2016年04月21日

菅官房長官が<緊急事態条項を憲法改正で新設「極めて重く大切な課題」>と話すと、産経新聞・榊原論説委員が<大震災に備えて「緊急事態」条項を盛り込むべき>と応える

▽安倍首相出演番組の放映中止 後日放送するか未定

 毎日新聞によると、フジテレビは17日午前10時からのバラエティー番組「ワイドナショー」の放送を取りやめると発表した。安倍晋三首相の録画出演を予定していた。代わりに熊本地震の報道特別番組を放送するという。

(JCJふらっしゅ「報道クリップ」(17、19日付)=小鷲順造)


 安倍首相の録画出演は14日収録だった。フジは、「地震に全く触れていないことに鑑みて判断した」と説明しているという。収録済みの番組を後日放送するかは検討中という。
 収録内容は、松本人志(漫才師、ダウンタウン)らが各界からゲストを招き、時事の話題を語り合うもので、政治家の出演予定は安倍首相のみだった。  24日投開票の衆院補選期間中であり、「首相のPR番組になるのでは」との懸念の声が上がっていた。

<熊本地震>フジ、安倍首相出演番組の放映中止(毎日新聞16日)
http://news.biglobe.ne.jp/domestic/0416/mai_160416_6466543436.html


▽菅官房長官 緊急事態条項を憲法改正で新設「極めて重く大切な課題」

 15日、菅官房長官が熊本地震に関連して、大災害時などの対応を定める<緊急事態条項を憲法改正で新設>することについて、「極めて重く大切な課題だ」と述べた。
 日本経済新聞は、「憲法改正は国民の理解と議論の深まりが極めて重要だ」とも語り、慎重に検討すべきだとの立場を示したとも伝える中で、<自民党は野党時代にまとめた憲法草案で、緊急事態条項の新設を明記している>と付け加えて報じている。

 菅官房長官のこのタイミングでの<緊急事態条項を憲法改正で新設>「極めて重く大切な課題だ」の発言は、あからさまな<ショック・ドクトリン>、すなわち惨事に便乗して、同調機運を高め、<改憲>に無視美つけようとするもので、実にこの政権らしい<姑息>なやり方を示している。
 日本の市民社会は、震災や危機に人々が瀕している時に、こうした汚いやり方でそこへつけこもうとするような<愚かな政権>を断じて許してはならない。あらためて、この政権の底の浅さを見た思いがする。

緊急事態条項「極めて重い課題」 熊本地震で官房長官(日本経済新聞16日)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS15H54_V10C16A4PP8000/


▽<大震災に備えて「緊急事態」条項を盛り込むべき>産経新聞・榊原論説委員

 熊本地震の報道をチェックしていたところ、関連記事として次の記事が目に入ったので、紹介しておく。
 産経新聞によると、16日、「山形『正論』友の会」の第14回講演会が、山形市内で開かれ、同紙の榊原智論説委員が「中国と大震災に備える『憲法改正』」と題して講演した。一読では理解しにくい点があるため、元記事全文に目を通されることをおすすめしておく。
 同論説委員は講演のなかで、9条を改正して「国連憲章が認める個別的自衛権と集団的自衛権をはっきりさせ、軍隊を持つべきだ」と強調し、また今回の熊本地震に触れて、今後予想される大震災に備えて「緊急事態」条項を盛り込むべきだとした、という。
 記事は、<緊急事態を宣言して一時的に政府に権限を集め、「大災害や有事のときに平時の態勢で乗り切ろうとすると被害が大きくなったり、事態の解決を遅らせる」と必要性を説いたとしている。
 また同論説委員は政治家に対し、国民の間で憲法論議を高めるためとして、「日本にとってどんな憲法改正が必要か、それはどうしてなのかを国民に示すべきだ」と求めたという。

 つまり、菅官房長官が<緊急事態条項を憲法改正で新設「極めて重く大切な課題」>と話すと、産経新聞・榊原論説委員が<大震災に備えて「緊急事態」条項を盛り込むべき>と応える状況になっているということか。どうしてなのか、なぜそうなっているのか、その理由も背景も私にはまったくわからない。しかし、成り行きもよって立つ構造もわからないからといって、こうした状態が好ましい状態であるのか、そうではない状態であることはだれにでもわかる。

 大手紙の部数不振が続く中で、産経新聞は少しずつでも増やしてきたと聞いたことがある。同紙はもともとの規模がそう大きくはないわけだから、そういうこともあるだろう。とはいえ、政府御用新聞(政府広報宣伝紙)とも指摘される同紙といえども、ここまでくると<大本営>という言葉が脳裏をよぎる。それも相手は、日本社会のこと、日本の民衆の生活のことなどまるで眼中になく、<税を吸い上げる対象>としか考えていない、独りよがりと自己満足と保身にこりかたまった安倍スローガン・プロパガンダ政権である。

