2012年03月14日

司法の役割放棄した地裁 土肥元校長に不当判決――東京都の主張に追随=高橋拓也

 土肥信雄元都立三鷹高校校長は、「全都どころか全国に目を転じても、これだけ生徒や保護者の信頼の篤い校長は珍しいと断言できる」 と教育評論家の尾木直樹氏が賞賛を惜しまない優れた教育者であった。
 その土肥元校長が東京都を被告とする訴えを提起した契機となったのは、土肥元校長が2009年3月に定年退職を迎えるに当たり、 その前年に受けた定年後の非常勤教員採用試験に不合格とされたことであった。
 しかしこの訴訟においては、非常勤教員採用試験不合格の問題のみを問うのではなく、 この他にも職員会議における教職員の意向を確認するための挙手・採決を禁止する通知、 校長の実施する業績評価に対する干渉等々の多岐にわたる問題を網羅的に取り上げた国家賠償請求訴訟を選択した。

 これは、表面的には学校の活性化のために校長のリーダーシップが大切であると言いながら、 実態としては校長の教育現場における裁量権を認めず、専ら校長に対する管理統制の強化に邁進し、教育現場における言論の自由を抑圧、 学校を沈滞化させている東京都の教育行政の在り方を根底から問うためであった。
 ところが、2012年1月30日、東京地方裁判所民事第19部(労働専門部)は、土肥元校長の請求をすべて棄却する判決を言い渡した。
 判決は、例えば、非常勤教員採用試験の不合格に際して、土肥元校長の教育実践が考慮されなかったことについては、 情報収集の困難性などという、東京都ですら主張立証していなかった論理まで持ち出すなど、 すべての重要な争点についてひたすら東京都の主張に追随するものであった。
 このような一審判決の姿勢は、 東京都の教育行政の行き過ぎをチェックするという司法の果たすべき役割を完全に放棄したものとの批判を免れず、 近時の最高裁の立場とも明らかに異なる(近時、最高裁が東京都の行った懲戒処分を取り消して、 その硬直的な教育行政の問題点を判示したことは記憶に新しい)。
 土肥元校長は、一審判決に対して直ちに控訴の手続きをとった。
 控訴審では、必ずや東京都の教育行政の行き過ぎに対する歯止めとなる判決が下されると確信している。

(学校に言論の自由を!裁判弁護団弁護士)

posted by JCJ at 15:31 | TrackBack(0) | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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