2015年04月01日

「植民地支配」怒る沖縄記者──全国紙は「ひとごと報道」か=米倉外昭

 誰のために何を書くのか。そう自問しながら、沖縄の地元メディアの記者たちは名護市辺野古の現地で、国家権力のむき出しの暴力に目を凝らし続ける。
 琉球新報と沖縄タイムスは2紙とも一線記者のほぼ全員がローテーションで連日現地に張り付く。抗議船団のうちの取材団を乗せるいわゆる「メディア船」は、通常記者1人、カメラマン1人。24時間態勢で監視を続けるキャンプシュワブのゲート前にも1人以上。写真部はさらに潜水取材や空撮取材もこなす。
 記者たちはそれぞれの持ち場のルーティンをこなしながら、当番の日は未明の真っ暗な中、自らハンドルを握って現地へと向かうのである。

 3月12日、ついにボーリング調査が再開された。
 13日付琉球新報の社説は〈早急に許可取り消しを/民主主義への挑戦許せない〉と題して、沖縄の民意を無視してごり押しする政府を厳しく批判。知事に「岩礁破砕許可を取り消す時期はとうにきている。決断を求めたい」と迫った。

 日本政府と沖縄県の対決はぎりぎりの局面を迎えている。
 沖縄弁護士会(島袋秀勝会長)が「辺野古における海上保安庁による警備活動についての会長声明」を発表し、13日付で報道された(声明の日付は11日)。海保の活動は、海上保安庁法の要件を充足していないと指摘し、「海上での警備活動においては、海上保安庁法の定める強制措置の際の厳格な要件を遵守し、かつ市民の政治的表現活動の自由に対して十分な配慮をなすよう、強く求めるものである」と結んでいる。地元弁護士会が言論・表現の自由の問題として声明を出したことは重要だ。

 この1カ月だけを振り返っても、辺野古をめぐってあまりにも多くの出来事が起きた。
 大半の全国メディアは、工事の進捗、行政上・法律上の手続き、特に政府と沖縄県の対決とその行方など、いわゆる「落としどころ報道」にのみ向いている。  「人ごと報道」と言ってもいいだろう。
 沖縄タイムスは「辺野古への眼力」という県外識者による寄稿連載を1面で始めている。
 10日付の第3回はジャーナリストの大谷昭宏氏。歴史上、植民地支配において行われてきたことを例示した上で、こう述べる。「現在、日本政府が沖縄でやっていることは、まさにこれではないか。日本政府にとって、いやもっと言えば、本土にとって沖縄は植民地なのか」。大谷氏には、「人ごとではない」と沖縄以外の人々に訴えていただきたい。

 戦後70年の今、沖縄で日本政府が行っていることの重大さを自らのこととして考え、取材し、報道することができるのか。戦争への反省から出発したはずの日本の戦後ジャーナリズムは、いま崖っぷちに立っている。

(琉球新報記者、前新聞労連副委員長)


*JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2015年3月25日号


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posted by JCJ at 11:00 | TrackBack(0) | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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