2016年03月17日

「NOと言えない」安倍政権による独り善がりの台本──「歴史を書き換えて、誇りを取り戻そう」という勢力の「対米従属」と「改憲策動」(1)

▽安倍政権が仕立てた独り善がりの台本

 米大統領選の党候補指名争い。15日、大票田の5州で予備選が行われた。1日の「スーパーチューズデー」に続くヤマ場である。
 共同通信など報道によると、共和党は実業家トランプ氏が南部フロリダを制し、中西部オハイオは党主流派のケーシック同州知事が死守した。トランプ氏が勝ったフロリダでは、地元で敗れた共和党主流派のルビオ上院議員が指名争いからの撤退を表明した。共同通信は<トランプ氏が独走態勢を固め始めた>と報じた。
 民主党はクリントン前国務長官がフロリダ、オハイオ、南部ノースカロライナで勝利した。サンダース上院議員との差を広げた。

(JCJふらっしゅ「ニュースの検証」=小鷲順造)

 共和党の候補者争いでトランプ氏が勢いを増していることについて、琉球新報9日付の<金口木舌>が、<「だまし討ち」の台本>と題して、<目下、政治ショーの立役者は不動産王トランプ氏である。挑発する言い回しで観衆を誘導する。排外的な差別発言も緊張感を生む演出効果を狙ったか。トランプ劇場は危なっかしさを売りにしているようだ>と書いている。

 同コラムは、――大向こうで眺めている分には気は楽だが、そうも言ってはおれない。「米国を再び偉大な国に」というトランプ氏のせりふは警戒を要しよう。「偉大な国」の所業をたどれば分かる。沖縄も無関心ではおれない――として、<改憲劇に興じる安倍首相の危なっかしさ>にふれて、<改憲劇に興じる安倍首相の危なっかしさは、トランプ氏に引けを取らない。集団的自衛権行使を全面的に認める考えを打ち出し、「在任中に憲法改正を」と大見えを切った。舞台下の暗い奈落の底に国民を引き込むつもりか、と警鐘を鳴らし、次のように呼びかけている。

1)安倍政権は「だまし討ち」がおはこらしい。和解成立で一区切り打ったはずの法廷劇をひっくり返すような台本を持ってきた。「是正措置」なる題名である。強引な筋書きのテーマは「辺野古が唯一」か2)安倍政権が仕立てた独り善がりの台本からは「民意」の2文字を拾うことはできまい。これまで通り沖縄の願いを込めた物語を紡ぎ、しっかりと舞台を築こう。御万人(うまんちゅ)が主人公、役者はそろっている。

 「トランプ劇場」と安倍政権の「だまし討ち」「独り善がりの台本」を扱った見事な切り口のコラムだ。

トランプ氏、フロリダ制す 民主クリントン氏3勝(共同通信16日)
http://this.kiji.is/82574250951214581?c=39546741839462401
<金口木舌>「だまし討ち」の台本(琉球新報9日)
http://ryukyushimpo.jp/column/entry-235385.html


▽「NOと言えない安倍政権 米国に食われる血税」

 週刊朝日3月18日号の記事「NOと言えない安倍政権 米国に食われる血税、防衛費が過去最高5兆円に」も、「改憲」と「防衛費」「沖縄」全般をみすえた大事な記事だ。
 首相の安倍氏は、1日の衆議院予算委員会で、「(改憲発議に必要な)3分の2が可能となったものから、憲法改正に取り組んでいきたい」と語り、野党議員から「すべての自衛権を行使すべきか」と問われると、「憲法上の制約があって、限定的な行使になっている。私どもの憲法草案は国際法上持っている権利は行使できるという考え方を示している」と答えた。

