2014年02月26日

教育・基地・外交すべてが時代錯誤=アベノ暴走・混乱政治に終止符を

▽自民「教委改革案」に潜む「時代逆行」の危うさ

 自民党が「教育委員会制度」について「改革案」をまとめ、連立与党の公明党との協議に入った。内容は、首長の権限と国の関与の度合いを強める方向であり、24日付中日新聞社説が、<政治が前面に出過ぎ、教育現場の「不当な支配」を招かないか心配だ>と書いている。
 「教育委員会制度」は、同社説が指摘するように、1)中央集権体制で推し進められた戦前の軍国主義教育への反省に立っている、2)地方を教育の担い手とし、政治を遠ざけ、地域住民の声を大切にする仕組みである。自民党の<改革案はそれを根底からひっくり返すもの>であり、<時代に逆行しており、危うい>。

(JCJふらっしゅ「Y記者のニュースの検証」=小鷲順造)

 こうした「改革案」が浮上する背景には、<深刻ないじめや体罰が発覚するたびに、教委の責任の曖昧さや動きの鈍さが露呈した>ことや、<都合の悪い情報を隠したり、身内を守ったりする閉鎖性>などがある。
 この点について同社説は、<これらの問題点を踏まえ、責任の所在をはっきりさせ、首長が危機管理に乗り出せる仕組みを取り入れることに異論はない>とする。しかし、自民党の「改革案」の最大の問題点は、<教委に実務の執行権限を残すとはいえ、その予算、人事、方針という教育行政の根幹をすべて首長に委ねてしまうのに等しい>点にある。<教育に政治色が持ち込まれる懸念が拭えない>。

 社説は、地方分権の観点と教育の中立性について、
 1)地方分権の観点に立てば、首長の考えを民意の表れとして地域の教育に反映させることは一つの道理ではある。
 2)けれども、同時に忘れてならないのは、首長は特定の政治勢力や利益団体との結びつきもまた弱くないということだ。
 3)教育の中立性をどう保つか。首長主導に寄りかかるほど、選挙で交代したときの反動は大きい。現場が混乱に陥る恐れは否めない。
 と、ていねいに論点を整理している。

 そのうえで、「教委改革」に求められることを、以下のように整理している。
 A)「教委改革」に求められるのは、形骸化や無責任体質の改善だ。
 B)原点に立ち返り、住民参加の機能を高め、地域全体で子どもたちを育てるという視点が欠かせない。
 C)それを骨抜きにして政治介入の余地を広げてはならない。

 そして社説は、「さらに気になる点」として、沖縄県竹富町の教科書採択の問題を背景に、<国が教委に是正の指導をしやすくするため法改正が検討されていること>をあげる。<中央統制を強め、地方の多様な教育を窒息させるような動きは看過できない>と指摘して、社説を締めている。

 自民党の教育委員会制度「改革案」についての大事な提言であり、論点整理である。たいへん参考になった。

【社説】教委の改革案 「不当な支配」招かぬか(中日新聞24日) http://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2014022402000099.html


▽百条委は、知事再喚問と菅官房長官の証人喚問を

 あるべき筋などかなぐり捨てて、強引に対象をコントロール下におこうと「アメとムチ」を繰り出すのが、退場前の自民党に顕著なやり方だったが、安倍政権はその愚かな習癖を依然引きずっているようだ。特に、沖縄に対してそれがモロ出しである。

 仲井真県知事は「なぜ(辺野古)埋め立てを承認したか」。振興資金というアメを大量に頭上から降らせ、知事に「満足」感を与えたらしいのだが、それがなぜ、民意を踏みにじっての「埋め立て承認」に直結するのか。沖縄県議会調査特別委員会(百条委)が仲井真知事を証人喚問したが、それがいっこうに見えてこない。

 琉球新報は22日付社説「知事証人喚問 無責任県政極まれり」で、県行政のとうてい放置できない無責任ぶりにあきれて、<県は行政手続き上避けられないかのように強調するが、経緯を知れば知るほど、知事の政治判断だと考えざるを得ない。それなら知事は堂々と政治判断だと説明すべきではないか>と、まで書いている。

 古臭い自民党の「アメとムチ」にまんまと乗ると(アメにも色々あるのだろうが)、「政治判断」という言葉も堂々と口にできないほどの袋小路へと追い込まれ、居直るほかになくなる。それも「自分は大義を背負っているのだから、ごまかしてもよいのだ」といわんばかりの傲慢な態度で(政権が強引に成立させた特定秘密保護法にも、根本的に誤っているのに、同様の傲慢・独りよがりが巣食っている)。

 知事の「証人喚問」は喚問する側が「決め手を欠いた」というような報道も一部にあったが、煮え切らないのは知事である。この情況をどう受け止めればよいのか。そのこたえのひとつが、琉球新報の22日付社説である。実に歯切れがよい。

