2012年09月23日

独自の取材で「脱原発」報道貫く JCJ大賞受賞 東京新聞特報部・稲熊部長が講演=菊地正志

 日本ジャーナリスト会議大賞を受賞した東京新聞特別報道部の稲熊均部長が、9月9日、「なぜ東京新聞は『脱原発』を貫くのか〜権力監視のジャーナリズムに学ぶ」をテーマに、さいたま市民会館うらわ(埼玉県さいたま市)で講演した。
 稲熊部長は、東京新聞が原発報道で先鞭を付けたのは、「@炉心溶融と断言A安全評価が甘く、すべてが想定内Bチェルノブイリ並みの事故」だと伝えた2011年3月13日付の特報部の記事だったと紹介。それを裏付けたのは「原発の安全神話に警告を鳴らし続け、実情を把握していた小出裕章さんら『熊取6人衆』に取材ができたから」と振り返った。
 多くのメディアについて稲熊部長は、「『原発ムラ』を構成するペンタゴン(五角形)の一角にいて、程度の差はあっても(原発推進勢力に)取り込まれていた。これが問題だ」と強調。
 そうした中で「なぜ東京新聞特報部が原発の危険性を追求した報道ができたのか」という疑問について稲熊部長は、「(政府や東電などの)発表だけでは一体何が起こっているのかさっぱり分からなかった。発表や記者クラブに依存しないという特報部のスタンスがあったからこそ、膨大な情報に惑わされることなく、独自の情報ネットワークや人脈を生かして「熊取6人衆」にも取材ができた。反原発の学者グループや市民団体の蓄積したデータをもとに、会見のうそや隠ぺいを暴き、矛盾を明らかにした」と語った。
 特報部はその後も「新日本原発紀行」や「レベル7」を連載。読者から大きな反響があったという。稲熊部長は「読者・市民の支えがあったから脱原発報道が貫けた。これからも読者の疑問に耳を傾け、不安に応えたい」と決意を込めた。
 講演会は、埼玉新聞の愛読者でつくるファンクラブ「埼玉新聞サポーターズクラブ」(通称SSC、代表=門奈直樹・立教大学名誉教授)が主催した。
 SSCは2002年設立。全国の新聞社の中で唯一の読者・市民によるサポーター組織。市民・読者に開かれた参加型地方紙を目指し、記者らを招いた講演会「岸町夜塾」や交流会を定期的に開いている。

(JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2012年9月25日号)

posted by JCJ at 13:21 | TrackBack(0) | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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