2014年04月07日

「秘密保護法」をめぐる驕りも「集団的自衛権の限定容認」の詭弁も、時代に取り残された自民党の断末魔のあがき

▽自民・高村副総裁の「集団的自衛権の限定容認」論の詭弁と破綻

 安倍政権は憲法解釈を変えるだけで可能なのだとして、集団的自衛権の行使容認にいよいよ前のめり。神奈川新聞は3月14日付の社説で<憲法をどう読めば、新しい解釈が成り立つというのだろう>と疑問を呈し、<戦争ができる国になるということ自体が東アジアの緊張を高めよう。何より国際社会は、民主主義の原則である立憲主義を踏みにじることで戦後の歩みを大転換させた為政者の振る舞いに警戒を深めるだろう。国は守られるどころか、軽蔑と孤立、危機を自ら招くことになる>と指摘した。
(JCJふらっしゅ「報道クリップ」=小鷲順造)


 同紙は3日にも<これは日本の国のかたちを定めてきた憲法の根幹にも関わるテーマだ。自衛隊発足直前の54年には、参議院が自衛隊の海外出動をしないとも決議している。現実の安全保障環境を踏まえた議論が重要なのは当然だが、立法府の議論を横目に政府だけのペースで進めてよい性格のものではなかろう>と議論の徹底深化を求めた。
 しかし集団的自衛権の行使容認に向け、政府や自民党内では、安倍のその動きを加速させようとするおかしな応援団たちが登場してきた。自民党の高村正彦副総裁は、1959年の砂川事件の最高裁判決を無理やりねじまげて論拠とし、「最高裁は個別的、集団的を区別せず自衛権を認めている。内閣法制局が『集団的自衛権は使えない』というのはだいぶ飛躍がある」と語り、<集団的自衛権も必要最小限なら認められる>といい始めた。
 この非常識な発言に対しては、多方面から<おかしい>との声が挙がっている。
 東京新聞は<限定的なら認められる、というのは詭弁(きべん)ではないのか。集団的自衛権の行使の「限定容認論」である。政府の憲法解釈は長年の議論の積み重ねだ。一内閣の意向で勝手に変更することは許されない>と厳しく批判している。
 自民党の高村正彦副総裁に主張は<集団的自衛権の行使を「日本近海を警戒中の米艦船が攻撃を受け、自衛隊が防護する場合」など事例を限定して認めようというもの>だが、これは、1)集団的自衛権の行使を、一内閣の判断で合憲とすることには公明党や自民党の一部に根強い慎重論がある。限定容認論は説き伏せる便法として出てきたのだろう、2)個別的自衛権を有するかどうかが議論されていた時代の判決を、集団的自衛権の行使の一部を認める根拠にするのは「論理の飛躍」(公明党幹部)にほかならない、3)公明党の山口那津男代表は高村氏との会談で、個別的自衛権で対応できないか、まず検討すべきだと、限定容認論に慎重姿勢を示したという。当然だ、4)集団的自衛権をめぐる議論の本質は、日本が直接攻撃されていないにもかかわらず、他国のために武力行使することが妥当か、長年の議論に耐えてきた政府の憲法解釈を、一内閣の意向で変えていいのか、という点にある、と整理。
 そのうえで、以下のように論じている。
A)たとえ限定的だったとしても、政府の憲法解釈を根本的に変えることにほかならない。
B)このやり方がいったん認められれば、憲法の条文や立法趣旨に関係なく、政府の勝手な解釈で何でもできる。憲法が空文化し、権力が憲法を順守する「立憲主義」は形骸化する。イラク戦争のような誤った戦争に巻き込まれることも現実味を帯びてくる。
C)限定容認なら大丈夫と高をくくってはいけない。立憲主義の危機にあることを、すべての国会議員が自覚すべきである。

 朝日新聞は<牽強付会(けんきょうふかい)とはこういうことをいうのだろう>と指摘して、<裁判の争点は、在日米軍が戦力にあたるのか、裁判所が条約の違憲性を審査できるか否かというところにあった。日本の集団的自衛権の有無が争われたわけではない>と前置きして、<学説としてまともに取り上げられていない解釈を、あたかも最高裁の権威に裏付けられたかのように振りかざすのは、誤った判断材料を国民に与えることになりかねない>と、高村発言を批判、<「立憲主義に反する」と批判される自民党にしてみれば、最高裁判決を錦の御旗にしたいのだろう。だが、こんなこじつけに説得力があるはずもない>とばっさりと切り捨てた。
 この件について公明党の山口代表は「個別的自衛権を認めた判決と理解してきた」と語っている。朝日新聞はその通りだとして<公明党は、自民党の身勝手な理屈を受け入れるべきではない>と提言している。
 朝日新聞の<「立憲主義に反する」と批判される自民党にしてみれば、最高裁判決を錦の御旗にしたいのだろう。だが、こんなこじつけに説得力があるはずもない>、東京新聞の<限定容認なら大丈夫と高をくくってはいけない。立憲主義の危機にあることを、すべての国会議員が自覚すべきである>との提言を、広く共有していく必要がある。
 この件については、水島朝穂氏の7日付<今週の直言>「禁じ手」破り――武器輸出三原則も撤廃も必読である。

