■女性シンガー・ソングライター稚菜(わかな)のライブコンサートに行ってきた。キーボードを弾きながら唄う<帰らぬあなたに変わらぬ愛を>は、戦場に向かった愛しい人の運命と授かった小さな命への思いを、いっぱいに響かせる。■<戦火の詩>もまた、澄んだリリックな声で、「人が殺し合い喜ぶのは、その手汚さず命じる偉い人」と、真っすぐに歌う。すがすがしい反戦歌だ。「生きた自分の言葉で語る」SEALDsともつながる。■彼女は、自分の夢「カンボジアに音楽学校」を実現すべく、自主制作CD「歌唄いの詩」など、売上の一部を積み立てている。■さてCDから本へ移ると、今年のいちおしは、河崎秋子『颶風の王』(角川書店)だ。舞台は東北そして北海道。馬をめぐり数奇な運命に遭遇する家族の、明治から平成にいたる6世代の歩みを描く。三浦綾子文学賞受賞作。北海道の大地で羊を飼い、乳牛を育てながら書き続ける著者の、体験に裏打ちされた描写は、ずしりとした手応えと感動の波紋をひろげる。■最後は、2日前に読み終えた、椎名誠『おなかがすいたハラペコだ。』(新日本出版社)に出てくる、<しあわせの「貧乏人の鍋」>中のレシピに倣い、フーフーしながら鍋をつつき、大晦日を迎えるとしよう。皆さん、よいお年をお迎えください。(2015/12/27)
2015年12月27日
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