2013年10月04日

「特定秘密保護法案」関連メモ(2013.09.12〜2013.10.03)

▽日弁連「特定秘密の保護に関する法律案の概要」意見公募(パブリックコメント)の期間が短すぎる

 2013年9月12日付けで日弁連は、内閣官房が実施している「特定秘密の保護に関する法律案の概要」に対する意見募集に対し、3日から17日まで15日間の日程で行っている国民からの意見公募(パブリックコメント)の期間が短すぎるとし、延長を求める意見書を政府に提出した。

秘密保護法案、意見公募期間延長を 日弁連が意見書 公明はPT設置(北海道新聞9月13日付朝刊)
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/politics/491412.html
【声明】「特定秘密保護法」の阻止のため全力をあげて奮闘しよう(日本平和委員会9月6日)
http://peacecommittee.blog.fc2.com/blog-entry-492.html
【声明】政府に都合の悪い情報を隠す「秘密保全法案」に強く反対する(日本国民救援会7日)
ÊÝÁ´Ë!°Æ!פ˶ ̄¤ ̄È¿ÂФ1¤ë">http://www.kyuenkai.org/index.php?%C0%AF%C9%DC%A4%CB%C5%D4%B9%E7%A4%CE%B0%AD%A4%A4%BE%F0%CA%F3%A4%F2%B1%A3%A4%B9%A1%D6%C8%EB%CC%A9%CA%DD%C1%B4%CB%A1%B0%C6%A1%D7%A4%CB%B6%AF%A4%AF%C8%BF%C2%D0%A4%B9%A4%EB
秘密保護法で団体でパブコメを出したところ:ネットに掲載分(秘密保護法反対 共同行動9月18日)
http://himituhan.exblog.jp/21064148/

JCJふらっしゅ「報道クリップ」より=小鷲順造)

▽日本ペンクラブが意見書「特定秘密保護法案に反対する」

 報道によると、日本ペンクラブ(浅田次郎会長)は9月17日、政府が公表した「特定秘密保護法案」に反対する意見書を発表し、法案を担当する内閣情報調査室に提出した。NHKによると、作家などでつくる「日本ペンクラブ」は内部告発者らを萎縮させ、取材・報道の自由を侵害するとして、法案に反対する意見書をまとめた。

 意見書は、対象とされる情報が不明確で必要以上に範囲が広いことや、罰則の強化で取材者や内部告発者を萎縮させ、取材・報道の自由を侵害することに加え、各国の秘密保護法は徹底的な情報公開制度の整備を前提としているのに、日本は情報公開が立ち遅れていることなどを、反対の理由に挙げている。(→NHK)

 共同通信〜日刊スポーツによると、意見書は、法案が想定する「特定秘密」の範囲が明確でなく、過度に広範であると批判。「例えば原発の安全性に関わる問題は、原発に対するテロ活動防止の観点から『特定秘密』に指定される可能性がある」として、国民の知る権利や取材・報道の自由が侵害されると指摘。「特定秘密」を扱う行政職員らを対象に行うとする「適性評価」については、「プライバシー侵害の領域に踏み込むものであって、容認できない」とした。

 また同会は意見書で、この法案の検討過程が非公開とされたこと自体が「この法律案の意図する将来社会の不健全な体質を物語っている」と批判している。

 NHKは、日本ペンクラブの会長で作家の浅田次郎さんは「今ある法律で十分に対応できるのに、新たな法律をつくれば必ず悪用される危険が生まれる。政府は国会への提出を見送るべきだ」と話しています、とこの件を報じた。

特定秘密保護法案にペンクラブが反対意見(日刊スポーツ9月17日)
http://www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp0-20130917-1190869.html
日本ペンクラブ 秘密保全法案に反対(NHK17日)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130917/k10014604601000.html
一般社団法人日本ペンクラブ 意見書「特定秘密保護法案に反対する」
http://www.japanpen.or.jp/statement/2013/post_442.html
<おすすめ記事情報>(秘密保護法案 読み解く:1)記者の取材活動も処罰される?(朝日新聞9月18日)
http://www.asahi.com/shimen/articles/TKY201309180810.html?ref=reca


