2016年04月25日

無党派層7割の支持を受けても一歩及ばずの北海道補選・池田氏/その強みを生かし弱点を補強するには――4党連携の模索は続く

▽小沢氏「戦いは始まりに過ぎない」

 24日、衆院京都3区、北海道5区の補欠選挙が投開票された。
 第3次安倍内閣発足後初の国政選挙。民進党は3月の結党後初の国政選挙。
 京都3区では、民進党前職泉健太氏=社民推薦=が大勝した。北海道5区は自民党新人和田義明氏=公明、日本のこころ推薦=が接戦を制した。

(JCJふらっしゅ「報道クリップ」=小鷲順造)

(*データのトラブルが生じたため、再度入れなおしました。)

 朝日新聞によると、小沢一郎・生活の党と山本太郎となかまたち代表は、「北海道5区での野党候補の敗北は誠に残念だ。様々なことが影響したと考えられるが、負けは負けであり、結果については真摯に受け止める必要がある」としたうえで、敗因について「野党各党が基本的に共闘はしたものの、各党それぞれの微妙な温度差を感じとり、国民の目には野党共闘がいまだ十分でない、安倍政権に代わり得る選択肢になっていないと映った可能性も否定できない」と話した。
 今後については、「ただし、今回の戦いは始まりに過ぎない。野党は安倍政権を倒すと言うその一点で団結すべく、様々な細かい感情を乗り越え、共闘に向けた協議を更に深化させていくべきだ。我が党も来る選挙に向け、野党共闘の架け橋になっていきたい」としている。

 民進党の枝野幸男幹事長は「安倍政治に対する批判や不安は日々高まっている。参院選で政治の流れを大きく変える」(共同通信)とする談話を発表した。共産党の小池晃書記局長は「選挙結果は残念ですが、当初、自民党圧勝といわれていたものを、横一線の大激戦まで押し上げ、自民・公明をあと一歩のところまで追いつめました。これは、野党共闘の力と広範な市民との共同の力が遺憾なく発揮されたものです。引き続き、参院選に向けて野党間の選挙協力をいっそう強めて、必ず自民・公明と補完勢力を少数派に追い込みたい」(しんぶん赤旗)と話した。
 京都3区の投票率は30.12%。戦後に行われた衆議院の補欠選挙の中では最も低かった(これまでの最低記録は1947年の旧新潟1区32・95%で、69年ぶりに更新)。泉健太氏の獲得票数は6万5051票で、おおさか維新の森夏枝候補に(獲得票数2万710票)圧倒的な差をつけて大勝した。
 泉氏は、国会議員5期13年の実績に加え、「平和、立憲主義、生活の三つを守る」と訴えた。
 京都3区補選は、自民党衆院議員だった宮崎謙介氏が「育休宣言」する中、自らの女性問題で辞職(自民党を離党)したことに伴い実施された。自民は有権者の反発が強いとして「不戦敗」を選択、共産党は安保関連法廃止に向けた「4野党共闘」合意をふまえ、ここでは自主投票とした。民進党は両補選が、現在の党名になって初めての国政選挙。

 北海道5区の投票率は57.63%(前回衆院選比▲0.8ポイント)。
 自民・和田義明氏(公明、日本のこころ推薦)の獲得票数は13万5842票で、無所属・池田真紀氏(推薦民進・共産・社民・生活)の獲得票数は12万3517票だった。
 選挙区内の千歳、恵庭両市には陸上自衛隊、航空自衛隊の駐屯地や基地。安保関連法を有権者がどう判断するかが注目された(→毎日新聞)。和田氏は「国民の暮らしや財産、領土などを守り抜くため安保法制は必要不可欠」と強調。安保関連法に反対する学生団体「SEALDs(シールズ)」など市民団体は池田氏を支援。

