2016年03月25日

アメリカが壊れかけている=伊藤力司

 11月の米大統領選挙を目がけてトランプ旋風が吹き荒れている。大法螺吹きのおっさんが、2月以来各州で行われている共和党予備選挙でトップを走っているのだ。共和党主流はトランプ氏を引き下ろそうと懸命だが、有権者大衆のトランプ人気は衰えていない。
 このことは唯一の超大国アメリカの骨格が崩れ始めていることを意味している。第2次世界大戦で覇者となった米国は60年代のベトナム戦争で大きく傷ついたが、アフガニスタンに侵攻したソ連が自壊した結果、20世紀後半を通じて戦われた東西冷戦に勝った。

 その結果「唯一の超大国」として君臨していた米国だが、時のブッシュ政権が2001年「9・11同時多発テロ」を経てイラクとアフガニスタンへの侵略に踏み切った。ブッシュ政権の好戦性は、ネオコンと軍産複合体とイスラエル・ロビーに牛耳られていたためである。

 米軍はイラクでフセイン政権を、アフガンではタリバン政権を打倒したが、その後の結果はご覧の通り。イラクもアフガンもテロが横行して、治安は安定していない。オバマ政権はやっと米軍撤退を実行したが、3兆ドルもの軍事費支出が史上最大の財政赤字を招いている。
 このことが2008年のリーマン・ショックの遠因となった。ウォール街は1秒間に何千回もの売り買い可能な金融工学が進み、あまりにも膨張した投機資金をコントロールできなくなっている。外へ出兵して財政赤字を生み、内の金融市場では野放図が横行している。言ってみればトランプ氏は、ウォール街とペンタゴンが維持してきた「超大国アメリカ」に挑戦する“ドン・キホーテ”である。

 かたや民主党大統領候補になることが確実視されているヒラリー・クリントン氏は、米政界の「奥の院」に通じたベテランだ。軍産複合体、ウォール街、イスラエル・ロビー、黒人大衆から信頼されているナンバーワンである。「アメリカ史上初めての女性大統領が誕生か」とのロマンもある。「社会主義者」を名乗るサンダース上院議員をかわして民主党候補になりそうだ。ヒラリー大統領が実現すれば「アメリカの崩壊」はしばらく猶予されるだろうか。

*JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2016年3月25日号


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posted by JCJ at 23:24 | TrackBack(0) | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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