2015年09月09日

内向きの精神論でこり固まり、「違憲立法」へとひた走る安倍自公政権に未来はない

▽あの手この手をつかって<安倍一強>をアピール

 立候補を模索していた野田聖子前総務会長が出馬断念を表明したことで、自民党の総裁選挙は、首相の安倍氏の無投票再選となった。
 毎日新聞によると、総裁選の立候補受け付けは東京・永田町の党本部で8日午前8時から8時半まで行われ、野田毅選挙管理委員長が「候補者が1名なので投票は行わず、安倍晋三君を当選者とする」と宣言した。また、これに先立ち、国会近くのホテルで開かれた首相の出陣式には党所属国会議員約280人が出席したという。
 安倍氏は午前の取材で「9カ月前の総選挙の公約を進めているさなかにあり、一致結束していこうという多くの議員の考え方の結果だ」(毎日新聞)と無投票再選を歓迎する発言。01年の小泉純一郎首相(当時)以来、14年ぶりの自民総裁の無投票再選となった。
(JCJふらっしゅ「ニュースの検証」=小鷲順造)


 この政府・党は7日朝には、安倍氏の再選を支持する幹部が集まり、野田聖子氏の推薦人として名前が挙がっている議員の切り崩しについての作戦会議を開いたという(→テレビ朝日)。同局のニュースは、<安保法案の採決を目前にして、総裁選で国会に空白をつくることは絶対避けたかった官邸サイドは、野田氏を支持する可能性のある議員を説得するなど無投票に持ち込むことに成功しましたが、課題も残しました>と指摘した。
<安倍陣営には、選挙戦になれば政権への不満が100人規模で出てくるという懸念もあるなど、「モノが言えない自民党」に対する党内の不満が影を落として>おり、今後、<人事や政策でそうした不満を吸収したいところ>だが、<全派閥から支援を受けていて、ポストは>足らず、<来月の内閣改造でも巨大与党をどう束ねていくのか、かじ取りは>簡単ではないと報じた。

 つまり、あの手この手をつかって、なんとか<安倍一強>を演出するところまではこぎつけたが、運営の厳しさはいよいよ増してくる、ということだろう。
 日本経済新聞は<無投票再選が決まった直後の8日の役員連絡会では、高村正彦副総裁が「首相をしっかりと支えていこう」と発言。(中略)谷垣幹事長は記者会見で「これで会期末の法案処理に全力で当たることができる。ほっとしている」と語った>と伝えたうえで、<国政選挙に3連勝し、景気の回復基調を背景に高い内閣支持率を維持してきた首相だが、足元では支持率や株価に陰りもちらつく。くすぶり始めた批判を押し込める形で再選を決めた首相は、10月に想定する内閣改造・党役員人事でこうした不満を解消できるのか。党内の関心はすでに人事に移っている>と指摘している。

安倍氏、念願の無投票再選 党内“不満”どうさばく(テレビ朝日8日)
http://news.tv-asahi.co.jp/news_politics/articles/000058299.html
総裁選あす告示 「野田氏出馬」で激しい駆け引き(テレビ朝日7日)
http://news.tv-asahi.co.jp/news_politics/articles/000058236.html
自民党総裁選:安倍首相、総裁再選 14年ぶり無投票(毎日新聞8日)
http://mainichi.jp/shimen/news/20150908dde001010075000c.html
自民党総裁選:無投票「物足りない」 野田氏、石破氏地元(毎日新聞8日)
http://mainichi.jp/select/news/20150908k0000e010147000c.html
自民総裁選、政策論争を回避 安保法案審議を優先(日本経済新聞8日)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS08H15_Y5A900C1EAF000/


▽与党は16日に特別委で採決する方針

 上記に見たとおり、安倍陣営の総裁選出陣式には、所属議員400人のうち300人近くが集まった。それはまた、選挙戦になれば政権への不満が100人規模で出てくるという懸念をひきずったかたちともいえる。
 その状況の中で、安倍氏の陣営は、自民党の「硬直」へと突き進むこともいとわず「再選」へと手を打った。その道を選んだ。多様性も懐の深さもなにもない。潜在的な不満や不安がくすぶるなか、自民党は国民も世界も無視して内向きにこり固まり、「違憲立法」に向かって突進しようというわけだ。

 しかしながら、その姿のどこにも「求心力」のようなものは見えてこない。その硬直した姿は、おそらく現代社会に必要とされる「求心力」の束ではなく、別のなにかの力学で出来上がっているもののようだ。その正体や実態、あるいは体たらくと呼ぶべきものかもしれないものは、明らかに世論と乖離している。

