2012年03月14日

校長「職務命令」合憲と判断 最高裁 都教委には自制求める=永井栄俊

「日の丸・君が代」関連訴訟

 昨年より「日の丸・君が代」関連の最高裁判決が一斉に出された。
 本年2月9日の「予防訴訟」(「国歌斉唱義務不存在確認等請求訴訟」)判決で、現在最高裁で係争している事件が全て終わったことになる。
 「日の丸・君が代」訴訟はマスコミでも大きく報道され、戦後の「思想良心の自由」及び「教育の自由」 を問う裁判とすれば最大の訴訟となった。その意味では、憲法学・教育法学会、そして言論・マスコミ等からも大きく注目されてきた。
 しかし最高裁は一連の判決で、「日の丸・君が代」への起立斉唱を命じた都教委「通達」とそれに基づく校長の「職務命令」を合憲・ 合法と判示したのである。

「予防訴訟」の形式は認めたが本件は棄却

 本来司法は、国民の少数者の権利を擁護する点にその役割がある。これに反したような最高裁判決には、 憲法学者や弁護士会などからも多くの批判が出されているのである。
 2003年、都教委が「10・23通達」を発出して全都の教職員に「日の丸・君が代」の強制を強行したが、 これに従えない不起立者等に懲戒処分が出された。その累積数は現在までで437人にも達している。 その関連訴訟はすでに20件以上にもなるが、その最大の訴訟が、一審原告数403人の予防訴訟であった。 処分される前の訴訟という点で訴訟の成立要件が課題とされてきた。
 しかし、同訴訟の形態は、2004年の行政事件訴訟法の改正で明文化され、2006年の東京地裁判決(難波裁判長) で全面勝訴することになった。ところが、この訴訟形式を控訴審では「通達の取消し訴訟が可能である」として却下したのである。このために、 最高裁ではこの予防的訴訟の訴訟要件をどのように判示するかが注目された。そして最高裁は予防的訴訟の形式を認める判示を行ったのである。 しかし、本件については通達と職務命令を合憲としたことから棄却の判示をおこなった。

第一小法廷の最高裁4人の裁判官が紛争解決の方策を提言

 一連の最高裁判決では、1月16日の処分撤回事件で、減給と停職の2人について処分の取り消しを判示した。 裁量権を超えた処分で違法としたのである。そして、反対意見と補足意見が付言された。2月9日の予防訴訟判決では、 5人中4人の裁判官が付言した。
 反対意見の宮川光治裁判官は、処分は全て違法であり、教員の思想良心と教育の自由は守られるべきことを示した。また、他の3人の裁判官は、 「このような紛争が繰り返される状態を一日も早く解消する」ことを求めている。これは主要には都教委に向けられたもので、 自制を求めた多数の裁判官の意見として真摯に受け止めるべきであろう。

(『予防訴訟』をすすめる会 共同代表)

posted by JCJ at 15:33 | TrackBack(0) | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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