▽86件中、期間が30日に満たないのは秘密保護法案を含めわずか9件

 政府は9月17日、機密を漏らした国家公務員らへの罰則強化を盛り込んだ「特定秘密保護法案」のパブリックコメント(意見公募)を締め切った。

 東京新聞が18日の記事で、意見公募が15日間で終了したことについて、「通常の半分」であることを改めて指摘した。行政手続法は、公募期間を原則30日以上設けるよう規定しており、政府が17日現在で政省令や法案について意見公募をしている86件中、期間が30日に満たないのは秘密保護法案を含めわずか9件であることを指摘している。

 そのうち、秘密保護法案のように任意で意見公募した33件のうち約8割に当たる26件は30日以上の期間を設けているという。

 記事は、「国民に不都合な法案は十分に周知せず内容を決めたいという政府の意図も透けて見える」と問題を提起している。

 日本弁護士連合会はこの「秘密保護法案」の公募期間に関して、「異常に短い」と批判し、政府の対応を「国民が深く考える時間を与えず立法化を進めることを宣言しているのと同じ」と指摘しており、12日には、公募期間を2カ月に延長するよう求める意見書を内閣官房に提出した。だが、菅官房長官は、「行政手続法に基づくものではない。2週間とした例は何例もある」(東京新聞)と延長を拒否した。

 政府は10月に開会予定の臨時国会にこの法案を提出する方針。

秘密保護法案の意見公募 通常の半分 15日間で終了(東京新聞9月18日)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013091802000123.html
秘密保全法に反対する 愛知の会(特定秘密保護法案に反対)
http://nohimityu.exblog.jp/20750488/
*9/3-9/17までの2週間という、異例の極めて短い間に政府が集めた特定秘密保護法
案の概要に対するパブリックコメントですが、メールフォームだけで9/17 23:59現
在で、●●●,●●●超も集まったという情報がありました。
<おすすめ記事情報>「完全にブロックされている」のは、汚染水ではなく特定秘密保護法案である。
(The Huffington Post Japan24日)
http://www.huffingtonpost.jp/satetsu-takeda/post_5702_b_3979899.html
*半数近い「わからない」人たちがこの法案を知らせることが何よりも大事になる。この法案の逃げ切り制定を許さないために、メディアはしつこく、くどく、何度でもこの危険性を訴え続ける必要がある。(武田砂鉄 フリーライター)
<おすすめ記事情報>【コラム 風紋】秘密保護法の矛盾'(中日新聞9月24日
http://www.chunichi.co.jp/hokuriku/article/column/fumon/CK2013092402000182.html
*行政機関が、誰のチェックも受けず、都合悪いことは「特定秘密」に指定して国民に隠し通す「なんでも秘密法」。それが真の姿だ。(報道部長・市川隆太)


▽秘密保護法案 「取り繕いでは済まされぬ」西日本新聞、「かつて来た道たどる懸念」信濃毎日新聞

 西日本新聞は9月23日付けで社説「秘密保護法案 取り繕いでは済まされぬ」を掲載、この法案を通そうと前のめりの安倍晋三政権の姿からは、「何とか体裁を取り繕おうとしているだけではないのか―」そんな疑念を拭えない、と書いている。

 「与党の公明党が国民の権利を侵害しないことを条文で明確化するよう求めており、政府はこうした権利や自由を尊重する規定を明記する方針だという」が、しかし、条文の書きようによっては、知る権利などの担保が危うくなる可能性は否定できない。<規定追加などで済ませるのではなく、法案提出そのものを再考すべきである>と厳しく指摘する。

1)森雅子少子化担当相は「国民の知る権利や報道の自由をしっかり保護しながら、国民の理解をいただいて成立させたい」と、早期成立を目指す考えを示している。
2)とはいえ、国民的な議論をするための政府の取り組みは不十分ではないか。
3)法案の概要を示して国民の意見を募るパブリックコメントを政府は今月3日から17日まで15日間実施した。一般の意見公募は1カ月程度行うことが多い。重大な懸念がある法案にもかかわらず、短期間しか実施しなかったことに、識者から「明らかに恣意(しい)的だ」との批判が出たことは当然だろう。
4)短期間にもかかわらず、1万件を超える意見が寄せられたという。国民が法案の行方を注視していることの表れだ。

