2015年07月24日

安倍政権の安保法案(群)とその審議から見えてきた危険=そこに立憲主義はあるのか、民主主義はあるのか、平和主義はあるのか、人権尊重の意識はあるのか

▽憲法「このまま存続すべき」60%、「変えるべき」32%

 共同通信社は、5〜6月に郵送方式で世論調査を実施した。戦後70年に当たり、憲法改定の是非など国民の意識を探るもの。
 調査の結果によると、憲法について「このまま存続すべきだ」60%、「変えるべきだ」32%。(1994年の面接調査では、憲法に関し「このまま存続」は55%、「変える」は34%だった)
 また、戦後の歩みの中で良かったこと(二つまで回答)は。「国が復興し経済的に発展した」55%、「他国と戦争せず平和だった」54%が上位を占めた。
(JCJふらっしゅ「報道クリップ」=小鷲順造)23日付


 記事は、<戦後70年を迎え、安倍政権による安保政策の変質が進む中、憲法や平和の重要性が再認識されているといえそうだ>と付け加えて報じた。

 政権につくにあたって、遵守を誓っているはずの日本国憲法を守れないどころか、軽視し毀損しようとしているのだから、そういう基本的なルールを理解できな輩たちには、とにかく早く政権から退いてもらうしかない。そして、勝手な閣議決定による解釈改憲を基礎に、「戦争へ参加する道筋」をつけようとする安保法案(群)の成立を強行しようとあの手この手で動き、さらには改憲へと突き進もうとする政権である。
 だれのためでもない。自分たちが二度と下野しない済むように、「支配層」としての座から引き摺り下ろされないで済むようにという保身と私利私欲のみを優先し、そのときによって説明も趣旨も異なるあいまいな答弁を繰り返しても平気ないいかげんな法案と無責任な態度で国会を切り抜けようとしている。

 この政治の劣化と日本の平和主義や民主主義、人権尊重社会の危機に直面する中で、日本の市民社会は、まさしく<憲法や平和の重要性>の再認識を進めているといえそうだ。それを基盤に、憲法遵守義務に違反する異常な政権を追い出し、そして同時に、立憲主義の血肉化を進め、平和主義と民主主義と人権尊重社会の絶えざる希求の姿勢とを機軸にとした、「いまあるべき」日本社会の再構築にまい進してゆくときであると思う。

改憲32%、変えない60% 戦後70年世論調査(共同通信21日)
http://www.47news.jp/smp/CN/201507/CN2015072101001689.html

▽「戦後日本の核心にふれるもので、短絡的な過程で決めるには重大すぎる」

 ニューヨーク・タイムズ紙は20日付けの社説で、与党が先週、衆議院で安全保障関連法案の採決を強行したことについて、「安倍総理が戦後日本の平和主義への痛切な誓いを尊重するのか大きな不安を引き起こした」と批判した(→TBS)。
 また同社説は、冒頭の批判に続き、戦後70年を経てアジアにおける中国の強引さが目立つなか「世界第3位の経済大国がより大きな国際的な役割を果たそうとするのは驚くにあたらない」と指摘しつつ、「問題はそうした目的ではなく安倍総理の手法だ」として、安倍政権が集団的自衛権の限定的な行使を憲法改正ではなく解釈の変更で認める法案を衆参両院で与党が多数を握る状況で採決している点を批判(→同)。

 「こうした変更は戦後日本の核心にふれるもので、短絡的な過程で決めるには重大すぎる」とし、学者やデモ隊の反論が巻き起こっているほか、世論調査でも法案に反対する声が多数であることを指摘している。
 社説は、「日本とアジア地域では、安倍総理が、長く平和主義をとってきた日本を戦争に導くことが心配されている」との強い懸念を示して締めくくっている。

 安倍の「歴史認識」のズレ、民主主義の理念と感覚の欠如、はなから「総合的な判断」力など期待できない、熟慮も熟考もなく浅薄な口先とバラマキだけの空疎な外交。不要なトラブルのタネばかり撒いて回る時代錯誤と、それに起因した無策・無能。日本の状況を敏感に感じ取る海外メディアから、こうした鋭い批判が出てくるのは当然といえば当然といえる状況となっている。
 日本の一部の新聞や雑誌などが、安倍政権の応援団やアドバイザーをあいかわらず気取っているが、その姿勢は社説や論評記事に極端に表出している。そこに立憲主義はあるのか、民主主義はあるのか、平和主義はあるのか、人権尊重の意識はあるのか。そのことが、いよいよ問われることになるだろう。

NYタイムズが安保法案の採決強行を批判(TBS21日)
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2545215.html
NYタイムズが安保法案の採決強行を批判(毎日放送21日)
http://www.mbs.jp/news/jnn_2545215_zen.shtml
米紙ニューヨーク・タイムズ、安倍首相の安保法案推進を問題視(ハンギョレ21日)
http://japan.hani.co.kr/arti/international/21405.html
Japanese troops set to fight overseas for first time since World War Two(BBC16日)
http://www.bbc.com/news/world-asia-33546379


