2011年04月06日

<提言>3・11後の原子力・エネルギー政策の方向性〜二度と悲劇を繰り返さないための6戦略〜=環境エネルギー政策研究所(ISEP)

 5日、環境エネルギー政策研究所(ISEP)が、東京電力福島第一原子力発電所の事故及びその出口戦略、原子力安全行政の刷新、 原子力・エネルギー政策の転換、緊急エネルギー投資戦略、今後展望すべき原発縮小と気候変動・ 低炭素社会などについてまとめた提言を発表した。今後、日本社会の歩むべき方向・道筋について、意見は種々わきおこるものと考えられるが、 提示された<議題>や<課題>については、原発に対する賛否などの姿勢にかかわらず、幅広く共有すべきものの一つと考えられる。末尾に提言者代表:飯田哲也氏の日本記者クラブでの講演映像(同日、ustream)も配置しておく。

 


2011年4月5日
3・11後の原子力・エネルギー政策の方向性
〜二度と悲劇を繰り返さないための6戦略〜

環境エネルギー政策研究所(ISEP)
提言者代表:飯田哲也

 2011年3月11日に、東北・関東地方を襲った巨大地震とそれに続く大津波の影響は、計り知れない被害をもたらした。 なかでも東京電力福島第一原子力発電所は、巨大地震と大津波の影響で、全電源が失われた後に、冷却水の喪失から炉心溶融、 そして大量の放射性物資の環境中への放出など、史上最悪の事態に陥り、今なお収束していない。
 本ペーパーは、事故の収束を見据えつつも、同時に新しい原子力・エネルギー政策の方向性を提起し、今後検討が必要な論点を提示することで、 世論を喚起することにある。

■1.原発震災の出口戦略

 福島第一原発への対応は、地震発生直後の初動から3週間を経過した今日まで、 「新しい事態発生→その場しのぎの対応→より深刻な新しい事態の発生」という状況が繰り返し進行してきた。
 もはや、この史上最悪の原発事故となった事態の収拾には、年単位の期間を要することは確実であり、 事態収拾後も百年単位での管理を要することも避けられない。
 そうした前提に立って、以下のとおり、具体的な対処方針を提案する。

1)全権委任した「原発震災管理官」を任命し、統合的な危機管理・ 事故処理体制を構築東電原発震災の事故処理は長期化が必至であることから、現状のような官邸主導の体制では、 戦略的な対応を迅速に取ることが困難であると考える。これまでの後手後手でドロ縄的に混乱した対応も、 当事者である東京電力の対応のまずさや原子力安全・保安院の当事者意識や当事者能力の欠落に加えて、 専門的な知見や経験を持たない政治家が前に出るかたちでの「政治家主導」が一因と思料される。規制官庁であるはずの原子力安全・ 保安院がモニタリングの体制をもたず、事故当事者の東京電力の発表データに全面的に依存し、分析も後手後手にまわっていることは、 OECD諸国から見れば信じ難い事態であろう。

 そこで、迅速かつ戦略的な危機管理と事故処理に即応するために、危機管理と戦略的な思考、現場への想像力を持った人物を 「原発震災管理官(仮称)」に指名し、これに全権委任した上で、国(原子力安全・保安院、原子力安全委員会、日本原子力研究開発機構、 自衛隊など)や民間機関(東京電力、東芝、日立、東京大学、東工大など)、国際機関や各国研究機関などの全面的な協力を得て、 これを統括できる体制を構築する必要がある。
 また、国内外で広がっている不十分な情報開示への不満や不信は、そもそもガバナンスの混乱が主な原因と思われるため、情報発信・ 管理についても「原発震災管理官」に一元化することで、そうした不満へも徐々に対処できると考える。

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*環境エネルギー政策研究所(ISEP)のサイトへ飛びます。PDFファイルが開きます。

飯田哲也氏=日本記者クラブでの講演/videonews.com
posted by JCJ at 14:56 | TrackBack(0) | パブリック・コメント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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