今回の特定秘密保護法案は、これまで、私たちが反対運動を続けてきた「秘密保全法案」の名称等を変え、問題点をカモフラージュしたもので、その本質は、変わっていない。しかも、まだ連立与党の間ですら調整が付いておらず、法案の作成過程や内容の説明もできていないにもかかわらず、わずか2週間のパブリックコメント公募を求めるなど、手続き的にも極めて乱暴なやり方を取っていることなど、到底受け入れるわけにはいかない。
特に、今回明らかにされた法案の概要に寄れば、「秘密保全法案」では、(1)国の安全(2)外交(3)公共の安全と秩序の維持ーの3分野の情報のうち「国の存立にとって重要な情報」としていた「特別秘密」を、(1)防衛(2)外交(3)安全脅威活動(4)テローの4分野に変更している。しかし、この「安全脅威活動」や「テロ活動防止」には歯止めがなく、「その被害の発生・拡大のための措置またはこれに関する計画もしくは研究」がすべて対象にされたり、「収集した国際機関または外国の行政機関からの情報その他重要な情報」について、この情報を漏らし、取得し、そのために共謀し、それをそそのかしたりすると「懲役10年以下の厳罰に処する」という法案の性格は変わっていない。
当然報道関係の取材が処罰対象にされかねず、報道の自由に大きな影響を与え、国民の知る権利が制約されることになる。
私たちは、戦前の政府と軍部が「軍機保護法」などで国民の目と耳をふさぐことによって、侵略戦争の道に突き進んでいった苦い経験を忘れるわけにいかない。安倍内閣が明文改憲だけでなく、法律を変えたり作ったりする中で、実質的に改憲の道を進めようとしている状況の下で、この特定秘密保護法の策動を許すわけにはいかない。
国民の皆さんがこぞって、この法案への反対に立ち上がってくださることを改めて呼びかける。
2013年9月12日
日本ジャーナリスト会議
日本ジャーナリスト会議