2013年03月07日

TPP、マイナンバー、「武器輸出三原則」なし崩し変更とオスプレイ本土訓練開始、衆院選「違憲」の関係

 北海道新聞が5日付で出した「国会代表質問 TPPの不安が解けぬ」の社説は、ぜひ読んでおきたい。「安倍晋三首相は、国民が抱く疑問に正面から答えるべきだ」――書き出しから引き込まれる。
 1)首相は、環太平洋連携協定(TPP)や社会保障改革などについて、肩すかしのような答弁に終始した。2)施政方針が具体性を欠いたのに、代表質問への答弁が演説をなぞるものでは議論は前に進まない。3)高い支持率が下がらないよう安全運転に徹し、国論を二分する問題であえて踏み 込まないというのなら不誠実だ。問題点を明確にしないまま、重要な政策をなし崩しに進められては困る。
 こう前置きして、TPP、消費税増税と一体で取り組むはずの社会保障改革、憲法改正や原発再稼働、と各テーマにふれている。とりわけ、憲法について、「(安倍首相は)多くの党派が提起している96条見直しにまず取り組むとした。衆参両院の3分の2以上の賛成が必要だとする国民投票の発議要件を引き下げるものだ。安倍首相は戦争放棄を誓った9条を改め、国防軍設置を目指している。改憲のハードルを下げる動機がそこにあるのは明白」として、<96条見直しににわかに賛同するわけにいかない>と断言している。

(JCJふらっしゅ:Y記者の「ニュースの検証」=小鷲順造)


 TPPについては、<TPP参加のメリット、デメリットを明確に示すとともに、どんな農業支援策を打ち出すのか明らかにすべきだ。それなしに「とりあえず交渉に加わる」ことは許されない>と指摘する。その通りだろう。
 また結びの、「参院選で足をすくわれないよう安全運転に徹する首相だが、タカ派の地金は隠せないようだ」との指摘は、いま、まさに日本の市民社会総体が眉をひそめながら警戒し、口に出すときが訪れるのを待っていた「ひとこと」といえるのではないだろうか。
 なお、憲法改正の発案要件を緩和しようとする「憲法96条」改正について、公明党の動きにふれておく。同党の漆原氏が2月28日、テレビ番組で「96条だけなら改正していい。憲法改正が現実的になれば国民の議論にも真剣さが出る」と明言、朝日新聞(7日付)によると別の党幹部も「自民党が日本維新の会などと96条改正に取り組む可能性がある。公明党が置き去りにされる」と同調する声があるという。
 こうした動きに対して、山口那津男代表は5日、「漆原さんは個人的見解で発言したようだ。96条改正を是か非かとするには熟慮が足りない」と釘を刺し、石井啓一政調会長も6日、「96条の次に何を改正するのか示さないと国民が不安に思う」と語り、96条改正が先行する動きに懸念を示したという(→朝日新聞)。
 朝日新聞の同記事が指摘するように、憲法改正の発案要件を緩和する憲法96条改正について、公明党幹部の意見が割れており、そのまま推移するようなことがあれば、公明党の掲げてきた「平和主義」もいよいよ眉唾の領域を超えるところまできている可能性も出てくる。公明党は自民党との連携について「ブレーキ役を果たす」と説明してきたはずだ。支持母体の創価学会は、この状況にどう反応するのか。少なくとも団体内での「支持政党の自由」の推進について、いよいよはっきりと打ち出さなければ、宗教団体として掲げる理念との乖離、投票行動との深刻な矛盾が大きな問題となる可能性が出てくるのではないだろうか。