 記事は指摘する。
1)安倍首相の答弁が象徴するように、2016年度予算案で防衛費は5兆541億円に上り、初めて5兆円を超えることになった。
2)しかし、安倍首相の意気込みとは裏腹に、この国の“防衛力”は、実にお寒い事情を呈している。
3)沖縄の青い空に爆音を響かせ、MV22オスプレイが飛来する。在日米軍・普天間飛行場から次々と飛び立つ姿は、もはや日常の光景となってしまった。
 記事は、オスプレイを見ながら、現職自衛官の一人が苦虫を噛み潰したように口にした言葉を紹介する。「自衛隊でもオスプレイを配備する。多額の税金を使って最新兵器を購入しながら、実はいつ使えなくなるかわからないのです」
 オスプレイが使えなくなる可能性があるとは、どういうことなのか。この現職自衛官が呟く。「FMSだからですよ」

 ――FMS(Foreign Military Sales)とは、「有償軍事援助」と呼ばれ、日米の政府間での防衛装備の調達方法のことだ。日本企業のライセンス生産や、商社を通じて調達する方法もあるが、FMSならば、日本で開発されていない防衛装備や部品を同盟国として、米国から買い付けることができる。政府間の取引なので、コミッションも不要で、信用もおけるとされている。
 そのFMSについて、記事中で、軍事ジャーナリストの田岡俊次氏が指摘している。「もともとアメリカが冷戦のさなか、同盟国の軍事能力を向上させるため無償軍事援助したのが始まりです。その名残があるから、今では買ってもらう立場になっても高姿勢で臨んでくる。兵器の代金や技術訓練の費用なども米国の言い値でしかありません。自国軍より高く売りつけて儲ける制度になっている」

 記事は末尾で、<FMSとは米国の主導権で、好き勝手にできる不平等な仕組みなのだ>と指摘する。

 ここで、「共和党の候補争いでトランプ氏がフロリダを制した」との報と、「トランプ劇場」と安倍政権の「独り善がりの台本」とが頭の中で一直線に並ぶ。  そして、そこには「米国の主導権で、好き勝手にできる不平等な仕組み」があり、安倍政権はそれをさらに補強しようと「改憲」を打ち出している。どの部分をどんな理由でなのかを、彼らはいわない。「改憲」の流れを強められるのであれば、どこからでも手をつけやすいところからで、かつそれによって「改憲」の流れをさらに強められるものなら何でも、ということのようだ。

NOと言えない安倍政権 米国に食われる血税、防衛費が過去最高5兆円に(週刊朝日18日号)
http://dot.asahi.com/wa/2016030800079.html?page=1


▽「外国からの影響がなかった時代の日本に戻したい」日本会議

 昨年12月2日、オーストラリアABC放送が、「殆ど知られていない、日本で恐らく一番影響力のある政治団体」と題した7分30秒の特集を放送した。Matthew Carney氏のレポートだ。原題は「Lifting the lid on one of the most influential, and secretive, political organisations in Japan」。
 日本の政治改革を目指す超右派ロビー団体の日本会議に着目したニュース映像で、日本の安倍晋三首相、安倍政権の8割、国会議員のおよそ半分が日本会議に属することを紹介、3万8千人の会員を動員し、国の政策を策定する凄いロビー団体であるのにも関わらず、世間の目に止まることなく、運営されていることを伝える内容だ。 中野晃一教授、小林節教授のコメントも紹介している。

 ABC放送同特集映像&記事(Updated 3 Dec 2015) http://goo.gl/WV2EpN
 *上記の動画の下にある「Show transcript」をクリックすると英文記事が開きます。

 その特集を、サイト「OVERSEAs」が訳出して発表した。「OVERSEAs」は、「速記録残らぬような強行採決の安保法制について、世界中から声をあげます」(ツイッター・プロフィール)とするサイトだ。了解を得て、その訳文を紹介する。

 「OVERSEAs」記事:FACEBOOK https://goo.gl/PwTjP6
 「OVERSEAs」ツイッター https://twitter.com/overseas_for


