2014年10月18日

基礎的な認識も有せず、いびつでずさんで薄っぺらの安倍亡国政権

▽「ルール感覚」を疑問視するほかない人物が法相についている

 毎日新聞が16日付の社説<松島法相の言動 政権にゆるみはないか>で、<松島法相は法相就任後もうちわを配布していたという。法相は死刑執行の命令という極めて厳粛な任務にあたる。さらに松島氏は特定秘密保護法も担当しているだけに「ルール」への感覚が疑問視されることは重大だ>と指摘している。
 そのとおりだと思う。社説は、「法務行政のトップである法相に強い規範意識が求められることは言うまでもない。軽率な言動が続くようでは閣僚の適格性すら問われよう>とも指摘する。これもそのとおりだろう。

(JCJふらっしゅ「ニュースの検証」=小鷲順造)


 報道によると民主党は17日、松島法相(衆院東京14区)が地元でうちわを配布したのは公職選挙法違反(寄付違反)だとして、東京地検に告発状を提出した。(→時事通信)
 告発状は、1)松島氏は経済産業副大臣や法相の肩書を表示したうちわを自らの選挙区内で行われた祭礼やイベントで、多数の人に配布したことを指摘、2)この行為は、公選法が禁じる選挙区内での寄付に該当する、とした、3)また、他の議員は、違法のため大きな宣伝効果が見込めるうちわの配布をしていないが、松島氏は不当な宣伝効果を上げており、極めて悪質だとして、4)検察当局に対し厳正な捜査を求める内容だ。
 前述の毎日新聞社説が指摘するように、法相は<死刑執行の命令という極めて厳粛な任務にあたる。さらに松島氏は特定秘密保護法も担当しているだけに「ルール」への感覚が疑問視されることは重大>である。民主党の階猛衆院議員は告発状提出後に国会内で記者会見し、「『たかがうちわ』とは到底言えない。本当に問題のある行為は看過できない」と訴えたという。
 時事通信は、この告発が<受理されれば、検察当局を所管する法相が捜査対象となる異例の展開となる>とした。なお同記事は、<松島氏は、これまでの国会答弁で「うちわのように見えるかもしれないが、討議資料として配った」と、配布物がうちわであることを認めていない>としている。

▽「政治とカネ」の問題は政治不信の元凶

 東京新聞は17日、小渕経産相の地元群馬県にある政治団体「小渕優子後援会」と「自民党群馬県ふるさと振興支部」が、支援者向けに2010年と11年に開いた東京・明治座の観劇会で、会費収入計約742万円に対し、支出が計約3384万円に上ることが16日、政治資金収支報告書で分かった、と報じた。
 記事は、小渕氏は、差額の約2642万円を政治団体が負担した形になっていることについて、<事実なら違法性がある>との認識を示したこと、進退については明言を避けたことを伝えた。
 この件については、毎日新聞が16日付で<小渕氏資金管理団体:不透明支出、5年間で1000万円超>の記事を出して、「事務所費でベビー用品/組織活動費でネギ」の詳細のほか、「元首相の残した1.2億円引き継ぐ」で資金管理団体についてや繰越金や収支の推移を伝えている。
 また、「過去には閣僚辞任」の小見出しを立てて、閣僚の政治資金の不適切な支出を巡る動きを整理している。
1)06年、存在しない事務所に光熱水費や事務所費などを計上した自民党の佐田玄一郎行政改革担当相(当時)が閣僚を辞任した。
2)翌07年には後に自殺する故松岡利勝農相(同)が資金管理団体の「主たる事務所」を議員会館に置きながら、本来かからないはずの光熱水費を1年間で約507万円計上していたことが発覚。追及された松岡氏は「なんとか還元水や暖房とかそういうものが含まれる」などと苦しい弁明を繰り返した。
3)同年、赤城徳彦農相(同)も後援会所在地を父親の自宅として届けながら巨額の事務所費などを計上、別の政治団体の事務所も妻の実家に置きながら毎年100万円以上を計上したことが問題化して事実上、更迭された。
4)民主党政権でも荒井聡国家戦略担当相(同)の政治団体で10年、公表された領収書に少女向けコミックや音楽CD、衣料品(パーカや靴下、トランクス、キャミソール)などへの支出があり問題視された。