◇12月の衆院選は違憲 東京高裁

 昨年12月の衆院選は違憲だとして、東京1区の選挙無効を求めた訴訟の判決で東京高裁は6日、公選法の区割り規定を違憲と判断。だが、選挙無効は認めなかった。升永英俊弁護士らのグループは即日上告した。当日有権者数に基づく最大格差は千葉4区と高知3区の2・43倍だった(→共同通信〜日刊スポーツ)。
 今回の東京地裁判決は、2つの弁護士グループが全国14の高裁・高裁支部に起こした訴訟で最初の判決で、27日までに比例代表1件を含め、計17件の判決が言い渡される。
 この件について、東京新聞が7日の社説<衆院選は「違憲」 異常事態 もう許されぬ>で取り上げた。同社説は結びで、“違憲議員”の正当性について問い、「全国の十六の高裁・高裁支部で起こされた訴訟で、初の判決だった。今後、一つも無効判決は出ないのだろうか。ただし、違憲判断が続出し、最高裁で確定したら…。議員の正当性も、“違憲議員”がつくる法律の正当性にも疑問符が付くことに他ならない。これこそ国家の異常事態だ」と警鐘を鳴らす。
 前提として、代議制民主主義は、(1)主権者は国民であること(2)正当な選挙が行われること(3)国会議員の多数決−の三つから成り立っている。国民の多数意思は、正確に国会議員の多数決に結び付かねばならない。そのためには、正当な選挙が行われることが大前提であること、そして、憲法前文の冒頭は、「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し(以下略)」で始まる。正当な選挙こそ、民主主義の根本である。そうでないと、国会議員の多数決の結果は、国民の意思の多数決と矛盾する事態を招くからだ、と基本から解題する。
 また、<「一票の格差」を米国では、どうとらえているだろうか。実は日米の間では、雲泥の差がある>として、ニュージャージー州のわずか一・〇〇七倍の格差でさえ、連邦地裁は違憲と判断し、連邦最高裁もそれを支持した一九八三年の米連邦最高裁判決の例、最大人口の選挙区と最小人口の差は、わずかに十九人だったペンシルベニア州の例(〇二年、裁判所が州議会に対して三週間以内に新たな区割り法を制定して、裁判所に提出するよう命じ、州議会は新たな区割り法をつくり、人口差は、たった一人になった)をあげ、「米国での徹底ぶりをみると、われわれも一票について、もっと真剣に見つめ直さねばならない。一票の格差とは、住んでいる土地によって、一票の価値が変わる、住所差別の問題であるからだ」と提言している。
 必読の社説といえるだろう。
 なお、関連する「選挙制度改革」について、自・公・民についてみると、自民党が「比例」の削減を主張し、民主党は「比例」「小選挙区」ともに削減の方向をいい、この三党では公明党が「比例」の削減は容認できないとして、選挙制度の抜本改革を求めている。小選挙区制度の導入を巡り「並立」制に落ち着いた経過からいっても、自民党や民主党のいう「比例」の削減は筋が通らない。
 その当然のことを自・公・民三党で見た場合には、自民党のパートナーから脱することのできなくなっている公明党だけがまともなことをいっている状況そのものが異常としかいいようがない。7月の参院選にむけては、日本国憲法の精神を基盤として共有し(つまり右翼小児病とよぶほかない、おかしな「改憲」勢力ではなく)、まともな判断とまともな政治を積み上げていける勢力の大きな伸張、飛躍の基盤を大急ぎで構築していく必要が出ている。

