那覇空港から直行した沖縄タイムスの記者会見場では、琉球新報の論説副委員長と沖縄タイムスの編集局次長その他の記者の現状報告と意見を聞くことができた。民衆に寄り添った真剣な取材態度と、事件の核心をつかんだ無駄のない報告と紙面に感動した。
これこそ久しぶりに出会うジャーナリズムの本来の姿だと、嬉しさが半分、後半分はそれだけひっ迫している沖縄の現状に心が痛んだ。
心が痛むなどという表現は、申し訳ない気さえする。沖縄問題は、平和憲法の意思を実証する日本国民の切実な問題である。安倍政権に影響を与えられるのは沖縄の人々の抵抗とともに私たち国民の世論なのだ。安倍政権が対話を打ち切って強行手段に出るのであれば、安倍政権とは意見を異にする私たちが代わって沖縄の人達との対話と共働に力をつくさなければならない。
沖縄の主権を安倍政権に認めさせることは、現政権の改憲野望に対して、主権在民の正当性を認めさせることでもあるからである。
形式的な公平・中立を装って、双方に譲歩を勧める新聞の論説もあるが、本質を見誤っていないか。権力を使って、強行できる絶対的優位にあるのは安倍政権の方なのである。沖縄はこれ以上妥協しようがない「人権と環境と自治」のギリギリ限界線を守ろうとしているだけなのだ。
沖縄が掲げている将来像とは、@沖縄はその歴史的悲劇の結果を引き受けて、平和の島として生きるA東南アジアの文化の交流拠点であった地理的立場から、文化の多様性を尊重し世界に発信するB沖縄の海と山と森の自然を、次世代に残す。――自治体の持つ当然の自己決定権ではないか。誰ひとりとして反対することができない、当たり前すぎる主張ではないか。
安倍政権は沖縄を、ただ、基地を置くための、領土の一端としてしか見ていない。辺野古、キャンプシュワブ、高江の座り込みに参加しながら私は、沖縄を踏み台にして本土の人が味わっているつかの間の平和を、本物の平和にする道を考え続けた。
(埼玉大学名誉教授)
*JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2015年11月25日号
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