ビデオリサーチ調べ) は6・3%。関東圏だけでざっと60万人が見た計算になる。怖い話である。

posted by JCJ at 17:37 | TrackBack(0) | 放送 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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