◇オスプレイ、本土での訓練を開始

 NHKは「沖縄県の普天間基地に所属する3機のオスプレイは6日、沖縄から岩国基地に移動し、この際、四国山地周辺を高度を落として飛行するなど、沖縄に配備後、初めて本土での訓練を開始したとみられます」と報じ、「低空飛行訓練が計画されている四国などにあるオレンジルート周辺では、各自治体が監視を強めていて、6日は愛媛県や高知県に対し、住民から多くの目撃情報が寄せられました」と伝えた。
 また、東京新聞は、「オスプレイの沖縄への配備、訓練実施に地元で反対が根強い中、本土にまで訓練範囲が拡大した」と伝え、「山口県や四国各県など関係自治体は監視態勢を強化、反対派住民は岩国基地周辺で抗議活動をした」ことを報じた。
 六日午後一時十分ごろ、オスプレイ三機が普天間を離陸し、また、共同通信記者と住民が、午後三時十五分ごろから約二十分間に、高知県本山町や愛媛県新居浜市別子山などの上空を東から西に通過する様子を目撃した、と伝えている。そして、午後三時五十分ごろ、岩国基地に着陸した(目撃地点はいずれもオレンジルート上やその付近)という。
 記事によると、防衛省は、「低空飛行訓練に明確な定義はなく、米軍からも飛行前に訓練内容の連絡はなかった」という。また、「オスプレイ三機は、オレンジルートに慣れるために飛行した可能性もある」としているようだ。また毎日新聞によると、<米軍も地元の懸念に配慮し、訓練の日時やルートなどを事前通告する「極めて異例」(同省幹部)の対応を取った」という。
 しかしながら、これでは、日本はいまだに米国の支配下を抜け出していないとしかいいようがないではないか。防衛省の対応の仕方は、まったく心許ない。首相の安倍氏など自民党は、日本国憲法について「米国の押し付け」とのキャンペーンを張りながら、やることは対米従属一辺倒である。つまり、彼らの言う「改憲」は、その改憲案の内容にも明らかなように、国民から主権を奪い、国(植民地)の統治者に忠誠を誓わせ、米国に従属して生きていこうとするものである。
 どうも彼ら「改憲勢力・論者」は、日本社会を米国の植民地として明確に位置づけ、自分たちはその統治者として生き残りを図りたいという姿勢のようである。これでは到底、日本社会の再生も再起の道筋もみえていこないのは、当然の話といえるだろう。7月の参院選で、その路線にはっきりと「ノー」を突きつけねばならない。

◇マイナンバー法案と「お手軽、お気楽政治」「お手軽・国民支配」

 マイナンバー法案、国内居住の全員に個別の番号を割り振り、個人情報を一元管理・利用する「共通番号制度」、いわゆる「国民総背番号制」の問題が、大きな問題としてのしかかってきている。
 ここでは、毎日新聞(5日)、沖縄タイムス(5日)、西日本新聞(6日)の三紙の社説を、ざっとみておくことにする。
 毎日新聞は「マイナンバー制 将来像も含め議論を」で、以下のようにこの問題を整理している。
1)政府の計画によれば、15年10月に、全国民と中長期滞在の外国人に対し、そ れぞれの識別番号が通知され、16年1月から行政機関での利用が始まる。顔写真付き「個人番号カード」の付与も予定され、システムの整備などに2000億〜3000億円が投入される見通し。
2)当初は、納税や年金・健康保険の保険料納付・受け取りをはじめ、生活保護や児童手当などさまざまな政府からの給付の手続きで番号を活用することになる。複数の役所に分かれた情報を照合するのにかかっていた手間が省かれ、利用者も申請に必要な書類を集めに何カ所も窓口を訪ね歩く必要がなくなるという。
3)行政サービスのコストが下がり、国民の利便性が向上し、記載の誤りなど行政処理のミスがなくなるのであれば、歓迎できる。
4)一方で個人情報が一元的に管理されることへの懸念や、将来、民間分野を含め、どこまで番号の利用が拡大されるのか分からないことに対する不安もある。
5)3000億円という投資に見合うメリットがあるのか分からない。利用範囲が狭いままでは恩恵も限定的だろうが、他方、野放図に利用を広げると、個人情報の管理や不正利用への不安も膨らむ。
6)医療分野への適用や民間企業による活用については将来の議論に委ねるというが、制度の創設前に、将来像や民間利用の原理原則をできるだけ明確にしておいた方がよい。なし崩しで利用範囲が拡大するようでは問題だ。
 そのうえで、「公正な税負担や各種手当の不正受給を防ぐ上で欠かせない所得の正確な把握を、どのように実現するかも、議論が必要」と提言し、1)制度が十分周知されていること、2)行政による情報利用を本人が閲覧するシステムにできるだけ例外がないこと、などが必要と提言し、<国民の支持がなければ制度は育たない。国会審議を通じ、国民の「何のために?」「大丈夫?」の声に答えてほしい>と政府に対して求めている。

