2016年03月11日

北朝鮮「ミサイル」のカラ騒ぎ=伊藤力司

 北朝鮮は1月6日に第4回核実験を行い、2月7日に地球観測衛星「光明星4号」を地球周回軌道に打ち上げたと発表した。2月8日の朝刊は1面から3面までほぼ全面が「事実上のミサイル」発射のニュースで埋められた。中谷防衛相の命令で東シナ海に配備された迎撃ミサイル装備のイージス艦も、陸上各地に配備された地対空ミサイルも空振りに終わった。
 衛星を打ち上げるロケットと弾頭を装備した攻撃用ミサイルの発射は技術的にはほとんど同じだから、北朝鮮が人工衛星を軌道に乗せるロケット技術が進んだことは事実だろう。  しかしこれをミサイルと言うなら、日本の誇るH2ロケットもミサイルということになる。

 ただミサイルの場合は、大気圏外に突き抜けた弾頭を大気圏内に再突入させる技術が必要であり、北朝鮮のロケットが大陸間弾道ミサイルの技術レベルに達しているとは思えない。これらのことを無視していたずらにミサイルの脅威を煽り立てるべきではない。
 1970年の核拡散防止条約(NPT)は米露英仏中の5大国の核武装を認めるが、それ以外の国が核武装することを禁止した。その見返りに5大国は核軍縮を約束した。しかしそれから46年も経ったのに大国間の核軍縮はほとんど進んでいない。
 この間にインド、パキスタン、イスラエルが核兵器を持つに至り、今や北朝鮮もそのとば口に立っている。国連安保理常任理事国という国際平和に最も重要な役割を担っている5大国が、世界に約束した核軍縮を進めないことこそ非難されるべきだ。
 「キム王朝」と呼ばれる全体主義体制から漏れてくるニュースは、食料不足、電力不足、闇商売に頼らざるを得ない国民生活の悲鳴ばかりである。一方要人の粛清も続き、昨年玄永哲人民武力相(国防省)の処刑に続き、最近李永吉総参謀長も処刑された。
 北朝鮮の公式メディアは「人工衛星の打ち上げ成功」を「元帥(金正恩第一書記)の洗練された指導によってなし得た」「全党員、人民軍将兵、人民は金正恩同志に従ってこそ明るい未来がある」と呼びかけているが、内実は恐怖政治で体制を引き締めているようだ。

*JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」(2016年2月25日号)


<JCJ機関紙購読・会員加入申込みHP> http://jcj-daily.sakura.ne.jp/postmail/postmail.html
・「ジャーナリスト」はタブロイド判8面、毎月25日の発行です。
・年間購読料:3000円(12号分)です。
※会員の場合、機関紙購読料は会費に含まれています。(←いまなら郵送料込み)
posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

この記事へのトラックバック