2014年11月20日

無人機ドローンカメラの使用認可に危惧=隅井孝雄

 10月初旬、香港の若者の座り込みやデモを上空から無人機カメラが撮影した映像が世界各国のテレビ局で流れた。高層ビルの谷間での数十万人もの座り込み大群衆を伝える手段は、この映像にまさるものはなかった。8月の広島安佐北区・南区などの土石流が駆け下りた谷間の状況を伝えようとNHKはラジコン操作の無人機小型カメラを取材が踏み込めない谷沿いに飛ばした。

 昨年フィリピンを襲った台風取材でイギリスの報道カメラマンがPC制御のドローン(drone)カメラを使ったが、その映像は想像を超える被害を実に克明に描き出した。ジャーナリズムにとってのハイテク新技術の登場が始まったといえよう。いま世界ではコンピューター操縦による無人機ドローンの民間での活用、特に映像撮影への利用がホットな争点になっている。
 無人機ドローンといえばアメリカがアフガニスタンやイラクでアルカイダなどを攻撃する武器として多用、軍事優先で民間利用やメディアの活用が阻まれてきた。ところが10月25日、米連邦航空局がテレビ番組・映画制作会社6社に無人機を撮影に利用することを認め、カメラの商業利用に道を開いた。重量25キログラム以下、飛行高度は120メートル以下、飛行区域は撮影セットに限られるのだが――。制限付きとはいえアメリカで解禁されたことを世界の映画・テレビ業界は大いに歓迎している。
 ドローンは、もともとは蜂の羽音を意味していたが、今はもっぱらコンピューター遠隔制御の無人機の意味に使われている。ミサイルも登載できる大型機もある一方、撮影カメラをのせた、手のひらサイズのものもある。デジカメやiPhoneが空を飛ぶようなものだ。映画『ハリーポッター』のセット、ブラジルワールドカップのスタジアムなどで使われる一方、新聞のウエッブニュースのための映像撮影にも登場している。今後報道メディアの利用がじわりと進むと思われるが、全面的な実用化にはさまざまな隘路がある。それは国のコントロール、プライバシー保護、安全性確保などだ。
 飛行撮影には国の航空当局の承認が必要とされ、取材・報道の自由侵害の恐れがある。またプライバシーの観点からの問題も起きるだろう。デモを上空から撮れば参加者を識別できる。個人の庭やテラスに入り込むため、セレブも無名の市民も防御不可能だ。
 今後、ドローンによる取材・撮影が濫用されるのか、調査報道など新しいメディアの可能性を切り開くのか、慎重な対応が必要だろう。
(JCJ代表委員)


*JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」(2014年11月25日号)


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