 沖縄タイムスは5日「マイナンバー制 将来像も含め議論を」を掲載して、
1)国民が最も不安を抱いているのは「個人情報の漏えいによるプライバシーの侵害」と「個人情報の不正利用による被害」
2)システム構築と運用のため膨大な予算が必要になるが、それに見あうだけの効果が期待できるのか、という費用対効果の面からの疑問の二点を挙げ、米国(ソーシャル・セキュリティー・ナンバー=社会保障番号を導入)では、「成り済まし」によってナンバーを使い続け、不正に年金を受け取るなどの詐欺事件が多発し、大きな社会問題になっていることを挙げて、(1)課題や問題点に正面から応えることなく、(2)数の力で法案を通せば、禍根を残すことになるだろう、と警鐘を鳴らしている。
 「政府は、導入によるメリットとして、行政運営の効率化、手続きの簡素化による国民の負担軽減などのほか、「公平な負担と給付が実現できる」「行政コストが削減できる」ことなどを挙げるが、<あまりにも多くの情報をリンクさせ、一元的に管理するのは、大きな落とし穴を自らつくるようなものだ。米国ではその反省が広がっている>ことをあらためて突きつけている。

 また、西日本新聞は6日「マイナンバー 不安の解消に万全を期せ」で、「共通番号制度について私たちは、その必要性を理解しつつも、個人情報保護の徹底や不正利用防止策の強化など信頼確保が前提になる、と指摘してきた」と再度強調して、次のように整理し、「政府は関連法案の国会審議を通じて、国民の不安や疑問に一つ一つ丁寧にこたえていく必要がある」と提言している。
1)政府は関連法案(マイナンバー法案)を閣議決定して国会に提出した。
2)昨年の国会で廃案になった民主党前政権の政府案(旧法案)をベースに、個人情報の利用拡大を促す内容だ(そうであればこそ政府は、旧法案に増して国民へ説明を尽くす必要がある。
3)政府が強調するメリット=効率的できめ細かな社会保障制度などの実現を目指し、個人所得を捕捉する精度を高め、課税の公平確保につなげる=は一応分かる。
4)しかし、人為的ミスや不正アクセスで番号が不正利用されたり、個人情報が流出したりする恐れが、つきまとう。さらに、新法案では不安がより高まる。情報の民間利用を視野に、将来さらに番号の利用範囲を拡大する姿勢を、色濃く打ち出しているからだ。
5)利用を行政事務に限った場合でもプライバシー侵害の不安を払拭できないのに、利用拡大で本当に大丈夫か。政府は答える責務がある。
6)新法案は、情報漏れ対策として独立性の高い第三者機関を設置して行政機関を監視すること、違反者には最高4年以下の懲役刑を含む罰則を規定した。特に、診察歴や投薬歴など医療に関する情報の管理は慎重を要する。民間が利用するならなおさらだ。漏洩を防ぐ手だては万全を期すべきだ。
7)だが、その第三者機関は、本当に機能するのか、運用システムへの不正侵入は確実に防げるのか。悪意や犯罪につけ込まれる隙はないのか。費用に見合う効果はあるのか。なし崩し的な利用拡大にならないか。詰めるべき論点は多い。
8)政府は関連法案の国会審議を通じて、国民の不安や疑問に一つ一つ丁寧にこたえていく必要がある。

 さて、三紙の社説を見てきて思うことは、この「マイナンバー法案」は、いかにもお手軽にできていないか、ということだ。その疑念を政府はおそらく晴らすことはできないだろう。効率性や使い勝手ばかり強調し、個人情報流出、不正アクセス、人為的ミス等々のセキュリティ分野では、その技術的な側面以前に、この制度そのものを確立しようとする「動機」や「目標」の点で、日本の市民社会をないがしろにし、見下し、あたかも政治家や官僚機構の「利用対象」のように映っている点で、すでに「理念」を欠いており、日本の市民社会全体で「共有」する価値を見出せないからである。
 日本社会はいま大きな危機の時代にある。とてつもなく大きな分岐点に立っている。そのときに、マイナンバー法案に示されるような「国づくり」の方向を示すことが、どれだけ意味を持つというのか。私には、政治家や官僚による「お手軽・国民管理」の思想しかみえてこない。それはそのまま、政治家の「お手軽、お気楽政治」志向につながりかねない、という危惧につながる。そして、へたをすればそのまま、「お手軽・国民支配」へとつながっていくのではないか、という不安へとリンクしていく。
 自公政権の過去だけではない。自民党は時代錯誤の「改憲案」なるものを出し、そこへ至るステップとして、憲法96条の改定を進めるなどといっている。政権交代の民意を受けた民主党も、政治の「継続性」の罠にはまったまま中途半端な政治姿勢のままである。日本の市民社会をふみつけにして、「亡国」への道へと突き進もうとしている勢力に「共通番号制度」などの構築を許し、その運用をまかせることなど、まったく悪夢でしかない。これ以上国民を愚弄し、政治や行政機構を自らの生き残りのために改変しようとする策謀など、断じて許すわけにはいかないのである。

