2016年06月11日

トランプ旋風の背後で進む「共和党タカ派一本やり体質」の窮地(1)──「米国の民主主義はもう二度と元に戻らない」との指摘も出る米大統領選

▽解せない「クリントン氏、民主党公認確保閾値のスーパー代議員数を獲得」報道のタイミング

 7日、民主党は米大統領選でカリフォルニア州やニュージャージー州など6州で予備選・党員集会を実施。クリントン氏(前国務長官)が代議員総数の過半数を確保して、勝利を宣言した。7月の民主党全国大会での指名獲得を確実にした。
 7日夜、ニューヨークで、クリントン氏は支持者を前に演説、「この国の歴史で初めて、女性が主要政党の大統領候補になるという画期的な出来事を達成した」(朝日新聞)と勝利宣言し、また、自身のツイッターでも「今夜、我々は誇りを持って言える。米国では厚すぎて壊せない障壁も突き破れない天井もない」と性差別などを打ち破っていく決意を示した(同)。

(JCJふらっしゅ「ニュースの検証」9日付=小鷲順造)


 朝日新聞は、1)2008年の大統領選ではオバマ大統領に党の指名争いで敗れたこと、2)2度目の挑戦となった今回も、サンダース上院議員と予想外の接戦となったこと、3)昨年4月に立候補表明してから1年2カ月でようやく党指名争いに決着をつけたことを伝えたうえで、4)オバマ大統領が同日夜にクリントン氏に電話して指名獲得に必要な代議員数を確保したことを祝福したこと、さらに、5)オバマ大統領はサンダース氏にも電話したことを付け加えた。

 サンダース氏は7日のノースダコタ党員集会では勝利したものの、獲得代議員数でクリントン氏を逆転することは事実上不可能となったことから、オバマ氏は両候補への電話に踏み切った。クリントン氏の指名獲得が確実になったことから祝福の電話を入れたという報道は至極当然のことだが、大統領から敗者への電話の有無をホワイトハウスが明かす理由は、そのときどきで異なるだろう。サンダース氏はこれまで、7月の党大会までは選挙戦から撤退しない旨表明している。今後の対応に関心が集まっている(数日前には、「オバマ氏、7日にもクリントン氏支持表明へ」という主旨の報道が続いたが、いまは「オバマ米大統領はクリントン氏の支持を近く表明し、党内に結束を呼びかける」という調子に変わっている)。

 クリントン氏の勝利宣言をうけて、私のところにも、即座に「民主党、大企業、メディアが束になって、サンダース潰しの最後の一手に出た」というサンダース支持者たちの落胆の声が、竹内マヤさん(ライター、NY在住)から届いた。「わずかな期間でもこの国の将来に希望を抱いた人たちの、この間目にした明るい表情を思うと、胸がつぶれそう」と話す。

 これまで出ては消え、消えては出ているサンダース氏本人あるいはエリザベス・ウォーレン氏など陣営からの副大統領起用については、「クリントンもサンダースも高齢なこともあり、大統領に不測の事態があった時、指揮を執る立場の副大統領がサンダースという選択肢はほぼないと考えられている」(竹内マヤ氏)、「エリザベス・ウォーレン氏を副大統領に据え、クリントンが更に大企業に取り込まれることに歯止めをかけるという期待については、ウォーレン氏はウォール街が最大の宿敵と明言するほど主張がはっきりしているので、潰したいと思う敵も多いと思われる」(同)という。

 また竹内さんは、クリントン氏のこの夜の勝利宣言について、「クリントン氏が民主党公認確保閾値のスーパー代議員数を獲得したというメディアによる発表は、サンダース潰しと受け止められている。発表が、代議員数最大のカリフォルニア州他での予備選の前夜という、絶妙のタイミングで行われたことも特記すべき点」と指摘する。「サンダースの支持に傾いていた多数の民主党登録有権者がいる。彼らが票を投じようとするときに行われた発表であり、投票への意欲を削ぐための発表としか考えられない。もう少しやり方があったはず」と指摘している。

