時代は2001年夏、舞台は「ボストン・グローブ」紙。定期購読者の半数以上がカトリック信者という土地柄だが、この地区の教会の神父が以前から児童への性的虐待を繰り返していたというスキャンダルをキャッチする。
教会権力の強大さを知っている地元出身の記者たちは本格追及をビビるが、マイアミの新聞社からスカウトされたばかりでその辺の事情を知らない新任の編集局長に逆に励まされ、同紙の売り物の特集記事「スポットライト」のチームが徹底取材に突っ込むという物語だ。
取材班はデスク以下4人。緊迫感を煽るミステリータッチの構成や眉をつり上げて悪を追及する熱血記者ドラマ℃d立てを避け、映画は被害者や弁護士などへのインタビュー、封印された裁判記録の開示や、教会発行の公式年鑑に掲載された神父の人事異動記録の分析など、記者たちの地道な取材活動を静かに、淡々と描く。
そして01年、米国で起きた9・11同時多発テロで一時取材の中断を余儀なくされるが、翌02年1月から教区内の70人以上の神父が長年にわたり性的虐待を重ねながら教会に組織ぐるみで守られ、事件を隠ぺいしてきたという衝撃的な特集を掲載した。記事は600本以上にのぼった。
隠された秘密が深ければ深いほどネタ元に食い下がり、教会という巨大な権力と闘う記者。血気にはやる部下の手綱を締めるクールなデスク――そうやって動かし難いFACTを積み重ね、確かなストーリーを組み立てて一気に勝負に出る。
そしてなによりも自分たちジャーナリストの仕事は世の中を良くすることに役立っていると信じている――映画で繰り広げられるすべてのシーンが、「調査報道」とは何かを我々に語りかけ、勇気づけてくれる。
*JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2016年4月25日号
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