【社説】集団的自衛権、解釈改憲は権力の横暴(神奈川新聞3月14日)
http://www.kanaloco.jp/article/67756/cms_id/69964
【社説】集団的自衛権 各党・政府は議論見せよ(神奈川新聞3日)
http://www.kanaloco.jp/article/68978/cms_id/73364
(社説)集団的自衛権 砂川判決のご都合解釈(朝日新聞6日)
http://www.asahi.com/articles/DA3S11070230.html?ref=editorial_backnumber
(社説)集団的自衛権 「限定容認」という詭弁(東京新聞5日)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014040502000148.html?ref=rank
「禁じ手」破り――武器輸出三原則も撤廃(水島朝穂「今週の直言」7日)
http://www.asaho.com/jpn/bkno/2014/0407.html

▽特定秘密保護法をめぐる自民の姿――亡国の輩の断末魔の驕り

 東京新聞6日付の記事<秘密保護法 成立4カ月 監視機関設置 自公に溝>が、<特定秘密保護法>をめぐるその後の動きを伝えている。  記事は、<国民の「知る権利」を侵す恐れが強い特定秘密保護法をめぐり、国会の監視機関設置が難航している>ことを伝えている。<権限や役割に関する自民、公明両党の意見の隔たりが大きく、法成立から4カ月たっても与党協議すら始められない状況>だという。
 そもそも自民案は、<衆参両院にそれぞれ委員会を設置するものの、開催するのは常任・特別委からの要請で政府に特定秘密の提供を求める場合だけ>で、<秘密指定の適否を判断する権限も持たせない。役割は限定されており、委員会という「器」をつくるだけでお茶を濁している印象>(東京新聞)である。
 だいたいが監視機関について、<国民の反発を懸念した安倍政権が野党を取り込もうと、設置要求を受け入れた>経緯がある。<「自民にまとめるつもりはない」(みんな幹部)と本気度を疑う声もある。自公間の溝が埋まらず、野党が協議に参加する環境は整わない>というわけだ。
 監視機関の設置は昨年11月、自民、公明、日本維新の会、みんなの与野党4党が合意し、与党は2月、実務者による検討チーム発足を決めたという経過があるが、自民案と公明案で機関の位置付けが全く異なっている。公明党は結局、安倍右翼カルト勢力にひきずられている印象が強いが、安倍の党外応援団の維新、みんなをけん制するジレンマもあるのだろう。公明党は、結果的に安倍の補完勢力としての役割しか果たせないとなれば、維新やみんなと同様、政党としての存在意義を喪失しかねないことを自覚する必要があろう。
 記事は、特定秘密保護法に対して反対した勢力の対応について、<ほかの野党は対応が分かれている>として、民主党は、特定秘密を含む行政資料の国会提出を政府の裁量に委ねる国会法を見直し、原則義務づけるべきだと主張、結いの党と生活の党は本格的な検討を行っていないが、自民案では不十分だと訴え、共産、社民両党は国会の監視機関は機能しないとみて、法律自体を廃止するよう求めていることを伝えている。
 「監視機関」について自民党は、<委員会という「器」をつくるだけでお茶を濁して>おり、自民は<「まとめるつもりはない」>のである。秘密保護法はまさに「稀代の悪法」であることを、自民党はその後の対応からもさらけ出しているのである。特定秘密保護法についてだけでなく、「亡国」の輩でしかない安倍に「即刻退場」のレッドカードを突きつけるときがおとすれている。
 朝日新聞によると、地方議会が、特定秘密保護法の廃止を求める意見書を続々と可決している。昨年12月の法成立後で108議会に及んでいる。今年2〜3月だけでも60以上の議会が廃止を求める意見書を可決しており、同法への不安や強引に成立させた政権への批判が深く、根強く拡大していることがわかる。
 国会議員や各党勢力には、自民党や公明党のなかの良識ある人々も含め、党派を超えた協同行動が求められている。メディアやジャーナリストには、国民に知る権利を保障し代行する機関や職業人としての存在意義を、あらためて、はっきりと指し示すときである。
 そして日本の市民社会は、あらゆる機会とネットワークを駆使して、安倍の右翼カルト政治を断固拒否し、その声を強め、広げ、連帯の渦を巻き起こしていかねばならない。無力・無謀・ずさんな政治のツケが日常生活にまで浸透し、脅かしているが、だからこそなお、いま日本の市民社会は、あらゆるしがらみや党派や思想信条の枠を超えて結集し、声を合わせるときである。またそれを通じて、萎縮し歩みののろくなっている国会議員や政党、あるいはメディアや官僚を鼓舞し、突き動かしていかねばならない。
 いま、まさにそのときをむかえているのである。この危機こそ、自民党が時代から取り残されたがゆえの断末魔の姿である。愚かな安倍に擦り寄っている自民党に未来などない。そのことを証明してゆくのもまた、日本国憲法第9条を世界に掲げるわれわれ日本の市民社会に、先人から託され課された「宿題」にほかならないのである。

秘密保護法 成立4カ月 監視機関設置 自公に溝(東京新聞6日)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014040602000114.html
「特定秘密法廃止を」108地方議会が意見書可決(朝日新聞5日)
http://www.asahi.com/articles/ASG44455LG44UTIL01J.html



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