 今回の北海道5区補選は、故町村信孝前衆院議長の死去に伴うもので、接戦を制した和田氏は、町村氏の娘婿。元三菱商事部長代理、元衆議院議員秘書。安倍政権の経済政策「アベノミクス」で地元を活性化すると訴え、政治の安定を強調した。選挙後、「本当に厳しい選挙戦だったが、なんとか勝たせていただいた。経済がまず大事だという訴えが有権者に届いたと思う。新千歳空港などの民営化や北海道新幹線の札幌延伸など、まずは経済の活性化に全力を尽くしていきたい。私自身が北海道のセールスマンとなり引っ張っていく」(NHK)と話した。

 池田真紀氏は、社会福祉士、民進党北海道道民生活局長。野党4党で合意した安全保障関連法廃止を訴え、社会保障の充実を打ち出した。選挙後、「誰もが心から安心できる社会をつくろうと選挙戦に臨んだが、このような残念な結果となり大変悔しい。今回の選挙は、1票1票に思いや願いが込められた選挙だったと思う。選挙を通して、有権者の受け止めが日に日に変わっていくのを感じられたことが大きな1歩だったと思う」(同)と話した。

自民、北海道5区で接戦制す 衆院2補選、京都3区は民進大勝(共同通信25日)
http://this.kiji.is/96909573591172604?c=39546741839462401
<衆院補選>北海道5区、自民勝利 京都3区は民進(毎日新聞25日)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160425-00000000-mai-pol
民進・泉氏が圧勝 衆院京都3区補選、投票率は最低(共同通信24日)
http://this.kiji.is/96984836698539517
京都3区補選 民進 泉健太氏が当選(NHK25日)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160424/k10010496751000.html
衆院補選 北海道5区は自民 和田義明氏が当選(NHK25日)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160424/k10010496881000.html
「野党共闘、更に深化させていくべき」小沢一郎氏(朝日新聞25日)
http://www.asahi.com/articles/ASJ4S7SNXJ4SUTFK00Z.html
衆院北海道5区補選勝利「勢いを参院選に」自民・茂木氏(朝日新聞25日)
http://www.asahi.com/articles/ASJ4S7S7SJ4SUTFK00Y.html
衆院2補選 北海道5区は自民が勝利 野党共闘善戦及ばず(東京新聞25日)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201604/CK2016042502000132.html
北海道5区補選 池田氏が大健闘 野党共闘、自公追いつめる(しんぶん赤旗25日)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-04-25/2016042501_01_1.html


▽政府・与党は参院選に向けた対応をあらためて検討

 毎日新聞によると、安倍晋三首相は24日夜、北海道5区補選で勝利したことについて「この補選は参院選に向けて重要な選挙だ。勝利することができたのは大きい」と述べた。自民党の茂木敏充選対委員長が党本部で記者団に明らかにした。茂木氏も「夏の参院選の対立構図である自公対民共の戦いを制した意義は大変大きい」と強調したという。
 また安倍政権は、経済政策「アベノミクス」や安全保障関連法の整備に一定の信任が得られたとして、「ニッポン1億総活躍プラン」や経済財政運営指針「骨太の方針」の策定を急ぎ、参院選の公約として掲げる方針という。

 記事は、<参院選前の大きなハードルだった補選を乗り切ったことで、消費増税をめぐる判断など、政権運営の選択肢は広がったとみられる>としつつ、<ただ、北海道5区補選の選挙戦は、政府・与党幹部らの想定以上の激戦となった>ことから、1)安倍政権の支持率は堅調だが、2)経済回復の足取りが鈍いことやアベノミクスの恩恵が地方に届いていないことへの批判が影響した、との指摘も政権・与党内部から出ており、政府・与党は参院選に向けた対応をあらためて検討するものとみられる。

 自民党内には選挙前、北海道5区補選に負けた場合、野党共闘が進む参院選の議席減も免れないとして、衆院を解散し「政権選択の選挙」となる衆参同日選を実施するよう求める声があったという。北海道5区補選で競り勝ったことで、熊本地震で被災地自治体の負担が大きくなることとあわせて、党内からは首相が同日選を決断する可能性は遠のいたとの見方が出ている、としている。