 社説は、以下を指摘、提言している。
5)政府が法案に新たな規定を設けるとすれば、期間の長い意見公募をあらためて実施すべきだ。その結果をしっかり分析して、法案などに反映させることが政府の仕事ではないか。
6)もともと問題が多い法案である。
7)特定秘密の対象は範囲が曖昧であるうえ、政府にとって都合の悪いことを伏せる情報隠しにつながる懸念もある。
8)報道機関の正当な取材が法案の罰則対象となる「欺き」「脅迫」「教唆」などと強引に解釈され、取材活動が制限されないとも限らない。厳罰化によって特定秘密を扱う公務員が取材に萎縮し、情報を出さなくなる恐れもある。
9)新法で規制を強めるのではなく、可能な限り公開できるものは公開し、機密情報の管理を徹底する方が現実的ではないか。それならば、国家公務員法や自衛隊法など現行法令でも対応できるはずだ。
10)国民にとって必要な情報を得ることができてこそ、主権者の国民は政府の方針や決定の是非を判断できる。その手段や方法をむやみに制約してはならない。

 なお、22日付の信濃毎日新聞社説「秘密保護法 かつて来た道たどる懸念」も必読だ。書き出しは「1937(昭和12)年2月、軍機保護法改正案が帝国議会に提出された。軍事機密の漏えいを防ぐための法律を全面改正しようというのである。日中戦争の発端となった盧溝橋事件の5カ月前のことだった。なぜ改正するのか、杉山元(はじめ)陸軍大臣が説明している」。

 社説は以下を厳しく指摘し、法案を批判している。

■<安倍首相は集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈の見直しも目指している。そんな首相の姿勢と照らし合わせるとき、秘密保護法がかつての軍機保護法と二重写しに見えてくる>
■<秘密を広く指定し、そこに触れようとする行為は厳罰に処す。かつての軍機保護法と秘密保護法には底流に同じ発想が流れている。杞憂で済むとは言い切れない>
■<航空自衛隊幹部が懲戒免職になった2007年の事件である。南シナ海での中国潜水艦の事故を一部メディアが報じた。記者の質問に応じ事故について説明した1等空佐が、自衛隊警務隊の強制捜査を受けたあと、情報漏えいで処分された。記者に話をすることが罪に問われるとなれば、取材を受ける公務員はいなくなる。「知る権利」や「表現の自由」に無理解な体質を裏書きする出来事だった。こんな政府に秘密保護法という"劇薬"は持たせられない>

 どちらも全文に目を通されることをおすすめする。

秘密保護法案 取り繕いでは済まされぬ(西日本新聞23日)
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/syasetu/article/41387
秘密保護法 かつて来た道たどる懸念(信濃毎日新聞22日)
http://www.shinmai.co.jp/news/20130922/KT130921ETI090006000.php


▽自民「特定秘密保護法案PT」会合で、新聞協会と日弁連が反対を表明

 9月25日、自民党は特定秘密保護法案に関するプロジェクトチーム(座長・町村信孝元外相)の会合で、日本新聞協会と日弁連関係者の意見を聴取した。両団体とも法案に反対した。

 富山新聞によると、日本新聞協会は「特定秘密の範囲があいまいで、知る権利を侵害しかねない」と同法案を批判し、報道機関による取材が処罰対象になりうるとの懸念も表明した。

 また、日弁連は「法案は報道の自由を制限する」と指摘して、特定秘密を取り扱えるかどうかの適性を評価するため、公務員らの個人情報を調べる内容が盛り込まれているとして、プライバシー保護の観点からも反対を表明した。

新聞協会、日弁連が反対−特定秘密保護法案(富山新聞9月25日)
http://www.toyama.hokkoku.co.jp/newspack/syakai2013092501001627.html


▽政府 秘密保護法の原案を自民に提示

 共同通信によると、政府は9月26日、機密を漏らした公務員らへの罰則強化を盛り込んだ特定秘密保護法案の原案を自民党に提示した。報道の自由をめぐって「十分に配慮する」と記す一方、国民の「知る権利」の保護は明文化しなかった。

 最高刑は懲役10年で、漏えいを唆した場合は5年以下の懲役とした。

 記事は、<政府は日本版「国家安全保障会議(NSC)」創設に合わせ、外国政府からの情報を厳格管理する必要性を掲げ、10月召集予定の臨時国会での成立を目指>と指摘したうえで、<ただ公明党は知る権利保護などの観点から慎重姿勢を示しており、今後の調整が焦点だ>とした。また、<日弁連や日本新聞協会は法案に反対している>こともあわせて報じた。

政府が秘密保護法原案を自民に 「知る権利」明記せず(共同通信9月26日)
http://www.47news.jp/CN/201309/CN2013092601002273.html