▽武器輸出三原則は、非核三原則とともに国際平和を求める日本の国是

 最後に、現政権が行おうとしている「武器輸出三原則」のなし崩し変更について取り上げた4日付沖縄タイムス社説[武器輸出三原則]なし崩し変更は危うい」にふれておくことにしたい。
 同社説は、「武器輸出三原則の基本理念は、平和憲法の延長線上にあり、非核三原則とともに、国際平和を求める日本の国是である。国会論議もほとんどなく、国民への説明も尽くさない。官房長官談話だけで国是が転換されていく。危惧せざるを得ない」と書いて結んでいる。まさに、この問題で、いま言うべきことを言ってくれていると思う。
 書き出しは、次の三項目の報告部分。
1)安倍内閣は、航空自衛隊の次期主力戦闘機となる最新鋭ステルス機F35の部品製造・輸出を武器輸出三原則の例外扱いとすることを決めた。部品製造に日本企業の参入を認めるものだ。菅義偉官房長官が談話を発表した。
2)F35は米国が主体となり、9カ国が共同開発している。日本は加わっていないが、主翼など一部の部品は日本企業が国内製造する。
3)F35については、全ての導入国が世界規模で部品を融通し合う新たな方式が採用され、日本企業が製造した部品が他国で使用されるかもしれない。官房長官談話から、これまで基本理念としてきた「国際紛争の助長を回避」との 文言が消えたのはこのためだ。菅氏は基本理念を「国連憲章の遵守(じゅんしゅ)」に変更した。

 ついで、次の三項目の検証部分。
4)武器輸出三原則は国際紛争の当事国やその恐れのある国に対し、武器を輸出することを認めていない。「国際紛争の助長を回避」するという理念は、三原則の中の最も重要な部分であり、この理念が削除されたということは三原則そのものが骨抜きにされたことを意味する。
5)例えばイスラエルである。米国と同盟関係にあるイスラエルはF35の導入を計画している。周辺国と軍事的緊張を引き起こし、実際に何度も武力行使をしている。日本製の部品が組み込まれたF35が紛争に使われる可能性は高い。
6)官房長官談話ではF35について「米政府が一元的に管理し、移転を厳しく制限する」としているが、日本が移転の制限に関わることができるのか疑わしい。

 社説は、つづいて、この三原則の基本的な経過にふれる。
――武器輸出三原則は佐藤栄作首相が1967年、国会で(1)共産圏諸国(2)国連決議による武器禁輸国(3)紛争当事者国やその恐れのある国−には武器輸出を認めないことを打ち出した。76年には三木内閣がその他の国にも輸出を「慎む」との政府統一見解を出し、事実上全面禁輸政策となった。81年には国会で武器輸出三原則の実効ある措置を求める決議も行われている。
 その後、中曽根内閣が米国へ武器技術供与、小泉内閣が米国と共同でミサイル防衛(MD)技術開発・生産を認めるなど三原則の例外扱いが広がっていった。――
 こうした流れが、そのまま民主党政権になってからも続いたことは記憶に新しいところだろう。
 2011年、野田内閣は国際共同開発・生産への参加と人道目的による装備品供与を解禁することを決める(目的外使用や第三国への移転には事前同意を義務付けるなど一定の規制はかけた)。