 朝日新聞は17日付の社説<小渕経産相 自ら解明し、説明を>で、<小渕経産相に、政治とカネにまつわる疑惑が浮上した。小渕氏はきのうの参院経産委員会で「お騒がせしていることを申し訳なく思う」と陳謝したが、まずは納得できる説明を求めたいと問題の概略を示した上で、以下を指摘している。
1)いずれも重大な問題である。小渕氏は後援会などに事実関係の調査を求めているが、自らの責任で結果を早急に明らかにすべきだ。
2)政治とカネといえば、2006年からの第1次安倍内閣では、「事務所費」などの名目による不透明な支出が次々と明らかになった。閣僚が苦しい説明を繰り返したあげく、辞任ばかりか自殺にまでいたるという悲劇も起きた。
3)先の第2次内閣ではこの種の不祥事は影を潜めていた。ところが改造されたとたんに松島法相が選挙区内で自身の似顔絵入りのうちわを配ったり、江渡防衛相が政治資金収支報告書を訂正したりといった問題が表面化した。相次ぐ事態を安倍首相はどう考えているのか。
4)閣僚に限らず政治家は、疑惑を持たれれば説明するのは当然だし、公選法や政治資金規正法は厳格に運用されなければならない。野党が国会で厳しく追及するのは当然だ。
5)国会で議論すべき課題はたくさんある。それなのに経済の成長戦略やエネルギー問題、安全保障政策などの重要政策を担当する閣僚が、貴重な審議時間を自らの疑惑の釈明に費やさざるを得ない状況にしてしまった責任は極めて大きい。

 東京新聞は17日付の社説<政治とカネ 国会議員が範示さねば>で、以下を指摘している。<公開が前提の政治資金ですら、不適切な使途が指摘されるのだから、非公開なら 何に使われているのか、分かったものではない>との指摘、<地方議会の政務活動費も不正使用が指摘されている。国権の最高機関たる国会議員こそ、率先して透明性確保に努める責任を負っている>との指摘は、この問題を考えていくうえで大事なポイントであろうと思う。
1)「政治とカネ」の問題は政治不信の元凶だ。使途の適正化と透明性の確保に向けて、国会議員自身が範を示さねばならない。「李下(りか)に冠を正さず」との教えは、いつになれば浸透するのか。
2)小渕氏は国会で使途について説明し、「公私混同ではないと思う。政治活動に必要な範囲内の支出と考える」と述べた。しかし、政治資金はそもそも公私混同が疑われるような、不明瞭な使い方をすべきではない。
3)週刊新潮は、小渕氏関連の政治団体が、支持者向けに開いた観劇会などで二千万円を超える金額を支出していたと報じた。政治団体側が実費を超える負担をしていれば有権者への利益供与に当たり、集票目的なら公職選挙法違反、政治資金報告に虚偽の記載をしていれば、政治資金規正法違反に問われる可能性がある。
4)小渕氏は「しっかり調査して対応したい」と述べた。言葉をたがえず、まずは徹底的に調べ、真実を明らかにすべきである。
5)公開が前提の政治資金ですら、不適切な使途が指摘されるのだから、非公開なら何に使われているのか、分かったものではない。歳費とは別に国会議員一人当たり月額百万円が支給される文書通信交通滞在費(文通費)である。郵便や電話の料金、出張旅費などに充てる経費で非課税。使途報告や領収書提出は不要で、余っても返還しなくてもよい。
 十年以上も前から領収書の提出や使途公開の必要性が指摘されながら、改革に取り組んでこなかった。怠慢のそしりは免れまい。
6)日本維新の会と結いの党が合流した「維新の党」は文通費の支出内容を公開する方針を決めた。他党に呼び掛け、公開を義務づける法改正も目指すという。この際、各党も応じたらどうか。
7)政治に多額の資金が必要でも、使途を公開し、証明して国民の理解を得ることが大前提だ。地方議会の政務活動費も不正使用が指摘されている。国権の最高機関たる国会議員こそ、率先して透明性確保に努める責任を負っている。