▽「未成立の法案に関するコメントはしない」米国務省報道官

 気になっていたことだったが、少し様子が見えてきた。
 時事通信によると、15日の会見では安全保障関連法案について「日本の継続的な努力を歓迎する」と発言していた米国務省のカービー報道官は16日、法案の衆院通過について「未成立の法案に関するコメントはしない。不適切だ」と述べた。法案審議に影響を与えかねないとみて、軌道修正したとみられている。
 一般論として「日本は重要な同盟国であり、長年の友好国だ。協力を改善する方策を探ることにはいつでも関心がある」とする言い方にとどめたという。
 採決に合わせて日本各地で抗議活動が行われたことに関しては「政府に賛成であれ反対であれ、民主主義の国では人々は自分の見解を表明することが許されている」と話した。

 安倍政権は昨年7月の集団的自衛権を容認する解釈改憲の閣議決定をもとに、日本の国会審議に先んじて、米国との「お約束」に及び、それを背景とするかのように、乱暴かつ乱雑な国会運営をしている。
 しかしながら、その「お約束」のほど、中身、相互関係についてはどうなのか。 米国とは共和党筋、軍産複合体筋を軸とした関係を重視し、忖度の姿勢(国内ではNHKに顕著に出るあれ)を徹底して対米従属を貫いてきた自民党の古臭い体質は、首相の安倍氏及びその周辺において、かつての同党のリーダーたちも毛嫌いするほどに極端に薄っぺらく、画一的で、強圧的で、前時代的になっているとも聞いている。

 参院での審議では、安倍政権を構成し主導しているとされる面々の、そうした体質や本質を暴き出しながら、安全保障関連法案そのもののいいかげんさ、あわせて米国との関係の実態などについても、深く見極めてゆきたいところである。

安保法案「コメントは不適切」=影響懸念し軌道修正か−米国務省(時事通信17日)
http://www.jiji.com/jc/zc?g=pol&k=201507%2F2015071700144


(こわし・じゅんぞう/日本ジャーナリスト会議会員)


■20日付「報道クリップ」

▽内閣不支持率46%、支持率37%=朝日新聞世論調査

 18、19の両日、朝日新聞社が全国緊急世論調査(電話)を実施。
 安倍内閣の不支持率は46%(前回42%)、支持率は37%(前回39%)となった。同紙の調査でも、第2次安倍内閣の発足以降、支持率は最低、不支持率は最高だった。
 安保関連法案の賛否は、「反対」57%、「賛成」29%。6月の調査から3回連続で反対が半数を超えた。安保関連法案の衆院可決への進め方についても、「よくなかった」69%、「よかった」17%。
 安倍首相が憲法改正の手続きをとらずに政府の憲法解釈を変え、集団的自衛権を使えるようにする法律整備を進めていることについて、「適切ではない」74%、「適切だ」10%。安倍内閣の支持層でも、54%が「適切ではない」と回答。「適切だ」は25%にとどまった。安保関連法案に賛成の人でも、「適切ではない」が49%を占め、「適切だ」は30%。

 政府・与党の進める安保関連法案の今国会成立については、「必要はない」69%、「必要がある」20%。慎重姿勢が圧倒している。

内閣不支持46%、支持37% 朝日新聞社世論調査(朝日新聞19日)
http://www.asahi.com/articles/ASH7M5DC3H7MUZPS008.html
安保法案の進め方、内閣支持層の一定数も疑問視(朝日新聞20日)
http://www.asahi.com/articles/ASH7M63V0H7MUZPS00C.html?iref=comtop_6_01


▽高村氏「支持率を犠牲にしてでも、国民のために必要なことはやってきた」

 19日のNHK番組で、自民党の高村正彦副総裁は、「支持率を犠牲にしてでも、国民のために必要なことはやってきたのがわが党の誇るべき歴史だ」と述べて、安保法案の今国会成立を目指す考えを強調した。  「支持率を犠牲にしてでも、国民のために必要なことはやってきた」とは、暴言・暴走もここにきわまれりだ。立憲主義も民主主義もはねのけて、ただ自分たちの思い込みに向けて突進しようとする姿は、愚かきわまりない。
 なお、高村氏は、参院に送付された安全保障関連法案に関し、60日以内に議決されなければ衆院で再可決できる憲法の「60日ルール」について、「使う必要がないようにしっかり審議し、結論を出してもらいたい」と述べ、可能性を排除せず。公明党の北側副代表は同番組で、60日ルールについて「参院のメンツを懸けて、(60日経過は)しないと思う」とした。
 毎日新聞は、同番組で、民主党の枝野幹事長が「審議するほど国民が理解し、理解すれば反対が増える。ますます反対の世論が広がり、参院で(与党が)採決できない状況を作れるのではないか」と指摘してこと、共産党の山下書記局長も「国民の戦いを盛り上げ、廃案を勝ち取りたい」と話したことなども伝えた。