 そして、今回の官房長官談話である。
 社説は、<「防衛生産および技術基盤の維持・育成・高度化に資する」と、防衛産業を重視しているが、集団的自衛権の行使を容認する動きといい、戦後、営々と築いてきた平和国家としての地位を自ら捨て去ることにならないか>と、厳しく問いただしていく。
 改憲策動、集団的自衛権の行使を容認しようとする動き、そして上記で取り上げてきた、今度の政権のおかしな動きの数々。安倍自公政権が返り咲いて、突然、にわかにおかしくなったというわけではない。現在の段階は、これまでのおかしな流れに、「改憲」を志向する勢力のおかしな風味が付け加わった段階とでも、いえばよいだろうか。それでも、そのまま成り行きに任せ、放置して参院選をむかえれば(そして彼らを今度こそ本当に大勝させるようなことがあれば)、このおかしな流れは幅をきかし、急流となりかねない。

 そうした時代に、この沖縄タイムス社説の締めの言葉は大切だと思う。もう一度振り返っておくことにしよう。

――武器輸出三原則の基本理念は、平和憲法の延長線上にあり、非核三原則とともに、国際平和を求める日本の国是である。国会論議もほとんどなく、国民への説明も尽くさない。官房長官談話だけで国是が転換されていく。危惧せざるを得ない。――

(追記1)
 なにかというと、あらぬ方向で前のめりになる安倍晋三という男。4日の衆院代表質問で「憲法改正には党派ごとに異なる意見があり、まずは96条改正に取り組む」(毎日新聞)と語った。5日には、96条改正を視野に活動を再開した「創生『日本』」(首相が会長を務める超党派の議員連盟)が、安倍内閣発足後初の総会を開き、運動方針に新たに「憲法改正に向けた政治の流れを強める」と盛り込んだ。民主、日本維新の会、みんなの3党有志(民主の渡辺元副防衛相、維新の松野国会議員団幹事長、みんなの浅尾政調会長ら)も7日、「96条研究会」の結成を決めた。渡辺氏は記者団に「中間派、反対派、推進派の話を聞く」と述べている。
 毎日新聞は8日付「憲法改正:96条論議、活発化 参院選後にらみ各党思惑」の記事で、次のように報じた。
<野党側には参院選に向けた再編の思惑がちらつく。維新の橋下徹共同代表は7日の記者会見で「96条を改正するかしないかで民主党は分かれた方がいい」と語った。渡辺氏ら積極派と旧社会党系など慎重派が混在する民主党を分裂させる狙いで、海江田万里代表は7日の会見で「(改正の)中身とセットで議論すべきだ」とけん制した。一方で、公明党は首相の前のめりの姿勢や与野党の積極派の動きに警戒を強める。山口那津男代表は5日の会見で「96条改正の是非を判断するには熟度が足りない」と語った。創生「日本」メンバーの閣僚経験者は7日、「公明党を刺激しすぎる」と懸念も口にした。>

(追記2)
 憲法96条の「改定」については、河北新報が2月23日付の社説として「憲法96条/統治者には拘束が必要だ」を掲げて、安倍氏の「憲法96条」改定の主張は、「スポーツで、試合のルールを自分に有利なように変更することは許されない」として、すっぱりと、わかりやすく、かつ厳しく批判している。この社説も必読であろう。内容を下に要約しておく。
1)例えば野球で、貧打に悩むチームが「三振」を「四振」に変えてくれと相手チームに持ち掛けても、通るはずがなかろう。
2)憲法改正手続きをめぐって、安倍晋三首相がルール変更の必要性を繰り返し主張している。理由は「ハードルが高すぎる」。最高権力者が簡単に緩和を口にするようでは、専横とのそしりは免れない。何より、立憲主義に対する理解不足を疑われても仕方がない。
3)議論になっているのは、憲法改正手続きについて規定している96条。改憲には衆参両院とも総員の3分の2以上の賛成で国会が発議し、承認には「国民投票で過半数の賛成が必要」としている。首相はかねて96条を問題視してきた。
4)衆院選前には「たった3分の1を超える国会議員の反対で、発議できないのはおかしい。そういう(改憲に消極的な)横柄な議員には退場してもらう選挙を行うべきだ」と述べた。
5)発議に「3分の2以上」という特別多数を求めている点で、日本国憲法は「硬性憲法」といわれる。自民党など改憲肯定派は、これを過半数という単純多数に引き下げることで、改憲に向けた環境整備を図ろうとしている。「軟性憲法」化だ。
 同社説は、上記を整理したうえで、仙台市出身の憲法学者、樋口陽一東大名誉教授の「憲法は権力を持っている人たちを縛り、持たない人の自由を確保するのが主眼」との言葉を紹介、<統治者を拘束する国の最高法規であるからこそ、発議要件は厳格に。これが「硬性」に込められたメッセージ>とあらためて提言している。
 安倍氏は、「改憲に消極的な」議員を、「横柄な議員」と呼んで「退場してもらう」と豪語してみるが、本当に「横柄な議員」は、憲法改定のルールのハードルを、自分たちの都合のいいように下げようと呼びかける安倍氏らのほうである。
 同社説は、<「横柄な議員」とは誰のことを言うのか、見極めるのは私たち国民である」と書いて、この社説を締めくくっている。