北海道補選 自民、参院選に弾み 野党共闘の出足くじく(毎日新聞25日)
http://mainichi.jp/senkyo/articles/20160425/k00/00m/010/124000c


▽池田真紀氏=民進党・共産党支持層の9割以上を固め、無党派層からも7割の支持

 北海道新聞は24日、選挙区内30カ所の投票所で投票を終えた有権者1800人を対象に出口調査を実施した。
 有権者が今回の補選で最も重視した課題や政策は、「社会保障」24・9%、「景気・雇用」19・4%、「安全保障問題」10・9%の順だった。
 自民・和田義明氏(公明、日本のこころ推薦)は、前回2014年の衆院選で故町村信孝前衆院議長に投票した人の8割から支持を得たという。
 自民党の支持層の8割以上を取り込み、公明党の支持層も9割固めたが、無党派層からの支持は3割にとどまっている。

 一方、無所属・池田真紀氏(推薦民進・共産・社民・生活)は、当選には届かなかったが、民進党支持層と、共産党支持層の9割以上を固め、無党派層からも7割の支持を得ていた。

 両候補への支持について世代別にみると、自民・和田義明氏(公明、日本のこころ推薦)は20〜40代、池田氏は50代以上でそれぞれ優位だったこと、職業別では和田氏は「民間企業従事者」「自営業」などで強く、池田氏は「公務員・団体職員」「契約派遣・アルバイト」などで上回ったことがわかる。  北海道新聞の記事は冒頭で、和田義明氏は、自民党、公明党支持層の大半を固めたことが当選につながった。民進党や共産党など野党4党が推薦する無所属の新人池田真紀氏は民進党、共産党の大半を固めたものの、支持に広がりを欠いた、とまとめている。

*  朝日新聞社も同日、選挙区内30投票所で出口調査を実施した。1340人から有効回答を得た。
 出口調査では、国政のいくつかの政策課題についても質問している。
 安全保障関連法に反対48%、賛成43%と拮抗した。記事は、その賛否によって投票行動の違いは明白となったと伝えている。賛成と答えた人の約8割が和田氏に投票し、反対と答えた人の約8割が池田氏に投票したという。
 安倍首相の経済政策「アベノミクス」については、「評価する」48%、「評価しない」45%だった。「評価する」人の7割強が和田氏に投票し、「評価しない」人の8割弱が池田氏に投票していた。
 和田氏は自民支持層、公明支持層の約9割の票を得た。一方、池田氏も推薦を受けた民進、共産、社民、生活各党の支持層の8割から9割強を固めた。
 出口調査で、無党派層の68%が池田氏に投票し、32%が和田氏に投票したことがわかったが、支持政党をもつ人は、出口調査回答者のうち自公支持層は4割を超えていた。4野党の支持層は3割に満たなかった。

 記事は、<従って、池田氏の方が無党派層依存度が高く、無党派層で和田氏に大きく水をあける必要があった>とする。無党派層だけをみると<池田氏善戦に見えるが、結果を見ればその差では不十分だった>ことを指摘している。
 出口調査の結果を伝えた朝日新聞記事は、衆院北海道5区補選について、<自公両党の組織力に乗った和田義明氏(自民)が無党派層の一部にも浸透し、池田真紀氏(無所属)に競り勝った。野党側は激しく追い上げたが、無党派層の圧倒的多数を味方に付けなければ勝てないことを思い知らされた選挙だったといえる>と整理している。

和田氏、20〜40代の支持厚く 出口調査、無党派層は3割(北海道新聞25日)
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/politics/politics/1-0263188.html
無党派層68%「池田氏に投票」 北海道5区・出口調査(朝日新聞24日)
http://digital.asahi.com/articles/ASJ4S5SRMJ4SUZPS003.html?rm=249
若者参加「市民連合」、新しさ模索 北海道5区補選(朝日新聞25日)
http://digital.asahi.com/articles/ASJ4S5RL8J4SUTIL01K.html?rm=383