 4日〜6日にNNNが実施した世論調査によると、審議が大詰めを迎えている安全保障関連法案について、今の国会で成立させることを「よいと思わない」65.6%(前月より7.8ポイント増)、「よいと思う」24.5%(前月より5.0ポイント減)。法案に反対するデモが国民の意識を「代表していると思う」46.6%、「代表していると思わない」36.9%。
 安倍内閣の不支持率は43.0%(前月比−3.7P)、支持率は39.0%(前月比+1.2P)。安倍首相がいつまで政権を担当することがよいかについては、「すぐに辞めてほしい」20.9%、「今年いっぱいまで」17.3%、「衆議院の任期が来る3年後あまりまで」24.3%。

 いかに「総裁選」とやらが、政府・自民党の「内向き」に凝り固まった「独りよがり」に過ぎず、「自己満足」の域を出ていないか。それはまた、いかに彼らの政治が、自分たちの地位の保全に汲々とし、「支配層」と呼ばれる層にしがみつこうとする保身だけの姿にこり固まっているかを指し示してやまない。

 なおNNNの調査は、維新の党を離党した橋下大阪市長が立ち上げを表明した新党についてもたずねている。「期待しない」58.9%、「期待する」30.0%だった。

 不支持率が支持率を上回る状況となって時間がたつ。安全保障関連法案に対する世論の批判も高まるばかりだ。にもかかわらず首相の安倍氏は、憲法違反の指摘が広がり、かつ法案としての体もなしてない同法案の成立を焦る。

 共同通信によると、与党は16日に特別委で採決する方針で、早ければ同日の参院本会議に緊急上程し、野党が抵抗しても18日までに成立させる構えという。8日、参院平和安全法制特別委員会は同法案をめぐり、採決の前提となる中央公聴会を15日に開催する日程を与党などの賛成により議決。民主、共産両党などは審議が不十分だとして公聴会に反対したが、鴻池祥肇委員長(自民党)が職権で議決を判断した。

 4日午前、民主、維新、共産、社民、生活、日本を元気にする会の野党6党党首が国会内で会談し、同法案の「強引な採決を阻止する」との方針で一致している。今後、内閣不信任決議案の提出も含め対応を協議する姿勢を見せている。

安保法案 今国会で成立“反対”65.6%(NNN6日)
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20150906-00000038-nnn-pol
<NNN電話世論調査>
【調査日】9月4日〜6日【全国有権者】2099人【回答率】50.2%
http://www.ntv.co.jp/yoron/
与党、安保法案16日採決の方針 公聴会議決し攻防緊迫(共同通信8日)
http://www.47news.jp/CN/201509/CN2015090801001773.html
安保法案 16日に採決する方針(NNN7日)
http://news.yahoo.co.jp/pickup/6173453
<野党7会派>安保関連法案「強引採決阻止」で連携方針(毎日新聞4日)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150904-00000037-mai-pol


▽安倍陣営の気負いと奇妙な精神論的な何か

 自ら対米従属と対財界御用聞きへと逃げ込み、民主主義社会の根幹である「立憲主義」を足元から崩し、さらに日本国憲法の定める平和主義の根幹である憲法第九条の改廃を狙ってやまない、時代錯誤でいっぱいの安倍自公政権。
 特に自民党は、その勉強会「文化芸術懇話会」のメンバーらから、「沖縄の新聞はつぶせ」「マスコミ懲らしめるには広告収入をなくせばいい」など言論抑圧、沖縄侮辱の暴言を繰り出し、厳しい批判を浴びている。

 しんぶん赤旗が6日付で<言論抑圧・暴言の自民「懇話会」 源流は靖国派政治団体>の記事を出して、自民党議員の勉強会「文化芸術懇話会」の源流ともいえる靖国派政治団体の存在があると伝えた。
 記事によると、その政治団体は「国想(おも)う在野議員の会」で、「主たる事務所」を、安倍首相の側近、萩生田光一総裁特別補佐(衆院東京24区)の事務所内に置き、会計責任者・事務担当者も萩生田氏の公設第1秘書となっているという。設立は、自民党が野党時代の2010年3月5日に届が提出されており、会の「規約」では「日本の歴史・伝統・文化を大切にし国柄を守る理念に基づき…必要な政治活動を行う」とし、「本会の目的を達成する」ために「研究会、講演会の開催」「関係方面への宣伝活動」などを行うとしていて、<会員による相次ぐ侵略戦争肯定の行動や暴言は、その一端>といえるという。

