2014年12月03日

【申し入れ】2014年総選挙に際し、介入、圧力に屈せず、自律的で充実した選挙報道を求めます。=放送を語る会、JCJ

 自民党がテレビ各局に対し、選挙報道にあたり「公平中立、公正の確保」を求める文書を送った件について、放送を語る会は、JCJ(日本ジャーナリスト会議)と連名で、NHK放送総局長・報道局長・「ニュース7」「ニュースウォッチ9」の編集責任者・担当者、民放キー局(NTV・TBS・フジ・テレビ朝日)報道局長およびニュース番組担当者に宛てて、下記の申し入れを送付しました。


2014年12月1日

NHK、民間放送各社、
報道・編集責任者 各位
放送を語る会     
日本ジャーナリスト会議

◇ 2014年総選挙に際し、介入、圧力に屈せず、 ◇
自律的で充実した選挙報道を求めます。

 衆議院選挙が始まっています。投票にあたって有権者の多数がテレビ報道を重要な判断材料としていることを踏まえ、視聴者団体 放送を語る会と日本ジャーナリスト会議は、選挙報道に対し次のように要請します。

1)11月20日、自民党からテレビ各局に、選挙報道にあたって「公平中立、公正の確保」を求める文書が送られました。
 その内容は、出演者の発言回数や時間、ゲストの選定、街頭インタビューなどで「公平・中立」を要求していると伝えられています。
 この申し入れは、市民団体や政党が行う一般的な要請とは質的に異なり、報道内容に具体的に介入・干渉する不当なものです。同時に、放送事業者を監督する政府を担ってきた政権政党の申し入れは、権力による介入の性格を帯びる危険なものです。
 とくに選挙報道に「中立性」を求める圧力は無視できません。総選挙の争点の一つが、安倍政権の政治の検証にあるとすれば、政治、社会状況の批判的報道が重要ですが、「中立」要求は、こうした批判的報道を制約する意図によるものと考えられるからです。
 放送法は、番組編集にあたって、「政治的に公平であること」「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」(第4条)と定めていますが、個々の番組で「中立」を求める規定はどこにもありません。
 選挙報道も原則として第4条の規定に従えばよく、また、第3条は「放送番組は、法律に定める権限に基く場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない」と規定しています。
 テレビ報道機関には、この放送法の規定を力に、圧力・干渉に屈せず、自律的な報道を貫かれるよう要請します。

2)政権与党は、「アベノミクス解散」などといって、争点を経済政策に絞ろうとする意図を見せています。しかし、総選挙は、有権者の国政にたいする意思表示を広く求める重要な機会です。
 経済政策だけでなく、集団的自衛権行使、特定秘密保護法、原発再稼働、沖縄基地問題、貧困と格差、雇用、社会保障問題、国の在り方にかかわる憲法改定問題など、有権者が判断すべき問題は多岐にわたります。選挙に当ってこれらの諸問題の争点を広く深く明らかにする報道を求めます。
 その際、単に各政党の主張を羅列的に伝えるだけの報道や、政局の動向の情報に偏重することなく、国内外の現状がどうなっているか、独自の調査報道を充実させ、有権者の政治的判断に役立つようにしてください。

3)これまでの選挙報道では、議席の多い政党の主張や動向に放送時間が多く割かれるという抜きがたい傾向がありました。少なくとも公示から投票日までの期間、政党の政策・主張を紹介するにあたっては、現在の議席数の多少にしたがって放送時間量を配分するのではなく、報道の中で各政治勢力にできるだけ公平に主張の機会を与えることを求めます。

4)上記のように選挙報道を充実させるためには、現在の番組編成の延長線上では実現が困難です。選挙関連番組を、長時間、数多く放送できるよう、編成の姿勢を抜本的に見直し、選挙報道の量と質を拡充することを求めます。
 このところ総選挙の投票率が下がり続けています。2年前の総選挙では投票率が6割を切りました。投票するかどうかは本来有権者の判断によりますが、投票する有権者の比率が50パーセント台まで下がったことは、民主主義にとって望ましい状況ではありません。
 争点を明確にした充実した選挙報道で、総選挙に対する有権者の関心を高めることを特別に重視されるよう要請します。

 これまでの選挙報道への申し入れで、私たちが繰り返し指摘してきたように、放送法は、法の目的を、「放送に携わる者の職責を明らかにすることによって、放送が民主主義の健全な発達に資すること」(第1条3号)としています。
 選挙報道は、放送が民主主義の発展に貢献するもっとも重要な機会です。テレビ局報道担当各位に、以上の要請をしっかりと受け止めていただくよう願うものです。
以 上


posted by JCJ at 10:45 | TrackBack(0) | パブリック・コメント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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