2015年12月27日

植村隆さん、韓国の私立大学に/安倍政権下で勢いを増す異常な個人攻撃=山田寿彦

 元朝日新聞記者の植村隆さん(57)が書いた日本軍従軍慰安婦に関する同紙記事をめぐり、勤務先の北星学園大学(札幌市厚別区)がネット右翼から「辞めさせろ」と攻撃された問題は、植村さんが韓国の私立大学、カトリック大学校の招聘教授に就任することで収束する見通しとなった。植村さんは非常勤講師としての雇用継続を辞退する意向を大学側に伝えた。
 植村さんと北星学園大学の田村信一学長が11月26日に記者会見し、明らかにした。カトリック大学校と北星学園大学は留学生を交換する協定校。招聘期間は16年3月から1年間で、1年後の去就は未定という。

 植村さんは記事を「捏造」と断じた西岡力・東京基督教大学教授やジャーナリストの櫻井よしこ氏らを名誉棄損で提訴している。会見で大学や支援者に謝意を示し、「『捏造記者』というでっち上げに対する闘いは今後も言論の場、法廷の場で続く。負けるわけにはいかない」と決意表明をした。田村学長は「本学の経験を検証・総括し、広く社会に問いたい」と述べた。
 大学への攻撃は14年5月ごろに始まり、植村さんと家族にも及んだ。「爆弾を仕掛けるぞ」などの脅迫に大学は警備強化を強いられた。札幌市民を中心に14年10月、「負けるな北星!の会」が発足。賛同者は1000人を超えた。同年11月には弁護士380人が北星への脅迫を刑事告発。大学は雇用継続に否定的だったが、15年度の雇用継続を決定。しかし、16年度の雇用は警備費や疲弊を理由に再び否定的な方向に傾いていた。
 安倍政権下で勢いを増す歴史修正主義に呼応する事件だった。火を付けたのは「週刊文春」(14年2月6日号)の記事「慰安婦捏造”朝日新聞記者がお嬢様女子大教授に」。植村さんはネット右翼の標的となり、教授就任が決まっていた神戸松蔭女子学院大学との契約を解除された。
 同年8月、朝日が過去の慰安婦記事の一部を取り消した。植村さんの記事は「事実のねじ曲げなし」とされたが、「慰安婦火付け役(略)お嬢様女子大クビで北の大地へ」(「週刊文春」14年8月14・21日号)と引き続き標的とされた。
 北星問題を伝える新聞・テレビには温度差がみられた。新聞は『東京』『毎日』が大きく取り上げた。テレビはTBS、NHKが特集を組んだほか、下村博文・文科相(当時)の閣議後発言「脅迫行為は許されない」をNHK記者が引き出した。「朝日」は消極的だった。地元紙「北海道新聞」は社説に取り上げず、客観報道にとどまった。誌面を積極的に割いたのは「創」「世界」「週刊金曜日」といった雑誌メディア。「YAHOO!ニュース」などのネットメディアも新聞・テレビの欠落を補った。
 JCJ北海道支部は植村さんの雇用継続を求める要望書を大学に提出するなど、脅迫にさらされたジャーナリストを守る立場で行動した。
(北海道支部)


*JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2015年12月25日号


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JCJ機関紙「ジャーナリスト」見本(2015年12月25日号5面)

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