2016年03月25日

大津地裁が高浜原発停止の画期的決定=清水正文

 3・11、あの日から5年を迎えようとする3月9日、関西電力高浜原発3・4号機を巡り、隣県の滋賀県内の住民29人が運転の差し止めを求めていた仮処分申請で、大津地裁は「過酷事故対策について危惧すべき点があり、津波対策や避難計画にも疑問が残るなど、住民の人格権が侵害される恐れが高い」「関電は安全性が確保されていることについて説明を尽くしていない」などとして申し立てを認め、運転停止を命じる画期的な仮処分の決定を出した。
 差し止め決定は、昨年4月の福井地裁に続き2件目、運転中の原発の運転停止を命じる仮処分決定は初めてだ。4号機は再稼働直後のトラブルによって運転停止中で、2月に原子力規制委員会が1・2号機の審査案を了承し、40年超の原発で初めて再稼働を認めたばかりだった。

 決定は、関電の主張を退けるだけでなく、規制委員会の新基準そのものにも疑問を呈している。東京電力福島第一原発事故の原因究明は「今なお道半ばの状況」であり、「同様の事故発生を防ぐとの見地から安全確保対策を講ずるには、原因究明を徹底的に行うことが不可欠」と指摘している。
 また、「災害が起こる度に『想定を超える』災害であったと繰り返されてきた過ちに真摯に向き合うならば、対策の見落としにより過酷事故が生じたとしても、致命的な状態に陥らないようにするとの思想に立って策定すべきだ」とも述べ、規制委員会の姿勢を批判している。

 関西電力は「主張を理解いただけず、極めて遺憾で、承服できるものではありません」とのコメントを発表し、速やかに不服申し立ての手続きを行うとした。また政府は、菅官房長官が「高浜3・4号機は規制委員会が世界最高水準と言われる新基準に適合すると判断したものであり、再稼働を進める政府の方針に変わりはない」と述べた。
 規制委員会の田中俊一委員長は記者会見で「まだ中身を承知していない。申し上げることはない」と、ぶぜんとした表情だったという。  この決定を受け、関西電力は10日、フル稼働していた3号機を停止させた。これで国内の原発で稼働しているのは、九州電力川内原発1・2号機だけとなった。

 私の友人で、大飯原発京都訴訟の事務局長をしている吉田明生氏は「今回の司法の判断を支えているのは、市民の運動であることは疑いない。全国各地での毎週金曜日の定例アピールのほか、地元などで取り組まれてきた地道な活動には、改めて敬意を表したい」「司法の勝利で原発を止めている間に、私たちはいっそう脱原発の運動を進め、司法に頼らないでも再稼働を阻止できるところへ、少しでも力量を大きくすることが求められている」と述べているが、全くその通りである。
(JCJ代表委員)

*JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2016年3月25日号


<JCJ機関紙購読・会員加入申込みHP> http://jcj-daily.sakura.ne.jp/postmail/postmail.html
・「ジャーナリスト」はタブロイド判8面、毎月25日の発行です。
・年間購読料:3000円(12号分)です。
※会員の場合、機関紙購読料は会費に含まれています。(←いまなら郵送料込み)

posted by JCJ at 23:28 | TrackBack(0) | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

この記事へのトラックバック