2011年06月08日

自由法曹団声明=「君が代」斉唱時に起立を求める職務命令を合憲と判断した最高裁第1小法廷2011年6月6日判決に抗議するとともに都教委に対して「10・23通達」とこれに基づく処分の撤回を求める

1 本日(6月6日)、最高裁第一小法廷(裁判長・白木勇裁判官)は、都立高校の教職員13名が、いわゆる10.23通達の下、 卒業式等の国歌斉唱時に校長の職務命令に従わずに起立しなかったことのみを理由に、定年等退職後の再雇用職員としての採用を拒否された事件 (東京都君が代嘱託採用拒否事件)について、裁判官4対1の賛成多数で、教職員らの上告を棄却する不当判決を言い渡した。 憲法の番人かつ少数者の人権保障の最後の砦たる最高裁が、教職員に君が代斉唱時の起立を強制する職務命令を安易に合憲と判断したことに、 私たちは強く抗議する。

2 最高裁は、先月5月30日、第二小法廷において、起立斉唱行為が国旗・国歌に対する敬意の表明の要素を含む行為であること、 個人の思想良心の自由についての間接的な制約となることを認めながらも、本件職務命令は、卒業式における「慣例上の儀礼的な所作」 として起立斉唱を求めるものに過ぎないとし、公務員の地位の性質や職務の公共性を踏まえた上で、 教育上の行事にふさわしい秩序の確保と式典の円滑な進行を図るものであり、制約を許容し得る程度の「必要性・合理性」が認められるとして、 本件職務命令が憲法19条に違反しない、と判断した。本日の第一小法廷の多数意見も、この第二小法廷判決と変わるところはない。

3 しかし、本日の判決で、宮川光治裁判官の反対意見が付されたことは、 東京都の行き過ぎた教育行政に対する重大な警鐘であると評価できる。
反対意見は、上告人らが起立斉唱しないという行動は、上告人らの思想良心の核心の表出であるか、少なくともこれと密接に関連しているとした。 そして、このような精神的自由権に関わる問題を多数者の視点のみから考えることは相当ではなく、 これを多数者にとって一般的ではないからとして過小評価することは相当でないとした。そして本件職務命令の合憲性の判断に関しては、 いわゆる「厳格な基準」によって審査する必要があり、その審査を尽くさせるため、原判決を破棄・ 差戻しするのが相当であると判断したのである。また、この反対意見は、10. 23通達は式典の円滑な進行を図るという価値中立的な意図で発せられたものではなく、 教職員の歴史観や教育者としての信念に対する否定的評価を背景に、 不利益処分をもってその歴史観等に反する行為を強制しようとするところにあると明確に認めている。このことは、東京都が10. 23通達を教職員を統制の手段として、これに従えない教職員を教育現場から排除しようとしたことを正しく捉えたものであり、 評価することができる。

 大阪府では、「大阪府の施設における国旗の掲揚及び教職員による国歌の斉唱に関する条例」が成立したが、大阪府の条例もまた、 教職員の統制及び排除を狙うものとして到底認められるものではなく、直ちに廃止されなければならない。

4 自由法曹団は、最高裁が、東京都の教育行政の暴走に警鐘を鳴らしつつも、 結論としてそれを追認する判断を示したことを強く批判するとともに、あらためて、都教委に対して「10・23通達」 とこれに基づく処分の撤回を強く求めるものである。

2011年6月6日
自由法曹団
団長菊池紘
自由法曹団東京支部
支部長藤本齊
http://www.jlaf.jp/html/menu2/2011/20110608103653_10.pdf

posted by JCJ at 16:10 | TrackBack(0) | パブリック・コメント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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