▽パブリックコメントは、約9万件寄せられ、うち約8割が法案に「反対」

 時事通信は、この件について、<特定秘密保護法案について、「報道の自由に十分に配慮する」と明記した原案をまとめ、自民党のプロジェクトチーム(PT)に提示した>こと、<「知る権利」については憲法に規定がないことから、盛り込まれなかった>とした。あわせて政府は、<与党との調整を経て、法案を10月15日召集予定の臨時国会に提出し、成立を目指す>姿勢であることをあらためて報じた。

 記事は、続けて以下を記している。

1)ただ、政府が実施した法案概要のパブリックコメント(意見公募)では、約8割が反対だったことが判明。「報道の自由」の明記で法案への慎重論が沈静化するかは未知数だ。
2)同法案をめぐっては、拡大解釈により国民の「知る権利」を侵害する恐れがあるとの懸念が与党の公明党からも上がっていた。「知る権利」の扱いに関し、自民党PT座長の町村信孝元官房長官は記者団に「書くべきか否かは決まっていない。あらゆる可能性はある」と述べ、政府と調整を続ける考えを示した。

 また、法案の特徴等にについて、あらためて以下のようにまとめている。

A)同法案は、公になっていない情報のうち「漏えいがわが国の安全保障に著しい支障を与える恐れがあるもの」を行政機関の長が「特定秘密」と指定。特定秘密を漏らした公務員らへの罰則を最長で懲役10年とし、厳罰化したことが特徴だ。
B)政府が同時に示した法案別表では、特定秘密の対象を「防衛」「外交」など4分野とし、「自衛隊の運用、計画、研究」「防衛に関して収集した電波・画像情報」「安全保障に関する外国政府・国際機関との交渉、協力の内容」などの具体例を列挙した。
C)政府は一方、3日から17日まで実施した法案概要のパブリックコメントの集計状況も自民党に説明。約9万件の意見のうち、賛成は1割強にとどまり、8割弱が「特定秘密の範囲が広範かつ不明確」「内部告発できなくなる」といった反対意見だった。

「報道の自由」明記=秘密保護法原案−意見公募は反対8割・政府(時事通信9月26日)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201309/2013092600857&g=pol&relid2=1_1
特定秘密保護法原案ポイント(時事通信9月26日)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013092600995


▽規定は努力目標 どんな表現が盛り込まれても「知る権利」が制限される懸念は消えない=東京新聞

 東京新聞は9月27日付朝刊に<秘密保護法案 意見公募で8割反対>の記事を掲載した。政府が特定秘密保護法案の概要に対するパブリックコメント(意見公募)の実施結果について、自民党のプロジェクトチームの会合で明らかにしたのは、まず、今月3日から17日の間に約9万件が寄せられ、反対が8割近くを占めたという事実。

 記事は、<今回の募集期間が、一般的である30日の半分しかない15日だったことを考えれば、国民が強く懸念している実態を示したといえる>と指摘、政府募集のパブリックコメントには意見が数件しか寄せられないケースも多く、<9万件は異例>の多さであることを強調している。

 寄せられたパブリックコメントの8割近くを占めた秘密保護法案への「反対」意見では、
1)「原発問題やTPP(環太平洋連携協定)交渉など重要な情報を知ることができなくなる」
2)「取材行為を萎縮させる」など、国民の知る権利や報道の自由を懸念するという内容がほとんどだったと伝えている。

 一方、秘密保護法案に「賛成」する意見は約一割にとどまったが、意見の内容は「スパイを取り締まれる状況にしてほしい」などだったという。

 ただ記事は、自民党のこの件にかんするプロジェクトチームの座長である町村信孝元外相が、パブリックコメントの結果について、「組織的にコメントする人々がいたと推測しないと理解できない」と記者団に述べたことを伝えている。

 町村氏のこの「分析」らしきものには、驚くほかない。
 記事が指摘するとおり、3日から17日の間に約9万件が寄せられ事実をここまで歪曲して受け取らなければ、自民党のプロジェクトチームの座長はつとまらないのであろうか。それとも、あまりに多くのパブリックコメントが、あまりに短期間に寄せられたことに驚き、そこまで矮小化し、曲解しなければ事実そのものの重ささえ、受け止められないのであろうか。

 町村氏は、「知る権利」が明記されなかった理由について、記者団に対し、「(知る権利が基本的人権に含まれるかは)裁判の判断、政府、党、国民の議論も分かれる」と指摘し、政府が引き続き明記を検討していくことも明らかにしたという。この部分が、上記時事通信の報道の<「知る権利」については憲法に規定がないことから、盛り込まれなかった>としたことに対応するのだろう。