 高村氏の異様な気負い、北側氏の沈着のポーズ。この見飽きた猿芝居は、すでに市民社会に見透かされ、与党支持層からの厳しい批判もさらに広がりを見せている。
 改憲と戦争準備を急ぐ政権に対する批判は、いよいよ高まりを見せている。
 いま日本の市民社会は、自公政権による「アベノクーデター」の本質を、根底から見極め、はっきりと「ノー!」突きつけ、いまあるべき日本、いま立つべき日本の基盤を市民社会総体として共有し、口先や勢いばかりで「自ら」をもたない空虚な自称支配層の面々にはっきりと退場を迫り、虚勢と嘘と無策にまみれた政治と縁を切り、日本のあるべき「いま」を取り戻すときを迎えている。

安保関連法案:「支持率犠牲にしても成立を」自民副総裁(毎日新聞19日)
http://mainichi.jp/select/news/20150720k0000m010059000c.html
安保再可決、排除せず=「与党質問足りなかった」−高村氏(時事通信19日)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201507/2015071900043&g=pol



■19日付「報道クリップ」

▽内閣不支持率51・6%、支持率37・7%=共同通信世論調査

 共同通信社が17、18両日に実施した全国電話世論調査によると、内閣支持率は37・7%となり、前回6月の47・4%から9・7ポイント急落した。
 内閣不支持率は51・6%(前回43・0%)と過半数に達した。
 記事によると、2012年12月発足の第2次安倍政権以降で初めて支持と不支持が逆転したことになる。
 調査では、与党が16日の衆院本会議で、多くの野党が退席や欠席する中、安全保障関連法案を採決し、可決したことについて訊ねている。
 「よくなかった」が73・3%を占め、「よかった」は21・4%だった。
 政府・与党が目指す安保法案の今国会成立については、反対68・2%(前回から5・1ポイント増)、賛成は24・6%だった。

 各種世論調査で、内閣への「不支持が」が「支持」を上回り始めている。
 実改憲を急ぐアベノクーデターだが、その愚かで傲慢で、かつ無能をそのままさらけ出している政府・与党の姿が、衆院での強行姿勢にくっきりと浮かびあがった。
 自公政権の時代逆行、反憲法・反社会性をさらに掘り下げ、共有を広げて、安倍政権のみならず「自公政権ノー!」の声をさらに市民社会の奥底から共鳴させ、拡大していくときである。改憲と戦争準備を急ぐ政権に対し、日本の市民社会は「不支持」をはっきりと突きつけ、あるべき日本の国づくりの方向を基礎づけるときと位置づけたい。

安倍内閣支持急落37% 不支持過半数で逆転(共同通信18日)
http://www.47news.jp/CN/201507/CN2015071801001351.html


▽国民の命や平和な暮らしが侵される可能性=安倍さんの言っていることの真逆

 安保関連法案の与党単独可決、衆議院通過を受け、野党の党首が安倍政権への批判を強めている。
 テレビ朝日によると、野党の党首が街頭演説などで、民主党・岡田代表は「集団的自衛権の行使を下手にやったら、日本の国民の命や平和な暮らしが侵される可能性がある。安倍さんの言っていることの真逆なんですよ」と訴え。110時間を超える国会での審議のなかで、「議論すればするほど政府の答弁は二転三転した」と指摘し、武力行使の基準がはっきりしていないと強く批判した。
 また共産党・志位委員長は「戦前のように戦争への道を歩むのではないか。主権者としての権利を行使して戦争への道を断固、阻止しようではありませんか」と訴え。
「戦闘地域での後方支援を可能にしてリスクが高まらないわけがない」と述べ、「安倍政権の存在こそが日本にとって最大のリスクだ」と批判を強めている。

 中日新聞によると、18日、共同通信社の世論調査で内閣支持率が急落したことについて維新の党の松野代表は講演で「安倍政権は危険水域に入った」と明言した。同党の柿沢幹事長は取材に対し「新国立競技場建設計画の見直しだけでは回復できない」と語っている。この件について共産党の山下書記局長は「採決強行により、ないがしろにされた国民の怒りが原因だ」と分析している。
 一方、谷垣自民党幹事長は、取材に対し「政権運営を慎重に進める」と強調するにとどまり、公明党の幹部は「厳しい結果だ。安保法案の参院審議で、国民の理解を得る工夫をするしかない」と述べているという。

「答弁は二転三転」野党党首が街頭で安倍政権批判(テレ朝18日)
http://news.tv-asahi.co.jp/sphone/news_politics/articles/000055000.html
安保強行は理不尽と野党 与党は政権への影響警戒(中日新聞18日)
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2015071801001800.html
共産・志位氏、圧倒的世論で廃案に=安保法制(時事通信18日)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2015071800197


posted by JCJ at 09:06 | TrackBack(0) | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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