 こうした声や指摘が、いかに大統領選に建設的に生かされるのか、あるいは生かされることはないのか、しっかりと注視していく必要があろう。

▽トランプ氏、核武装の容認発言はヒラリー・クリントンによるウソと主張

 朝日新聞の記事に話を戻そう。記事は末尾で、この夜のトランプ氏の動向を紹介している。
 トランプ氏は7日夜、ニューヨーク州で演説した。同氏は、クリントン氏について<既成政治の象徴>と批難、「問題を作り出した政治家に頼っても、問題は解決できない」(朝日新聞)と強調し、また、サンダース氏の支持者に対して、「両手を広げて歓迎する」と自身の支持に回るよう呼びかけた、と書いている。

 日本経済新聞によると、米大統領選の共和党候補指名が確定したドナルド・トランプ氏は、日本の核武装を容認する過去の発言を否定するなどの過激な言動で注目を集めた予備選の戦術の修正を図り、11月の本選に向けて党主流派への歩み寄りを進めている、という。

 トランプ氏は、3月、4月と「(日本の核武装は)時間の問題だ」と指摘し「日本が我々に金を払うか、自衛するかだ」と求めたり、米FOXテレビのインタビューで「(日本は)北朝鮮から自衛した方がいい。核兵器を含めてだ」と発言して、「日本が我々に金を払うか、自衛するかだ」と求めるなどして、日本の核武装を繰り返し促すような発言をしてきた。

 だが記事によると、ここへきて、その発言も「私が日本に核兵器を持つよう求めたというが、ちょっと待ってほしい」(日本経済新聞)と、トランプ氏は1日のカリフォルニア州の集会で切り出し、核武装の容認発言は民主党のヒラリー・クリントン前米国務長官によるウソだと主張したのだという。

 世間をひっかきまわすことがお役目のトリックスターそのもの、というかそれも相当下劣・下品な部類の、としかいいようがない印象は相変わらずだ。

 また記事は、党下院トップのライアン下院議長が2日、ようやくラ地元紙への寄稿で「ドナルド・トランプ氏に投票する」と支持を表明したことを伝えている。ライアン氏はそこで、「トランプ氏と私との間には違いがある」としつつ、「不一致よりも共通点が多い」と、トランプ氏が譲歩したことをほのめかしたという。ライアン下院議長は、トランプ氏の指名が確定してからも支持表明を保留し、政策変更を求めてトランプ氏と折衝を続けたという。

 記事は末尾で、クリントン氏のトランプ氏への動きにふれ、クリントン氏はトランプ氏への強烈な批判を始めたと伝えている。クリントン氏は2日のカリフォルニア州の演説で、トランプ氏について「危険なほど支離滅裂だ」と強調し、「日本の駐留米軍撤退や核武装を奨励しているのは小さな問題ではない」と指摘、日本と北朝鮮の戦争について「トランプ氏は『がんばれ、君たちで楽しんでくれ』と語った」と語気を強めた、という。

クリントン氏が勝利宣言 オバマ大統領が電話で祝福(朝日新聞8日)
http://www.asahi.com/sp/articles/ASJ6822KHJ68UHBI004.html
トランプ氏、戦術を修正 共和幹部に接近 「核武装」発言否定(日本経済新聞4日)
http://www.nikkei.com/article/DGXKASGM03H7D_T00C16A6FF1000/
「婦人通信」─NY最前線(連載)
http://fudanren.info/tsusin.html
安倍政権の暴走を報じる米国メディア(竹内マヤ2015.FEB)
http://www.jpkenpo.us/forum.feb.15.jp.html


▽戦争依存体質、拡大する貧困・格差、中間層の没落…

 米大統領選挙の行方については、民主・共和両党の予備選の動きや結果とは別に、各種世論調査についても見ておく必要があろう。
 ブルームバーグが5月31日付で「クリントン氏に追い風となるか、オバマ大統領の高支持率」と題する記事を出した。要約しておく。

