2015年07月04日

米中、南シナ海でつばぜり合い=伊藤力司

 「海洋強国」を目指す中国は南シナ海の南沙(スプラトリー)諸島で岩礁を埋め立て、滑走路などを造成している。米国はこれが船舶や航空機の自由航行を侵害するとして強く反発、海空からの武装偵察を続けることを宣言し、米中間に軍事的緊張が走っている。
 文革の後遺症を脱して1980年代から高度成長を続けた中国は世界第2の経済大国として年々の国防予算2桁増額を実行、軍事大国路線を突っ走ってきた。その勢いに乗じて、今や唯一の超大国アメリカに「新型の大国関係」を組もうと呼びかけている。

 南シナ海の南沙諸島、西沙(パラセル)諸島は第2次大戦中日本が支配していたが、大戦後はベトナム、フィリピン、マレーシア、台湾など周辺諸国が自国に近い島を領有してきた。そこへ昇り竜となった中国が92年、南シナ海の大部分を「中国の領海」であると一方的に宣言して紛争が続発。そこで中国とASEAN(東南アジア諸国連合)は2002年、武力行使の回避や岩礁埋め立ての自粛をうたった「南シナ海行動宣言」を調印した。
 しかし中国は習近平政権が発足した2012年以降、南シナ海で攻勢を強め、フィリピンも領有権を主張するファイアリクロス(永暑)礁では大型人工島を造成、米国の予測では2018年までに滑走路が完成するという。これに対し米国は今年5月、中国が主権を主張する岩礁の12カイリ以内の偵察行動を行うと警告、一触即発の緊張が続いている。
 では米中は互いに軍事衝突も辞さないのか。答えはNOだ。共に核兵器大国である米中が戦争できるわけがない。だが本国でも人気のないイラク戦争、アフガン戦争で権威を失墜し財政赤字に苦しむ米国だが、太平洋の覇権を中国に譲るつもりは毛頭ない。9月に訪米する習近平主席は「新型の大国関係」の構築をオバマ大統領に迫る。
 中国は「覇権を求めない」と言いながら、米国に向かって「太平洋は広いから2大国が共生できる」とも言い始めている。今や追われる立場のオバマ大統領は「リバランス(再均衡)」というアジア(実は中国)重視政策で、習主席に立ち向かうはずだ。

*JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2015年6月25日号


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posted by JCJ at 06:43 | TrackBack(0) | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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