2013年10月06日

【今週の風考計】10.6

東野圭吾『祈りの幕が下りる時』(講談社)を読む。終わりに至る20ページ前ぐらいから、ぐっと熱いものがこみあげてくる。加賀恭一郎シリーズだが、もう一人の主人公は原発作業員、彼が繰り広げる哀切なドラマに引き込まれる。日本各地を「原発渡り鳥」みたいに 移動し、現場で「たっぷりと放射線を浴び…もらった金の何割かがピンハネされ」ながら働く。「原発はね、…ウランと人間を食って動くんだ。人身御供が必要なんだよ。わしたち作業員は命を搾り取られてる」「原発の定期点検ってのはさ、…放射能をたっぷり含んだ水を…雑巾やブラシでごしごし擦る。それだけだ。でも被曝と交換だ」と呟く。柴 田錬三郎賞受賞の『夢幻花』(PHP)でも描かれるが、著者の福島第一原発がもたらした悲劇に迫る筆致と心情に共感する。今年JCJ賞を受賞した ジャーナリストの布施祐仁さんが講演する。題して<イチエフの危機─原発作業員は問う>。23日(水)18:00〜岩波セミナールーム(東京・神保町)。今なお汚染水が漏れるレベル7の現場実態を克明に明かす。詳細は下記チラシを。(2013/10/6)

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posted by JCJ at 10:29 | TrackBack(0) | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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