 この法案に、「知る権利」や「報道の自由」を「侵害することがあってはならない」などとの規定を盛り込むかどうかでは、これまで町村氏はじめかなり<流動的>な姿勢を見せつつ、<逃げ道>をしのばせる表現を上げたり下げたりしてきた感がある。

 しかしポイントは、東京新聞がこの記事の末尾でクギをさしているように、<ただ、規定は努力目標にすぎず、どんな表現が盛り込まれても「知る権利」が制限される懸念は消えない>点に、重々、留意し、この法案を押し返す国民の声をさらに、さらに拡大してゆく必要が高まっている。

秘密保護法案 意見公募で8割反対(東京新聞9月27日)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013092702000140.html


▽特定秘密保護法案の検討過程「ほとんどが黒塗り」=毎日新聞

 毎日新聞が3日付で、政府が立案を進めている特定秘密保護法案の検討過程について、同紙が関係省庁に情報公開請求をしたところ、法案の内容に触れる部分は「不当に国民の間に混乱を生じさせる恐れがある」として、ほとんどが黒塗りだった、と報じている。

 同紙は、内閣情報調査室(内調=同法案を担当する)、防衛、外務両省や警察庁、内閣法制局など関係する13の政府組織に対して情報公開請求を行った。その結果、文書はそれぞれ開示された。しかし、見出しなど一部を除いて、法案の素案や法案の内容を解説した部分は、<全て黒塗り>にされ、なかには<1ページ全部が真っ黒>に塗りつぶされた文書も数多くあった、という。

 記事によると、内閣情報調査室は「不開示」の第一の理由を、「公にすることにより、国民の間に未成熟な情報に基づく混乱を不当に生じさせる恐れがある」ことをあげているという、また、その姿勢は、他省庁も同様だったという。

 記事は、「これは情報公開法に定められた不開示理由の一つ」で、特定秘密保護法案以外でも国会提出前の法案については同様の扱いがなされているとする一方、<しかし、民主党政権が2011年4月に提出した情報公開法改正案では、この不開示理由は削除された>事実も指摘している。

 2011年4月の法案では、<有識者会議で「(封建的な)『よらしむべし、知らしむべからず』を連想させる」などの意見が出、この不開示理由は削除されたが、その改正案は昨年末の衆院解散で廃案となった。そのため「当面は今の運用が続くとみられる」というわけだ。

 新聞が法案の検討過程について関係省庁に情報公開請求をしたところ、ほとんどが黒塗りだったという異常。法案の内容に触れる部分について「不当に国民の間に混乱を生じさせる恐れがある」として、平然と「黒塗り」にして」出す異常。

 記事は、「法案の作成過程を国民が議論するのは当然であり、正当なこと。何が『不当』かを行政が主観的に決められる現行の規定は不適切だ」(NPO「情報公開クリアリングハウス」(秘密保護法案関連の公文書を数多く収集する)の三木由希子理事長のコメントで締めている。

 いまは、いったいいつの時代かと疑いたくなる「官尊民卑」の時代遅れが、自民党主導の政権になると一気に浮上する。だがその「体質」や「発想」や仕組みは、旧いだけに留まらない。民主主義を逸脱し、かつ、明らかになると都合の悪いことを隠蔽したり破棄してなかったことにする「悪政」の温床となっている。

 毎日新聞は、関係省庁への情報公開請求という基本的かつ確実な手法で、政府が立案を進めている特定秘密保護法案の検討過程に潜む闇の存在をあらためて浮き彫りにした。この意義は大きい。NPO「情報公開クリアリングハウス」の活動や存在意義もよく伝わってくる記事だった。

 いま日本の政治システムに求められるのは、特定秘密保護の規定と重罰ではなく、徹底した情報公開の仕組みなのである。

秘密保護法案:検討過程「真っ黒塗り」 情報公開請求に(毎日新聞(10月3日)
http://mainichi.jp/select/news/20131003k0000m040141000c.html


▽自衛隊法指定の「防衛に関する秘密」=毎年数千件から1万件の秘密文書を廃棄

 NHKによると、いまの自衛隊法でも指定されている防衛に関する秘密について、毎年数千件から1万件の秘密文書が廃棄されていたことが分かった。

 特定秘密保護法案は、防衛や外交などに関する重要な情報を「特定秘密」に指定し、漏えいした場合は、最高で10年の懲役を科すなどとしている。このうち、防衛に関する秘密は、今の自衛隊法でも防衛大臣によって指定されることになっており、特定秘密保護法案は、これを「特定秘密」として扱うとしている(→NHK)。