(こわし・じゅんぞう/日本ジャーナリスト会議会員)




国会代表質問 TPPの不安が解けぬ(北海道新聞5日)
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/446408.html
憲法96条改正、割れる公明 幹部に容認論、山口氏クギ(朝日新聞7日)
http://digital.asahi.com/articles/TKY201303060770.html?ref=comkiji_txt_end_s_kjid_TKY201303060770
12年衆院選「違憲」 選挙の無効は回避(共同通信〜日刊スポーツ6日)
http://www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp0-20130306-1094067.html
衆院選は「違憲」 異常事態 もう許されぬ(東京新聞7日)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013030702000139.html
オスプレイ 7日も岩国拠点に訓練へ(NHK7日)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130307/k10013011101000.html
オスプレイ 本土初訓練 訓練内容通知なし 四国各地で目撃(東京新聞7日)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013030702000137.html
オスプレイ:訓練ルート 和歌山や高知などに変更(毎日新聞5日)
http://mainichi.jp/select/news/20130306k0000m010060000c.html
社説:マイナンバー制 将来像も含め議論を(毎日新聞5日)
http://mainichi.jp/opinion/news/20130305k0000m070122000c.html
社説[マイナンバー法案]情報一元化に落とし穴(沖縄タイムス5日)
http://article.okinawatimes.co.jp/article/2013-03-05_46085
マイナンバー 不安の解消に万全を期せ(西日本新聞6日)
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/351388
社説[武器輸出三原則]なし崩し変更は危うい(沖縄タイムス4日)
http://article.okinawatimes.co.jp/article/2013-03-04_46055
憲法改正:96条論議、活発化 参院選後にらみ各党思惑(毎日新聞8日)
http://mainichi.jp/select/news/20130308ddm005010177000c.html
憲法96条/統治者には拘束が必要だ(河北新報2月23日)
http://www.kahoku.co.jp/shasetsu/2013/02/20130223s01.htm

 

posted by JCJ at 13:27 | Comment(1) | TrackBack(0) | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
時間は速くて、当時の光り輝くのはすでに溶けて雲と煙を行って、たとえ再び悲痛ですとしても、再び耽美がすべてなるのが以前で、今日何人(か)の大家の優雅なことを得て順次伝える後で“流行する巨人”の彼と称されて、依然として配ってルイヴィトンスーパーコピーのやっと備える天使の光芒だけあります。時代の軍事用の車両の慌ただしい前行、今のところ、人々は足どりを加速して、昼間努力して必死で働いて、夜に自己を釈放して、比較する以前、更に真実で、もっと裸出して、ルイヴィトンスーパーコピーしかし昼間の職場の人物に関わらず、まだ夜の景色のぼんやりしている美人で、全て彼女たちの提供した誠実のためにおりることを導いて、ずっと1時(点)を集中します――それはつまり、多い側面の開放していたのは永久不変で優雅です。ルイヴィトンスーパーコピー
Posted by ルイヴィトンスーパーコピー at 2014年02月12日 12:12
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