1)視界は一向に晴れない。仲井真知事が証人喚問されたが、なぜ埋め立てを承認したか、証言に納得のいく人がいるだろうか。
2)環境悪化への懸念を払拭できないという環境生活部の意見をなぜ無視したのか。合理的な説明はない。知事は「申請が出た以上、最終的な形で終わらせないと」と述べた。行政手続きだから国から申請があれば承認するしかないという意味であろう。県庁は下請け機関なのか。
3)知事は、承認直前に東京で入院した際、病院を抜け出して官房長官らに会った事実を認めた。だが埋め立て承認に関する会話はなかったと主張する。県庁内の調整のメモもなく、首相との会談の記録もないという。行政としておよそ考えられない。説明を尽くすつもりがあるのだろうか。
4)知事は「法律にのっとって」と繰り返した。公有水面埋立法に照らせば国の申請は承認せざるを得ないという意味だ。だが同法によると「環境保全への十分な配慮」は必須要件だ。外来生物侵入の恐れが強く、ジュゴンやウミガメなど希少生物に影響を与える計画で、環境が専門の部局が懸念を拭えないと言っている以上、法律にのっとればむしろ不承認しかないはずだ。
5)県は、申請書が環境について一定の配慮をすると書いたことを承認の理由に挙げる。これから配慮をするだろう、という推測を根拠にしているのだ。「環境保全の措置に先立つ承認」だ。転倒した理屈と言うほかない。推測が理由になるなら、審査する県の責任放棄でしかない。
6)県は行政手続き上避けられないかのように強調するが、経緯を知れば知るほど、知事の政治判断だと考えざるを得ない。それなら知事は堂々と政治判断だと説明すべきではないか。環境への懸念があっても「言いっ放し」で済ませるのなら、県の環境部局など不要だ。無責任県政ここに極まれり、と言うほかない。
7)環境への懸念をないがしろにした以上、知事は公有水面埋立法に抵触する疑いがある。百条委継続の理由は十分にあろう。
8)百条委は知事を再度喚問すべきで、提案のあった菅義偉官房長官の証人喚問も必要であろう。承認過程を徹底解明してもらいたい。

 沖縄県知事の「辺野古埋め立てを承認と安倍政権」についての大事な論点整理である。この社説もたいへん参考になった。こういう社説のおかげで、読者は迷路に入り込まずにすむ。

知事証人喚問 無責任県政極まれり(琉球新報22日)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-219969-storytopic-11.html


▽安倍首相周辺から噴き出したおぞましき問題発言の数々

 底の浅い愚政なのに、独りよがりで前のめり。その安倍政権の体たらくに対して、自民党の内部からも批判が出始めたともいうが、まだまだ悠長の域を脱していない。アベノ亡国・暴走政治は、いまや自らも収拾がつかないほどに混乱のきわみにある。このまま放置すれば、その傷は日本社会にとって致命傷になりかねないところまできている。

 その亡国の情況は、国内外に波紋を広げる<首相側近らの「問題発言」>に象徴してあらわれている。その「いま」を、24日付沖縄タイムス社説「[揺らぐ日米関係]首相の歴史認識がとげ」がよく整理している。そのエッセンスを振り返っておこう。

1)安倍政権が外交戦略の中心に据える日米基軸が揺らいでいる。
・安倍晋三首相の靖国神社参拝をめぐり、首相側近らが国内外に波紋を広げる「問題発言」を繰り返しているからだ。
・「失言」というレベルではない。安倍政権の持つ歴史認識の「危うさ」が露呈していると言うほかない。

2)オバマ政権は、米政府が自制を要請したにもかかわらず、首相の安倍氏が靖国参拝を強行したことについて「近隣諸国との緊張を悪化させるような行動を取ったことに失望している」との声明を出した。
・首相の盟友、首相補佐官の衛藤氏が今月、動画サイトに投稿した国政報告で「むしろわれわれが失望だ」と米政府を批判。さらに「米国は同盟関係にある日本をなぜ大事にしないのか。声明は中国に対する言い訳にすぎない」などと対応を疑問視。その後、菅官房長官の指示で発言を撤回した。
・菅氏は「首相の見解とは違う」と強調したが、首相補佐官である。発言は「個人的見解」では済まされない。
・首相の靖国参拝が、中国や韓国の反発を招くことは容易に想定できた。東アジアの安定を損なう事態を懸念する米国の出方を予想できなかったのなら、衛藤氏の首相補佐官の資質が疑われる。政府は進退は問わない意向だが、首相の明確な説明責任が求められる。

3)首相の安倍氏につながる人脈から、問題発言が相次いでいる。それはなぜか。首相自身の歴史認識が問われているのである。
・自民党の荻生田光一総裁特別補佐は1月の党会合で、米政府の「失望」声明に対し「共和党政権の時代にこんな揚げ足を取ったことはない。民主党政権だから、オバマ大統領だから言っている」と批判。
・首相の経済ブレーンを務める本田悦朗内閣官房参与が首相の靖国参拝について「誰かがやらなければならなかった。勇気を称賛する」と語ったとする記事を米紙ウォールストリート・ジャーナルが掲載。同紙はさらに「本田氏はアベノミクスの背景にナショナリスト的な目標があることを隠そうとしない」とも指摘している。
・NHK経営委員の百田尚樹氏が、A級戦犯を裁いた東京裁判に疑問を呈し、南京大虐殺を否定した発言も米の不快感を招いている。

4)オバマ大統領は、4月の訪日を機にぎくしゃくする日米関係を再構築したい考えだが、歴史認識をめぐる首相やその周辺の発言が、日米双方の溝を深めている。
・米紙ワシントン・ポストは首相の靖国参拝に伴い、日本がアジアで危機を引き起こす可能性に警鐘を鳴らす記事を掲載。安倍政権が「1強」におごるような言動を繰り返せば、国際社会からの孤立を招きかねない。

 安倍政権のおそまつぶりが一気に噴出し露呈した感がある。おそまつどころか、おぞましさでいっぱいと言うべきか。吐き気をもよおさないほうがおかしい、ほどである。

社説[揺らぐ日米関係]首相の歴史認識がとげ(沖縄タイムス24日)
http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=63551

(こわし・じゅんぞう/日本ジャーナリスト会議会員)


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