 NHKは、自衛隊法上のこの「防衛秘密」について防衛省に取材した。その結果、平成19年から23年までの5年間で指定された文書の数は、合わせておよそ5万5000件だったという。

 さらに、この間に「保存期間を過ぎた」などとして<廃棄>された秘密文書の数は、合わせておよそ3万4000件(平成19年2300件、平成20年3000件、平成21年9800件、平成22年1万600件、平成23年8600件)に上ることが分かったという。

 防衛省は、平成14年に指定が始まって以来、「防衛秘密」が解除されたケースは1例にとどまることを明らかにした。防衛省はまた、自衛隊法上の「防衛秘密」について、公文書の管理を定めた「公文書管理法」は適用されず、防衛省の課長級以上の担当者の判断で秘密文書を廃棄することが訓令で認められていると主張しており、そうした実態について防衛省は、「自衛隊法など関連の法令にしたがって適切に処理している」と話しているという。

 この件について、内閣情報調査室(政府で特定秘密保護法案を担当)は、「特定秘密」の保存や管理について、「文書の管理の在り方は引き続き検討していきたい」と話しているようだ。

 NHKのこのニュースでも、NPO法人「情報公開クリアリングハウス」の話を聞いている。三木由希子理事長は、「秘密文書が秘密のまま廃棄されたのでは将来、事実を検証できない。特定秘密保護法案をきっかけに、公文書を保存し、管理していく仕組みを議論すべきだ」と指摘している。

 「秘密文書が秘密のまま廃棄されたのでは将来、事実を検証できない」との指摘は、非常に重要である。いかに日本の情報管理の仕組みが前時代的か、いかに為政者や役所などの「恣意」が入り込む余地だらけであるか、政府が成立を謀ろうとしている特定秘密保護法案がいかに民主主義と逆行した「悪法」であるかが、こうした事実からくっきりと見えてくるように思う。

「防衛秘密」の多くが廃棄(NHK10月3日)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131003/k10015015101000.html


▽特定秘密保護法案=新聞協会が反対意見書、日弁連が反対声明

 朝日新聞によると、日本新聞協会は2日、安倍政権が臨時国会に提出する予定の特定秘密保護法案について、「政府や行政機関の運用次第で、憲法が保障する取材・報道の自由が制約されかねない。結果として、民主主義の根幹である『国民の知る権利』が損なわれる恐れがある」とし「強い危惧」を表明した意見書を、森雅子担当相に出した。

 また同紙によると、日本弁護士連合会は3日、特定秘密保護法案への反対声明を発表した。「特定秘密の範囲が広くかつ不明確」で「知る権利」を制約させると批判している。また、日本新聞労働組合連合(新聞労連)も同日、特定秘密保護法案は基本的人権を踏みにじる法律で「違憲」だとし、撤回すべきだとの緊急声明を発表した。

 新聞労連は、同法が防衛や外交など安全保障に関する4分野で行政機関の長が「特定秘密」を指定する基準があいまいで、恣意(しい)的な運用がなされる危険性を指摘。「知る権利」も「報道の自由」も憲法で保障された基本的人権だとした上で、特定秘密を扱う公務員を取材する記者が教唆罪に問われる可能性があることなどから、「情報統制を基本的人権の上位に置く法律は違憲」と批判。

 新聞労連は9月4日には、声明<民主主義を破壊する「特定秘密保護法」に断固反対する〜戦争は秘密から始まる〜>を、日比野敏陽中央執行委員長名で出している。

秘密保護法案に「強い危惧」 日本新聞協会が意見書(朝日新聞10月2日)
http://www.asahi.com/politics/update/1002/TKY201310020458.html
秘密保護法案に反対声明 日弁連と新聞労連(朝日新聞10月3日)
http://www.asahi.com/national/update/1003/TKY201310030365.html
新聞労連(9月4日)
<民主主義を破壊する「特定秘密保護法」に断固反対する〜戦争は秘密から始まる〜>
http://www.shinbunroren.or.jp/seimei/130904.html

(こわし・じゅんぞう/日本ジャーナリスト会議会員)

メールマガジン「JCJふらっしゅ」 http://archive.mag2.com/0000102032/index.html

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