▽人権意識も国際感覚もあやしい国家公安委員会委員長

 山谷えり子・国家公安委員会委員長兼拉致問題担当相の問題行動は、松島法相や小渕経産相の問題が浮上する前から指摘されている。
 日刊ゲンダイは11日付けの<山谷えり子大臣 今度は「統一教会」との親密関係が問題視>の記事で、<安倍内閣にはまともな大臣がいない。どいつもこいつも安倍内閣にはマトモな大臣がいない。松島法相、塩崎厚労相、山谷国家公安委員長――。閣僚のスキャンダル連発で倒れた第1次安倍内閣のようになってきた。野党は徹底追及するべきだ>と書いている。
 記事は、山谷えり子大臣が、ヘイトスピーチ団体元幹部との“記念撮影”など、国民不信の原因をつくっている張本人と批判、海外からも厳しい非難の声が挙がっていることを指摘した上で、<霞が関で「ヘイトスピーチ団体よりもタチが悪い」とささやかれ始めているのが「統一教会」との関係だとしている。
 <統一教会は、霊感商法で社会問題化した宗教団体。公安調査庁も98年の参院法務委員会で、「統一教会が種々社会的な問題を引き起こしている団体であるということは十分承知している」と認め>ている団体である。ところが山谷大臣は、<衆院議員だった2001年11月に統一教会系の「世界日報」に登場>し、<「夫婦別姓は福音か」と題した記事で、夫婦別姓に異論を唱え>、また、<一部週刊誌では2010年7月の参院選で、統一教会の政治団体の全面支援を受けていた疑惑を報じられ>た。記事は、<警察庁を管理する国家公安委員会のトップが、国が問題視する団体と「深い関係」なんて冗談ではない>と厳しく批判している。

 9月29日には総務省前で、山谷えり子大臣に辞任を求めるデモもあった。週刊金曜日が10月3日号に、そのレポートを載せている。山谷大臣は、<過去に元在特会幹部の増木重夫氏と写真に収まっていたことが発覚。また、『週刊文春』の取材で在特会を「知らない」と答えたとされるが、TBSラジオ番組の取材には「『在日特権』をなくすことを目的として活動している組織と承知しています」と文書で回答していたことが発覚した。会見ではこの矛盾を問われ、「(『文春』記事は)事実ではございません」と弁明する一幕もあった>。
 そうした迷走を経て25日、山谷大臣は日本外国特派員協会の会見で、在特会との関わりを追及された。山谷氏はヘイトスピーチについて、<「憂慮にたえない」「違法行為があれば法と証拠にもとづいて厳正に対処していかなければならない」などと述べる一方で、具体的な取締りについては終始言明を避けた>のである。
 29日に行われた総務省前での「山谷大臣は辞任を」のデモ参加者は200人ほどに膨れ上り、参加者からは「極右、ネオナチの賛同者が閣僚を務めていることが恥ずかしい」などの声が挙がったという。また、デモには翻訳家の池田香代子氏も駆けつけて、「外国特派員協会の会見を見た。大臣はヘイトスピーチを憂慮すると言いながら、在特会に対してはノーコメント。外国メディアは山谷大臣と在特会との関係を察知しているのに、NHKは拉致問題に関する自局記者の質疑しか報じなかった。メディアが事実を伝えていない」と批判したと伝えている。

 <ネオナチの賛同者が閣僚を務めている>という指摘が世界に広がる中、<ヘイトスピーチを憂慮すると言いながら、在特会に対してはノーコメント>という人物が、国家公安委員会委員長兼拉致問題担当相についているという現実。さらに、問題の本質に迫ろうとした外国特派員協会の会見で、<NHKは拉致問題に関する自局記者の質疑しか報じなかった>という公共放送の報道姿勢。いずれも、いま日本社会が直面し抱えている重大かつ深刻な問題を、象徴している。
 ヘイトスピーチと呼ばれている行為については、人々に不安感や嫌悪感を与えるだけでなく、差別意識を生じさせる言動であることが指摘されている。それは現実においては、「朝鮮人は半島に帰れ」「皆殺し」「死ね」などと叫ぶ団体が、隣国の民族や国民の生活や人権、命を脅かす内容を含んでいる。8月末には国連の人種差別撤廃委員会の勧告をうけるまでに事態は深刻化した。これをうけて自民党の中にもPTができたが、このヘイトスピーチ対策を、国会周辺でのデモ規制とを混同させて、あわせて議論しようとする劣悪きわまりない人物(高市早苗現総務相など)も出て批判を浴びた。

