2014年08月02日

シリア、イラク、ガザで「三重殺」=伊藤力司

 世界最古の文明が始まった中東では、シリアの内戦がイラクの宗派間抗争に伝播、さらにパレスチナとイスラエルの戦闘が再発した。この地に淵源を持つユダヤ教、キリスト教、イスラム教間の宗教紛争や宗派抗争が絡んでおり、収拾の展望は全然見えないままだ。
 アラブ世界に多い独裁体制を民衆のデモで倒した「アラブの春」は、2011年1月のチュニジアを皮切りにエジプト、リビア、イエメンの独裁者を次々に葬った。この勢いは2代40年余にわたるアサド独裁体制のシリアにも波及した。

 イスラム教シーア派の一派アラウィ派(国民の12%)が権力中枢に居座るアサド政権は11年3月から、国民の74%を占めるイスラム教スンニ派による反独裁デモを容赦なく武力弾圧。これが本格的内戦に拡大し、反政府派は欧米諸国やサウジアラビアなどスンニ派湾岸諸国からの支援で「自由シリア軍」を立ち上げ、政府軍と戦った。
 やがて反政府側にアルカイダ(AQ)系のイスラム過激派が加わった。AQ直系のヌスラ戦線以外に「イラクとレバントのイスラム国(ISIL)」を名乗るイラクの過激派がシリア北東部を制圧。さらにシリア北部アレッポからイラク北西部に通じる一帯を押さえ、6月16日にはイラク北部の主要都市モスルを制圧、29日には「イスラム国」の樹立を宣言した。
 AQなどの過激派はいずれもスンニ派で、この「イスラム国」もスンニ派。イラク多数派のシーア派が母体のマリキ政権は、北部と西部に多いスンニ派住民の「イスラム国」への同調を防がなければならない。
 長年にわたりシーア派とスンニ派が曲がりなりにも共存してきたイラクだが、この「イスラム国」の消長如何で、国家分裂の危機が迫っている。
 一方イスラエル軍は7月8日から、パレスチナ人が密集して住むガザ地帯に激しい砲爆撃を浴びせた。15日までに100人を超える老若男女が殺された。66年に及ぶパレスチナ紛争を経て、イスラエル国内にもパレスチナ国家を認めようとする和平派も声を上げ始めた。しかし旧ソ連圏から移民してきた右派は和平に応じない姿勢だ。

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2014年7月25日号5面より


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posted by JCJ at 15:01 | TrackBack(0) | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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