2012年12月19日

日本は戦争への道に踏み込んだ 世論調査による誘導は作為か? 大量の死に票生む「小選挙区制」の廃止を=桂 敬一

 ある程度の予想はしていたが、それをはるかに超える敗北だ。その原因と、それを克服し、たたかいを前進させる方策を考える必要がある。  投票率が50%前後だと、1位の得票率が20%もあれば、2位17%、3位15%でも、1位だけが当選、あとは全部死に票になるのが小選挙区制のメカニズム。政党支持率が20%あるかなきかの自民党がバカ勝ちしたのはそのおかげだ。選挙制度改革論議では、1票の格差、議員定数削減が大騒ぎされているが、むしろ、こんな制度をこそ変えるべきだ。

 ドイツのようにほぼ完全に近い比例代表制なら、各政党は得票率に応じて議席数を獲得できるのだから、1票の格差どころか、死に票もゼロになる。しかも、重要政策に応じて政党連合を組み、政権を狙うこともできるので、政策本位の選挙が実現する。実際、緑の党はこうして社民党とも手を組み、原発反対の政策実現を達成したのだ。
 そして、世界並みに選挙権は18歳からの若者に与えるべきだ。官邸前の原発再稼働抗議集会に集まる青年と話してみると、彼(彼女)らは政治に対して無関心どころか、実に新鮮な関心をたぎらせていることがよくわかる。今回選挙でも20歳代の若者の棄権率の高さ、若年投票者の右傾化が懸念材料として指摘されているが、それは10歳代のころから蒙る社会的排除のせいで生じたシニシズムの現れであり、もっと早く政治参加の機会が与えられれば、彼(彼女)らこそ新しい政治の担い手になるはずだ。
 安倍自民党と石原維新の野合は、改憲策動を通じて必ず生じ、「国防軍」改憲が政治日程に上るだろう。それが実現すれば、憲法上の国民の3大義務(勤労、教育、納税)にもう一つ「国防の義務」が付け加わり、徴兵制が復活する。その最大の犠牲者は若者たちだ。若い男性も女性も、これに無関心でいられるわけがない。この策動と闘う体制をすぐ固めるべきだ。

 自民圧勝にマスコミ界あげての数次にも及ぶ「世論調査」なるものがアナウンスメント効果=勝ち馬乗り効果を起こし、安倍自民党政権の誕生を手伝ったことは、紛れもない事実だ。中選挙区当時以来の慣わしとなった選挙報道の常道だが、この悪習を打ち切ることを、そろそろ気の利いたメディアは検討すべきではないか。むしろ、しっかりした独立の調査機関を育て、マスコミ界で共同利用し、政策ごとに自社の主張を明確にし、市民とのあいだで議論を率直に行うようにしたほうがいい。
 反原発・反消費税・反沖縄米軍基地・護憲を一番明確にし、石原都政の悪弊を一掃しようとして立った宇都宮健児候補の都知事選の重要性が、総選挙騒ぎで隠され、自民・維新の野合候補・猪瀬直樹副知事に敗北したことが、残念でならない。メディアの劣化が都民の劣化を招き、政治の劣化をも促すことを、痛感させられた。

(かつら・けいいち/マスコミ九条の会呼びかけ人)


*JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2012年12月25日号より

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 JCJ機関紙「ジャーナリスト」見本(2012年12月25日号1面)
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