 安倍内閣の松島みどり法務大臣は、「ストール」「うちわ」「議員宿舎」などで連日追及を浴びると、「色々な雑音でご迷惑をかけたことは残念」(朝日新聞)と、自身の問題で自身に降りかかったことを言ったり、問題の「うちわ」について、「見方によっては<うちわ>とする人もあるかもしれないが、あくまで<討議資料>」と主張したりする。
 山谷大臣は、過去に元在特会幹部の増木重夫氏と写真に収まっていたことが発覚。また『週刊文春』の取材に在特会を「知らない」と答えたりしたうえに、TBSラジオ番組の取材では「『在日特権』をなくすことを目的として活動している組織と承知しています」と文書で回答し、「(『文春』記事は)事実ではございません」と弁明して迷走、追い込まれてヘイトスピーチは<「憂慮にたえない」「違法行為があれば法と証拠にもとづいて厳正に対処していかなければならない」と述べても、具体的な取締りについては言明を避け続ける。高市現総務相は、国際問題となったヘイトスピーチ対策に国会周辺でのデモ規制を絡めようとする。
 従軍慰安婦問題について、首相の安倍氏はひたすら「いわゆる狭義の強制性と広義の強制性がある」「つまり、家に乗り込んでいって強引に連れていったのか、また、そうではなくて、これは自分としては行きたくないけれどもそういう環境の中にあった、結果としてそういうことになったことについての関連があったということがいわば広義の強制性ではないか」などと、話を細部に引きずり込み「狭義の強制性」はなかったなどと主張しながら、たとえば朝日新聞が、80年代および90年代に掲載した元日本軍兵士であった吉田清治証言(現韓国領の済州島から女性を誘拐するのに立ち会ったと主張するなど)を誤報と認めると、今度は、同紙が外国メディアが性奴隷に関する不正確な情報を広めるきっかけになったと言い始め、あわせて従軍慰安婦問題などなかったかのようなキャンペーンをメディアを巻き込んで張ろうとするのである。

 安倍政権の閣僚の面々の「論理」とは到底いえない言動の数々に、通底する無責任さは、首相の安倍氏が、ずさんなまま強引に成立させた特定秘密保護法、日本国憲法を無視して勝手に憲法解釈を変え、集団的自衛権の行使容認を打ち出した閣議決定、武器輸出の解禁、原発輸出・原発再稼働、そして財界からの政治献金復活の動き等々の問題について、語るべきことを語らず、つまらぬレトリックやごまかしで批判を押さえ込んできたと自ら思い込んでいる姿と共通している(右翼カルト政権の体質からみると、一連の不祥事で最初にしっぽきりの対象とされるのは、小渕経産相か)。
 薄っぺらな掛け声だけの人気取り「アベノミクス」も化けの皮がはがれてきたが、閣僚としてばかりでなく議員としても、基礎的な認識も有せず、いびつでずさんで薄っぺらという姿がくっきりと浮かび上がってきた安倍自公政権。自分たちの閣僚や与党議員としての地位を、現代社会には通用しないゆがんだ手法で永遠のものにしようと焦り、またその一方で与党返り咲きのために明白なルール違反、法律違反を犯してまで有権者に「投資」し、そのツケを大急ぎで取り返そうとでもするような企業献金の復活、原発再稼働、カジノ導入、武器輸出緩和等々の、「いびつでずさんで薄っぺら」としか思えない「亡国」の路線。
 これ以上、この政権に「亡国の道」を歩ませることは、断じて許されない。そのことを市民とジャーナリストは協働し、さらに取材を深め、真相をえぐり、繰り返し強調していく必要が出ている。

(こわし・じゅんぞう/日本ジャーナリスト会議会員)


社説:松島法相の言動 政権にゆるみはないか(毎日新聞16日)
http://mainichi.jp/opinion/news/20141016k0000m070129000c.html
松島法相を刑事告発=うちわ配布は公選法違反−民主(時事通信17日)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2014101700604
小渕氏、費用負担なら違法と認識 進退明言避ける、政治資金問題(東京新聞17日)
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014101601001545.html?ref=rank
小渕氏資金管理団体:不透明支出、5年間で1000万円超(毎日新聞16日)
http://mainichi.jp/select/news/20141016k0000m040147000c.html
(社説)小渕経産相 自ら解明し、説明を(朝日新聞17日)
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11405611.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11405611
政治とカネ 国会議員が範示さねば(東京新聞17日)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014101702000165.html
山谷えり子大臣 今度は「統一教会」との親密関係が問題視(日刊ゲンダイ11日)
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/154061
警察トップが在特会と関係?――「山谷大臣は辞任を」(週刊金曜日16日)
http://blogos.com/article/96642/
下村博文文部科学大臣記者会見録(文部科学省平成26年9月26日)
http://www.mext.go.jp/b_menu/daijin/detail/1352139.htm
ヘイトスピーチ規制、なぜ難しい?曖昧な規制基準、公権力がお墨付きを与える危険も(Business Journal9月23日、大石泰彦)
http://biz-journal.jp/2014/09/post_6107.html
衆院安全保障委 野党5党欠席のまま質疑(NHK14日)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141014/k10015394561000.html


posted by JCJ at 16:55 | TrackBack(0) | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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