自民、公明の政府・与党間協議は、「米艦以外の防護」や「グレーゾーン」、「地理的制約の撤廃」「武器使用の拡大」「文民統制の撤廃」「船舶検査の拡大」「恒久法」などと個別のテーマを次々と報道させ、目眩ましをし、国民を混乱させながら、総体として「いつでも戦争ができる国作り」への道を描いた。3月20日の合意内容は、「集団的自衛権」という言葉を巧妙に避けながら、「後方支援」という名で米国の戦争に自衛隊が実質的に参加することを可能にする「壊憲」の方針である。
安倍内閣は、大震災の被害者対策や原発事故の現状は放置したまま、原発再稼働や原発輸出を推進し、沖縄・辺野古の基地建設では、県民の一致した反対を無視し、知事に会うことさえしないで工事を強行し、次々と違憲・壊憲の立法や政策を進めている。「自衛隊は軍隊ではない」という一点で憲法九条違反とされなかった自衛隊を「わが軍」と呼んだ3月20日参院予算委での安倍首相の発言は、首相の危険な憲法観の本質を示す象徴であり、また国民の意識を「自衛隊」から「軍隊」へとすり替えさせるものである。自民党は解釈変更による壊憲にとどまらず、来年の参院選後の明文改憲を目指すスケジュールを決めている。
戦後70年のことし、私たち日本ジャーナリスト会議は、創立60年を迎えた。軍の横暴と、国家主義・排外主義と、ものも言えなくされた国民を煽動し戦争に協力した、かつての日本のジャーナリズムの苦い歴史を忘れることなく、再び戦争のためにペン、カメラ、マイクを取らないと誓ったジャーナリズムの精神は、いまこそ、すべてのジャーナリストに思い起こされ、実践されなければならない。
この危機に、さまざまに分かれて活動してきた市民運動の団体は、3月22日、11の項目を上げ、大集会とデモを成功させた。5月3日の憲法記念日の集会も統一して行われることが決定している。
すべてのジャーナリストは、こうした広範な人々とともに、「戦争法制」をはじめとし、日本を再び戦争する国にし、差別を拡大し、自由にものが言えない社会を作るあらゆる企てに反対する活動を進めようではないか。
「1人ひとりがジャーナリスト」のスローガンを掲げて、多くの国民と共同し、この攻撃を跳ね返し、日本国憲法を擁護し発展させていく活動を進めようではないか。
2015年3月28日
日本ジャーナリスト会議
日本ジャーナリスト会議