2015年12月2日オーストラリアABC放送
Matthew Carney

【殆ど知られていない、日本で恐らく一番影響力のある政治団体】

 日本会議は、日本の政治改革を目指す超右派ロビー団体。
 日本の安倍晋三首相、安倍政権の8割、国会議員のおよそ半分が日本会議に属する。
 支援する3万8千人の会員を動員し、国の政策を策定する凄いロビー団体であるのにも関わらず、世間の目に止まることなく、運営されている。
 日本会議は、天皇の復権、女性に家庭を守らせる、軍の威力の再構築というような超国粋主義的で歴史修正主義的な目標がある。

 最近行われた東京の1万千人集会では、日本の平和憲法を廃棄しようと呼びかけられた。
 著名サポーターである櫻井よしこ氏は「国民の名誉と誇りを取り戻すために、アメリカに押し付けられた憲法を完全に書き直さなければいけません」と集会で訴えた。

 「現在の日本の憲法は日本国と国民を守れるのか?と自問する必要があります。答えはノーです。真の日本の精神を反映した憲法が必要です。」と櫻井よしこ氏は言う。

 最大のサポーターであり、団体の特別顧問は、安倍晋三氏。
 ビデオ出演を通じて「憲法を改憲することは私の使命」と宣言する。
 「21世紀に則した憲法を作るために、この精神を日本中に広げていかねばなりません。今度ともご協力を賜り、憲法改正に向けて進んでいきましょう。」と安倍氏は言う。

 集会では、憲法改正への一千万人署名が目標に掲げられており、すでに450万筆を集めている。

 批評家は日本会議はカルトのような団体だと言うが、しかし団体の顧問でありスポークスマンの百地彰教授は「ただ日本を普通の国にしようとしているだけだ」と言う。
 「独立した主権国家が軍隊を持つのは当然であり、軍隊のない主権国家はない。軍隊は抑止力であって、戦争を防止するために存在する。我々は平和主義の伝統は維持するつもりだが、高まる中国の脅威に対応する必要がある。」

 しかし日本会議の多数は、露骨な歴史修正主義者で、外国からの影響がなかった時代の日本に戻したいと考えている。彼らは第二次世界大戦中、日本は東アジアを解放したのであって、侵略戦争はしていないと主張する。 彼らはまた、歴史家が20万人と推定する南京大虐殺を含む、いくつかの戦争犯罪を否定している。  日本会議東京支部長、加瀬英明氏によると「大虐殺はなかった。全くの冤罪である」と言う。

 上智大学政治分析学・中野晃一教授は、「歴史の中で自己非難や羞恥心を持つ事によって、子どもや大人は自己洗脳していると彼らは考えており、歴史を書き換えて、誇りを取り戻す事が日本にとって必要不可欠だと考えている。」
 「彼らは空想的で非理論的であり、独自の世界に住んでいて、戦略的思考に欠けている。」と言う。

 小林節教授は憲法専門家の第一人者で、かつては日本会議のメンバーであった。しかし日本の多数のように、彼も今はこの団体の思考は危険だと考えている。
「日本がアジアのリーダーだった頃の戦前のアジアを考えている。彼らはそれを繰り返したいし、オープンに言っている。」と言う。
 現在、小林教授は思考の闘いだと考える、日本会議に反するキャンペーンを行っている。
 「(このキャンペーンの)結果が日本の将来を決める。」と小林節教授は言う。
 「我々は諦めずに闘わなければならない。そうでなければ自由と民主主義のない、独裁政治下で生きる事になる。」

 これに対して日本会議は、
 「私達の野望は、単純に日本と日本の独自性を守りたいだけだ」と反論している。

 「OVERSEAs」が出した日本語訳はここまでだ。
 ニュースの原文は下記URLをクリックしてサイトを開き、動画の下にある「Show transcript」をクリックすると表示される。
 http://goo.gl/WV2EpN

(こわし・じゅんぞう/日本ジャーナリスト会議会員)


(つづく)

posted by JCJ at 11:25 | TrackBack(0) | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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