2015年11月27日

競技会の興行化と腐敗=大野 晃

 ワールドカップ(W杯)開催地決定や放映権などにからむ贈収賄疑惑で幹部が逮捕されるなど大揺れの国際サッカー連盟では、会長、副会長も資金の不正流用などで資格停止処分となり、泥沼の汚職体質が表面化した。
 ロシア陸上競技界の組織ぐるみドーピング疑惑が発覚した国際陸上競技連盟では会長がドーピングもみ消しの収賄疑惑で辞任している。巨大な国際競技団体役員の不正が相次いで明るみに出た。
 組織的ドーピングにからむ会長買収事件は、勝利至上主義と拝金主義が国際競技界にまん延していることを示す。

 国際オリンピック委員会(IOC)のソルトレークシティー冬季五輪開催決定にからむ委員の大がかりな買収疑惑が発覚して、国際競技団体役員のあり方が厳しく問われてから20年、反省のないまま水面下では腐敗が進んでいた。
 サッカーのW杯やマラソンなどの陸上競技の興行化は、五輪以上に急速に進展し、さまざまな利権を生んで、役員の腐敗の温床となっていることを如実に表した。  追随する他の国際競技団体でも、表面化しないだけなのかもしれない。
 興行的成功を追い求める国際競技団体の「競技者第一」は、宣伝と収益拡大の手段にすぎないと思わせる。
 興行化の推進役がテレビなどのマスメディアであるのは間違いない。
 スポーツのビジネス化はスポーツの人間的価値を高めただろうか。圧倒的に多くの人々を、スポーツを見るだけに追いやり、競技者や競技関係者に拝金主義を拡大し、支援する国家の勝利至上主義を正当化し、競技会運営者に腐敗の種をまき散らしたのではないか。
 腐敗の表面化は、巨大興行と化した国際競技会を人間の手に取り戻し、友好と連帯の集いに再生させる好機ではある。
 新国立競技場問題に表出した興行重視に対するスポーツ愛好者の怒りこそ、五輪ビジネスの受け入れがたい傲慢さへの拒否反応に違いない。
(スポーツジャーナリスト)


*JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2015年11月25日号


posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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