2014年03月24日

NHK会長と経営委員2氏の罷免要求 署名は1万3000筆を突破=石井長世

 籾井勝人NHK会長が、1月25日の就任会見で述べた問題発言で世論の厳しい批判を浴びた後も、会長職に居座っていることに憤慨し、罷免を 要求する運動が全国各地で繰り広げられている。
 籾井氏はこの問題発言を個人的な見解として、一応取り消したが、慰安婦問題や国際放送など5項目について発言した真意は、今も変わらないと 居直り、辞任を拒否している。

 また、先の都知事選で特定候補の応援演説をし、他の候補者を「人間のクズ」呼ばわりした百田尚樹氏、朝日新聞社内で拳銃自殺した右翼活動家 を賛美する追悼文を出した長谷川三千子氏の両経営委員の言動も、放送法を逸脱した点で会長と同罪だ。
 これら3氏の言動に対して、視聴者、マスコミ、学界などから、一斉に抗議の声が上がり、3氏の罷免要求の動きが広がっている。NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ、放送を語る会、NHK問題京都連絡会、JCJなど7団体による罷免要求の署名運動では、3月9日、東京・日比谷の反原発集会の会場前で行われた署名で、短時間に1千人以上の人が署名した。
 同署名運動は、ネット署名と紙の署名の合算で8575人の署 名を集め、10日には代表が第1次分としてNHKに届け、籾井氏らの罷免を強く申し入れた。17日には署名は1万3000筆(合算)を超えた。活動に参加したNHK・OBの元アナウンサーは「秘密保護法などを巡るNHKの報道がどんどん安倍政権寄りになってきている。古巣で働く後輩たちの気持ちを考えると、居ても立ってもいられない気持ちだ」と語った。  また、12日には京都で宗教者も含めた13団体が京都放送局に同じ趣旨で申し入れをしたほか、大阪では弁護士と研究者の団体、九州・大分で はマスコミ九条の会など、各地の団体、市民の間に運動が広がっている。
 NHKに対する世論の批判の高まりも見逃せない。
 13日の衆院総務委で籾井会長は、これまでに3万件を超える意見が寄せられ、このうち6割以上が苦情や抗議だったと認めざるを得なかった。
 署名運動を続けている団体では、世論の盛り上がりを背景に、今後も署名を続け、籾井氏らを速やかに罷免に追い込みたいと話している。

◆緊急集会 NHK乗っ取りを許すな! 国民の意識操作に危機感を

 1月25日のNHK籾井会長の問題発言は何を意味するのか、公共放送NHKの存立の危機に今何が必要かを問う緊急集会が、2月22日東京で開かれた。
 放送を語る会主催の集会には、籾井発言や秘密保護法を巡るNHK報道の政府寄りの姿勢に憤慨し、危機感を抱いた多くの市民やメディア関係者などがつめかけ、会場は熱気と緊迫した空気に包まれた。
 集会では、元NHKディレクター・池田恵理子、ジャーナリスト・小田桐誠、東京大学名誉教授・醍醐聡、上智大学教授・田島泰彦、メディア研究者・松田浩の5氏が、NHKの現状の何が問題か、また、私たちが今後どう行動すべきかについて、厳しい見解を述べた。
 この中で池田氏は、現役時代多くの圧力を受けながら日本軍慰安婦の番組を作った時代と比べても、局長クラスの幹部が直接番組試写までチェックする今の制作現場の閉塞状況は深刻になっていると怒りをこめて告発。
 また、小田桐氏は「ボルトとナットを締め直す」という籾井発言は、言論報道機関のトップとしての資質に欠ける人物が、安倍首相に代わってあからさまに放送に口出ししようとする企みだと指摘した。
 これに関連して田島氏は2001年のETV番組改変事件の際は、権力の意図を忖度して問題になったが、今は積極的に権力に迎合した報道で世論作りに協力するまでになっており、報道機関として踏み込んではならない範囲に踏み込んでいると警鐘を鳴らした。
 さらに、こうした状況を生んだ背景について松田氏は、財界出身の会長が3代も続いている異常さを挙げ、安倍首相に近い政財界の人脈の間で会長、経営委員の人選が周到に練られ、NHKのっとりと国民の意識操作が行われており、会長、経営委員の選出システムの民主的な改革が何よりも重要だと力説した。
 これを受けて醍醐氏は、今全国的に広がっている籾井氏と百田、長谷川両経営委員の罷免要求の運動と合わせて、会長の公選制や経営委員選任の改革の運動を早急に立ち上げる必要があり、こうした運動を掛け声だけに終わらせず、具体化するための実行委員会の設置を提案した。
 ゲストの各氏とも、この問題が単にNHKだけに止まらず、日本の民主主義と言論の自由を深く考える上で避けては通れない問題だという点で共通しており、会場につめかけた参加者たちの強い共感を呼んだ。
(放送を語る会)


*JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2014年3月25日号


posted by JCJ at 02:00 | TrackBack(0) | 放送 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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