 この会のメンバーが「文化芸術懇話会」の中核的存在を占めているという。また「靖国の英霊に対する国家儀礼の確立」や「新憲法の制定」を掲げる「神道政治連盟国会議員懇談会」の会員とも一部ダブるほか、06年2月に「日本の良き伝統と国家の品格を守る」として、自民党新人議員34人で発足した稲田朋美政調会長率いる「伝統と創造の会」に名前を連ねるメンバーも多いという。詳細は記事を参照されたい。

 「立憲主義」を貶め、日本国憲法第九条をなくそうと、あの手この手で突っ走る安倍政権。公明党はその自民党とどこまで「一体」を続けようというのだろうか。公明党の支持母体である創価学会は、政党である公明党に主導されるような団体へと成り下がろうというのだろうか。創価学会や公明党も、未来を創造的に切り開こうというエネルギーを失い、自民党と同様、保身にからめとられ、内向きにこりかたまろうとだけしているのだろうか。その姿から未来を感じ取り、展望できる会員がどれだけいるというのだろうか。

 創価学会は、集団的自衛権の行使を容認する閣議決定について、昨年5月に「本来、憲法改正手続きを経るべきだ」とし、7月には「平和国家として専守防衛が貫かれることを望みます」(広報室)とのコメントを出した。ANNは<(2014年7月)1日、安倍内閣が行使容認の閣議決定を行ったことを受けて、広報室はまず公明党の与党協議などでの対応に理解を示したうえで、「今後、説明責任が十分に果たされる」ことを求めました。さらに、「法整備をはじめ、国会審議を通じて、平和国家として専守防衛が貫かれることを望みます」と強調しました>と伝えた。

 8日には、創価学会の会員が、同法案の白紙撤回を求める9143人分の署名を携えて公明党を訪れた。だが、山口代表どころか事務局も対応しなかったらしい。そのためこの会員は、再度同党本部を訪れるという。「本来、平和の党である公明党であれば、この戦争法案は成立させてはならない。法案を成立させないように白紙撤回してほしいと思っています」(ANN)と話している。全国各地で行われているデモに参加する創価学会の会員も広がりを見せている。
 だが、公明党の法案をめぐるその後の動きは、国会審議のなかで首相や閣僚の発言が定まらず、日本国憲法を明らかに逸脱したり、支離滅裂だったりしても、「法案は合憲」「平和を維持するための法案」と政権を擁護し続けている。

 8日早朝、安倍陣営の総裁選出陣式に、自民党所属議員280人が集まって気勢(奇声?)を上げた。憲法や立憲主義や民主主義や平和主義をないがしろにし、その気負いのなかに奇妙な精神論的な何かを感じさせる姿に、違和感を覚える。

 思うところあって8月の半ば過ぎから、『未完のファシズム 「持たざる国」日本の運命』(新潮選書、片山杜秀著)、『日本軍と日本兵 米軍報告書は語る』(講談社現代新書、一ノ瀬俊也著)などに目を通してきた。さまざまな日本の過去や決定的な過ち、失敗の流れが、安倍氏はじめとする面々のやり方、ありようを見ていると、やはりさまざまなところでダブってみえてきたりしていることを付け加えておく。

(こわし・じゅんぞう/日本ジャーナリスト会議会員)


言論抑圧・暴言の自民「懇話会」 源流は靖国派政治団体 2010年発足「国想う
在野議員の会」 首相側近・萩生田氏ら(しんぶん赤旗6日)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-09-06/2015090601_04_1.html
『未完のファシズム 「持たざる国」日本の運命』(新潮選書)
http://qq1q.biz/nMyk
『日本軍と日本兵 米軍報告書は語る』(講談社現代新書)
http://qq1q.biz/nMz6
公明党、創価学会から「法案撤回」突きつけられ…(テレビ朝日8日)
http://news.tv-asahi.co.jp/news_politics/articles/000058320.html
創価学会広報室「専守防衛望む」集団的自衛権で(テレビ朝日2014/07/03)
http://news.tv-asahi.co.jp/news_politics/articles/000029935.html
<安保法案反対>公明に直訴へ 学会員、署名7000人集め(毎日新聞6日)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150906-00000010-mai-pol
元公明党副委員長、単独インタビュー 「不満を無視すると学会崩壊」(田中龍作8月18日)
http://blogos.com/article/128794/
公明党・創価学会を揺さぶる 池田大作名誉会長のメッセージ(日刊ゲンダイ3日)
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/163338
常勝の関西議席も総崩れ 公明、苦悩の野党再出発(朝日新聞2009年9月8日)
http://www.asahi.com/senkyo2009/news/OSK200909060099.html
安全保障関連法案に反対する創価大学・創価女子短期大学関係者有志の会HP
http://sokauniv-nowar.strikingly.com/


posted by JCJ at 10:08 | TrackBack(0) | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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