▽「年金・医療など社会保障」重視の回答者=池田氏に投票52・0%、和田氏に投票48・0%

 共同通信社も同日、出口調査を実施した。
 有権者が最も重視した政策は、「景気・雇用」「憲法改正の是非」「安全保障問題」「年金・医療など社会保障」だった。
 「景気・雇用」を挙げた人の78・0%が和田氏に投票、「憲法改正の是非」とした人の84・7%が池田氏に投票、「安全保障問題」とした人の60・7%が池田氏に投票した。「年金・医療など社会保障」と答えた人は、池田氏に投票が52・0%、和田氏に投票が48・0%と回答が割れた。
 「支持政党なし」の無党派層は、73・0%が池田氏に投票した。和田氏は前回衆院選(2014年の)の際、義父で昨年6月に死去した町村信孝前衆院議長に投票した人の78・7%を獲得した。
 政党支持層別では、初当選した自民党の和田氏が自民支持層の87・2%、公明支持層の89・0%を固めた。野党統一候補の池田真紀氏は民進支持層の95・5%、共産支持層の97・9%の票を獲得した。
 記事は<両候補とも支持層を手堅くまとめた>と伝えた。
 年代別にみて優勢だったのは、20代〜40代では和田氏、50代〜70歳以上では池田氏が優勢だったという。

北海道5区補選 共産支持の97.9%が池田氏に(共同通信〜東京新聞25日)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201604/CK2016042502000124.html


▽参院選=安保関連法の存廃、改憲、原発問題、「暮らし」が大きな争点に

 東京新聞は25日、<北海道5区補選で論戦 「暮らし」争点に浮上>の記事を出して、衆院北海道5区補選では、貧困や格差の問題、保育や介護の充実といった有権者に身近な暮らしに関わる論戦が繰り広げられたことを伝えた。
 記事は、<夏の参院選では、集団的自衛権の行使容認を柱とした安全保障関連法の存廃、改憲、原発問題に加え、「暮らし」が大きな争点に浮上することになる>とした。

 また、勝利を手にした与党候補の和田義明氏は「経済の和田」を前面に打ち出して、「経済がうまくいかなければ福祉も充実しない」と、安倍政権の経済政策「アベノミクス」を支える姿勢を強調したのに対し、野党統一候補の池田真紀氏は「誰一人置いてきぼりにしない社会」をキャッチフレーズに掲げて、子どもの貧困問題をはじめ、生活困窮家庭や障害者、地震の被災者など社会的弱者に目を向けた政策の充実を中心に訴えることで、強固な自民の地盤を脅かすところまで猛追した。

 記事は、<最近の国会では、待機児童問題や大学生への奨学金など生活に関わる問題が重要課題として議論されている>ことに加えて、<和田氏は元商社マン、池田氏は福祉事務所元職員のシングルマザー>という肩書も選挙戦での「暮らし」を巡る訴えに結び付いた点に着目して、<北海道5区補選での論戦は、与党候補と野党統一候補が改選一人区で対決する参院選でも交わされる>と指摘している。

 記事は、夏の参院選に向けた「政策」面について、政権・与党と野党4党それぞれの動きを以下のようにまとめている。
 安倍政権は5月に、「ニッポン一億総活躍プラン」を発表して、夏の参院選に向け「暮らし」重視をアピールする方針。保育士の待遇改善による待機児童問題対策や同一労働・同一賃金の実現などの具体策を示すことにしている。
 野党4党は参院選に向け、安全保障関連法の廃止や安倍政権での改憲反対などに加え、貧困や格差問題は「アベノミクスの影だ」との政権批判を強めていく。弱者対策の政策面でも協調姿勢を打ち出す。

 <夏の参院選では、集団的自衛権の行使容認を柱とした安全保障関連法の存廃、改憲、原発問題に加え、「暮らし」が大きな争点に浮上することになる>との論点を、くっきりと浮上させた好記事だ。

北海道5区補選で論戦 「暮らし」争点に浮上(東京新聞25日)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201604/CK2016042502000122.html


(こわし・じゅんぞう/日本ジャーナリスト会議会員)


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posted by JCJ at 18:41 | TrackBack(0) | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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