 産経新聞が、いくらなんでも、用紙代や印刷代を稼ぐためならば、そういう政権の独りよがりの暴走だろうとなんだろうと、いくらでも伴走しますよ、というような<名ばかり新聞>社だとは思えないし、思いたくない。同紙には、あまりうなずけない論説の類いも私にとっては多いが、これはと思わされる記事もときどき出してくる。
 同紙は、榊原論説委員の<大震災に備えて「緊急事態」条項を盛り込むべき>の発言について、どうとらえているのか。もう少しよく知っておきたいところである。読者もまたこの際、よく注視しておく必要が出ているのかもしれない。

「震災に備え憲法改正を」榊原論説委員が講演 山形「正論」友の会(産経新聞17日)
http://www.sankei.com/region/news/160417/rgn1604170024-n1.html


▽中谷元・防衛相「オスプレイによる輸送支援を受け入れる方針を決めた」

 17日、中谷元・防衛相が政府はこの日、熊本地震の被害が拡大していることを踏まえ、米海兵隊のオスプレイによる輸送支援を受け入れる方針を決めたと発表した。
 沖縄タイムスは、<日本の災害支援にオスプレイが参加するのは初めて。オスプレイは熊本県内の救援物資集積所から被災地に物資を輸送する計画だ>と伝えた。
 記事によると、<在日米海兵隊は17日、熊本地震の被災者支援のため、4機のオスプレイが米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)から米軍岩国基地(山口県)へ向かったと発表した。具体的な任務や到着日時などは保安上明かせないとしている>。

 これも上記の菅官房長官の<惨事に便乗>して改憲を煽ろうとするやり方とセットで解しておくべき事柄であり、<救援>の美談で批判をかわしながらオスプレイの導入を容認する風潮をつくり、さらに米軍産複合体との<連携>を深めて、軍備のための<カネ>を国民の懐から巻き上げようとする宣伝戦術の一環ととらえておくべきだろうと思う。

米軍、熊本支援へオスプレイ 普天間から4機派遣(沖縄タイムス18日)
http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=164185&f=sr


▽安倍首相「直ちに米軍の支援が必要という状況ではない」を一転

 朝日新聞によると、首相の安倍氏は17日、午前8時半過ぎには記者団に「現在のところ、直ちに米軍の支援が必要という状況ではない」と語っていたが、午前11時過ぎ、米国から中谷元・防衛相を通じて協力の申し出があったと記者団に説明した。
 「速やかに具体的な輸送ニーズを調整し、整い次第ただちに実施したい」と述べて<軌道修正>したかたちだ。
 中谷氏は17日夜、記者団に「早く物資を送るためには、垂直離陸能力を持ったオスプレイの能力は必要であるということで調整した」と話した。

 安倍氏の朝令暮改は、いまさら驚く必要もないことだろう。首相の職についているにもかかわらず、その言葉の軽さ、根拠薄弱、口先で選挙民からの支持を得られると考えてやまないセコさ。ほとほと愛想が尽きるどころか、このような政権を放置したままでは、日本社会は本当にだめになってしまうと思う。

首相「激甚災害に早期指定」 オスプレイで物資輸送へ(朝日新聞18日)
http://www.asahi.com/articles/ASJ4K5GF5J4KUTFK009.html


▽「オスプレイを使うと言われると、物資を運ぶ以外の目的もあるのかな」

 西日本新聞によると、18日、熊本県南阿蘇村に、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の新型輸送機MV22オスプレイが救援物資を搬送したことについて、熊本県内の被災者からは支援を喜ぶ一方、安全性を危ぶむ声も上がった。
 記事によると、被災者には日米同盟のパフォーマンスと見る向きもあるという。
 この日、夫婦で同村の避難所を訪れた同村の男性は「いちいちオスプレイで運んだと明らかにすることに政治的な意図を感じる。今まで通り自衛隊のヘリで良いのではないか」といぶかしがった。
 食料不足が深刻な熊本市東区の避難所に息子と一緒に避難する母親は、「外国の人たちの善意を思うと泣けてくる」と話す一方、困惑した表情で「沖縄で配備に反対する人もいるオスプレイを使うと言われると、物資を運ぶ以外の目的もあるのかなと思ってしまう」と話している。

 日本社会が示す<迷い>のひと言。そのなかには、本当に大事なときにはお上だろうが、役人だろうが、為政者だろうが、権力者だろうが、ひっくり返し、引き摺り下ろしてやまない<魂>が潜んでいる。それを私たちは共有している。
 そしてそれは、この夏に向かって、大きな渦となろうとしている。

オスプレイ物資輸送に賛否、熊本 県内被災者の声(西日本新聞18日)
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/239280


(こわし・じゅんぞう/日本ジャーナリスト会議会員)


*メールマガジン「JCJふらっしゅ」

posted by JCJ at 07:09 | TrackBack(0) | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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