2015年09月30日

際立つ「毎日」の助走からの粘り腰=白垣詔男

 参院での戦争法案審議は、終盤で野党の抵抗、国民の声が一段と強まり緊迫した。
 安倍暴走内閣に歯止めを掛け、戦争法案を廃案にすべきだと訴えてきた各紙(西部)のうちでは毎日の助走からの粘り腰と危機感が際立つ。朝刊社説では、9月7日付から「安保転換を問う」のワッペンを付けて、随時法案のデタラメさと、時間稼ぎに終始した安倍政権の強引な法案審議を痛烈に批判した。

 7日の「PKO」で、自衛隊の国連平和維持活動(PKO)に関して議論が深まらず、「政府案のままでは、武力行使につながる懸念を払しょくできない」と指摘。10日「参院の役割」で「良識と抑制の府」の役割を果たせと説き、13日「集団的自衛権」では「政府の説明は破綻した」、15日「週内採決方針」で「議会政治壊すつもりか」と両日ともに1本社説で力を入れ、政府答弁の矛盾を突き痛烈な批判を展開した。
 さらに16日には1面に掲載、「法案成立に強く反対する」と危機感を前面に出した姿勢は評価される。17日の「参院委採決へ」で「国民の納得には程遠い」と、なおも「廃案にせよ」と訴えた。
 朝日は15日「安保法案 民意無視の採決やめよ」、16日「安保公聴会 国会は国民の声を聴け」、17日「『違憲立法』採決へ 憲法を憲法でなくするのか」と主張。西日本は15日「安保法案 やはり成立は認められぬ」、17日「安保法案採決 聞く耳持たぬ政権の暴走」と「世論の代弁者」の役割は果たした。
 両紙とも社説で、それまで散発的に「戦争法案」に反対してきたとはいえ、「戦争する国」への転換という歴史的な危機に直面した決定的な時期にきた段階で主張をしている点で、助走からの毎日社説に比べてやや弱いと感じた。

 一方、読売、産経は相変らず安倍政権の「太鼓持」で、首相が国会で答弁するのと同じく「自分に都合悪い部分」には触れない、極めて不公平な論調を続けている。
 読売は13日「安保法案審議 今国会で確実に成立させたい」と訴えた。まるで政権党の機関紙のようで失笑を禁じえない。産経は13日には「中国の脅威」、17日には「北朝鮮の核の危険」を前面に出し、「安保法案の早期成立」を訴えている。両紙には平和外交の考えはないようである。

*JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2015年9月25日号


<JCJ機関紙購読・会員加入申込みHP> http://jcj-daily.sakura.ne.jp/postmail/postmail.html
・「ジャーナリスト」はタブロイド判8面、毎月25日の発行です。
・年間購読料:3000円(12号分)です。
※会員の場合、機関紙購読料は会費に含まれています。(←いまなら郵送料込み)

posted by JCJ at 05:21 | TrackBack(0) | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

この記事へのトラックバック