2013年11月29日

放送フォーラム 正念場むかえる秘密法との闘い=石井長世

 「国民の知る権利や取材・報道の自由と、情報の漏えいの処罰を目的とした秘密法は相容れない存在だ」―今月初旬に開かれた放送フォーラムの席上、講師の上智大教授・田島泰彦氏はきっぱりと断言した。
 政府・与党が特定秘密保護法案の臨時国会での成立を急ぐ緊迫した状況の中で、11月9日「放送を語る会」が開いたフォーラムには、60人を超える視聴者・市民が参加。

 講演の中で田島氏は、法案の目的は情報をいかに秘匿するかにあり、情報の漏えいを理由に、情報の管理に携わる公務員の側と、情報の取材・入手を求める市民、研究者、報道関係者側の双方を、最大10年または5年の懲役刑という実刑で威嚇し、萎縮させることが最大の狙いだと喝破した。
 また情報を特定秘密に指定するのは行政機関の長など限られたメンバーで、実際の運用は防衛・外交、公安警察などの官僚が末端の組織にいたるまで特定秘密に指定された情報が漏れるのを一方的、恣意的に取り締まる危険性があると指摘。
 その上で田島氏は国会の特別委員会などの動きに触れ、与党委員の数が圧倒的に多いことを背景に、政府与党側が強行突破さえ図りかねないと強調。マスメディアの"正当な"取材などについての配慮規定を軸にした修正協議に期待する一部の楽観論を戒めた。
 その一方、市民や学者・研究者の間に法案に反対する機運が急速に高まっており、最近の世論調査でも半数を超える反対があることを紹介した。
 また、メディアも一部を除いてこの問題についての報道に力を入れ始め、法案の問題点などについての批判的な記事や論調も見られるようになっており、この機運を背景に臨時国会での成立を阻むことが必要で、法案を廃案にする闘いはこれからが正念場だと力説した。
 講演に先立ち、「放送を語る会」が法案に関連した放送各局のニュースや報道番組について行っているモニターの途中経過が報告された。
 この中で、一部の報道番組を除いて、各局ともこの問題を取り上げる回数や量が圧倒的に少ないという結果が出ており、視聴者・市民からの厳しい監視と、強い励ましが今後ますます求められると指摘された。(放送を語る会)

*JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2013年11月25日号

posted by JCJ at 11:47 | TrackBack(0) | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

この記事へのトラックバック