2016年06月09日

問われるメディアの姿勢 安保法制違憲訴訟始まる=丸山重威

 安保法制違憲訴訟が、4月26日、東京地裁に提起された。前例がない集団訴訟で、多くのメディアは「門前払い」を予想してか消極的だが、訴えにどう向き合うか問われている。
 原告は、伊藤真、内田雅敏ら9人の弁護士を共同代表とする「安保法制違憲訴訟の会」に賛同する市民ら約500人。安保関連法に基づく自衛隊出動の差し止めを国に求める行政訴訟と、同法施行で精神的苦痛を受けたとして国家賠償を請求。東京地裁の行政訴訟には52人、国賠訴訟には457人が加わった。さらに同日、福島地裁いわき支部に約200人、5月6日に高知地裁に32人が提訴した。

 4月27日の在京各紙で、最も大きかったのは東京新聞。1面中に凸版入り3段の本記に、社会面トップで「この怒り向き合って」と原告らのカラー写真を掲載。毎日新聞は写真入りだが、朝日新聞とも第3社会面3段。読売新聞も3社で横書き雑報扱い。これを社説で扱ったのが朝日と高知新聞。朝日29日は「司法の真価が問われる」と題し「裁判所は正面からこの問いに答えてもらいたい」とし「根本にあるのは立憲主義を軽んじる政治のあり方に対する深刻な危機感」「真剣な問いを裁判所は矮小化することなく真摯に受け止めるべき」「統治機構への信頼をこれ以上損なってはならない」と述べた。

 27日高知も「司法は沈黙を続けるな」と主張。自衛隊の出動が現実化すると、「戦争やテロに巻き込まれる恐怖」を感じ「平和に生きる権利」の侵害への賠償を求めていると紹介。「国民の多くが感じる不安であり、抽象的とは言えまい」と踏み込んだ。

 憲法判断では、抽象的な法律解釈ではなく、具体的な権利侵害で判断するとする判例や、三権分立の原則、違憲審査制の理論にも関わって、違憲判断のハードルは高い。今回の訴訟はこれら憲法訴訟の理論も含めて問題提起されている。
 安保法制違憲訴訟は既に個人の訴えに門前払いの判決が出ているが、「違憲訴訟の会」は原告を増やし、札幌から福岡まで全国13地裁で提訴を計画。「安保法制違憲訴訟を支える会」(呼びかけ人・澤地久恵さんら)も誕生した。これらをどう扱うか。メディアの姿勢が問われている。

*JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2016年5月25日号


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posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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