私たちが「戦争法」に反対する理由は以下の3点にある。第1に、同法の違憲性が完膚なきまでに証明されていることだ。「憲法の番人」とされる最高裁長官はじめ、75人の元裁判官が「違憲」と表明したのは、安倍政権の危険な方向を示して余りある。歴代の内閣法制局長官や圧倒的多数の憲法学者が「憲法違反」と指摘していることを、安倍政権は真摯に受け止め、畏れるべきだ。
第2に、安倍政権が「戦争法」を必要とする根拠とした立法事実が根底から崩れていることだ。首相が麗々しく持ち出した「邦人を乗せた米艦防護」は、「絶対的なものではない」(中谷防衛相)と事実上否定。ホルムズ海峡での機雷掃海についても、首相自らが「現実に発生することを具体的に想定はしていない」と立法の根拠を撤回している。こうした非現実的な立法根拠を基にした「戦争法」は、根底から破綻したことが明白となっている。
第3は、自衛隊をアメリカの戦争に際限なく参戦させようとしていることだ。「戦争法」の本質は、アメリカの要請に応えていつでもどこにでも自衛隊を地球規模で派兵するというものだ。対米従属の政策を最優先する安倍政権は、自衛隊を「殺し殺される」戦闘現場に投入しようとするが、首相はリスクが高まることを認めない。黒を白と言いくるめ、すり替えと強弁で国民を欺く態度は、首相失格の証左と言わなければならない。
憲法解体を図る安倍政権の暴挙は、戦後70年の日本の民主主義に大転換を強いようとしている。だが、私たちは絶望しない。「戦争法」反対に結集した市民は、先の大戦体験者をはじめ、働く現役世代、学生や若い母親たちなど、各分野・各階層から個人が自発的な意思で声を上げ始め、採決強行後もその声は強まり広がりつつある。私たちは、全てのジャーナリストに対し安倍政権追及の取材・報道を強化するよう呼びかける。私たちは「戦争法」の廃止と安倍政権の退陣を要求し、その実現へ全力を挙げて闘う決意を表明する。
2015年9月19日
日本ジャーナリスト会議(JCJ)
日本ジャーナリスト会議(JCJ)