1)トランプ氏とヒラリー・クリントン氏は、このところの一連の世論調査で互角の支持率となっている。
2)米テキサス大学のクリストファー・ウレジエン教授(政治学)は「選挙は1つの選択だが、選択の多くの部分は人々が同じ路線にとどまりたいか否かに関するものだ」と指摘。「国民の投票上の選択は、人々が現職大統領と経済の現状についてどう考えるか次第だ」と話す。
3)過去の事例を見ると、11月の本選までまだ間があるこの時点では、想定される候補者同士の支持率の世論調査よりも、現職大統領の人気度の方が、経済統計の好不調と相まって、最終的な勝者を占う上で確度が高いケースが多かった。
4)オバマ大統領の支持率は過去12週中11週で50%以上で推移し、5月22日終了週は51%だった。ギャラップのデータによれば、これはレーガン大統領が政権2期目の同じ時期に記録していたよりも2ポイント高い数字だ。
5)オバマ政権第1期の国務長官を務め、大統領の実績を支持し、バーニー・サンダース上院議員と候補指名を争うクリントン氏には、朗報と言えるだろう。クリントン氏はほぼ過去1年を通じ、トランプ氏との一騎打ちを想定した場合に支持率で大差を付けてきたが、最近の3つの全米世論調査では、現時点で投票が行われた場合、大接戦となることが示されているからだ。

 オバマ大統領の支持率はこのところ50%以上で推移し堅調であり、これはトランプ氏とすでに接線を繰り広げているクリントン氏への支持を後押しすることになるだろうという記事だ。
 ただ7日、フィナンシャルタイムズが、Edward Luce記者の「米大統領選史上、最もえげつない戦い」という記事を掲載した。
 書き出しは、「当てにならないさまざまな予想がめぐる季節にあって、一つ、安全な予想がある。米大統領選でのヒラリー・クリントン氏とドナルド・トランプ氏の候補者討論会は、視聴率の記録をすべて打ち破るということだ」「討論会の呼び物は、争点の本質とは関係がない。何千万人もの人が、現代で最も攻撃的な「侮辱家」が世界屈指の知名度を誇る女性をけなすのを見るためにチャンネルを合わせるのだ。古代ローマでは、庶民を楽しませておくために剣闘士が野蛮とされる人たちを虐殺した。だが今回の争いの場合、野蛮な人間には、皇帝になるチャンスがある。トランプ氏が成功しようがしまいが、米国の民主主義はもう二度と元に戻らないだろう」

 かなりシビアな指摘から始まる記事だ。要約しておく。
1)クリントン氏の陣営は対抗馬のはるか先を行っている。これまでに3億ドル近く集めている。トランプ氏の軍資金の5倍近い額だ。
2)クリントン氏の有権者登録作戦の部隊は主要な激戦州の街頭に繰り出している。トランプ氏はまだ、その名にふさわしいほどの地上作戦を行っていない。ブルックリンにあるクリントン氏の選挙対策本部は、何百人ものフルタイムのスタッフを抱え、小さな企業並みの規模を誇る。マンハッタンにあるトランプ氏の本部は、選挙経験がほとんどない少数の忠実な支持者から成る。
3)トランプ氏はクリントン氏のことを、現代の米国政治で前例のない言葉遣いで描写しない日はめったにない。トランプ氏に言わせれば、クリントン氏は夫がレイプするのを支持した人物で、次の瞬間には、投獄されているべきペテン師になる。
4)クリントン氏は先週、トランプ氏のことを「一連の奇妙な暴言と個人的な敵意、真っ赤な嘘」から成る選挙運動を行っている詐欺師と呼んだ。トランプ氏は、トランプ大学(注:ビジネスパーソン向けに同氏が開講していたオンライン講座)が何千人ものだまされやすい顧客をカモにしたのと同じように、米国の有権者をペテンにかけようとしているとした。
5)クリントン氏は、一線を越えてしまった。街頭で悪党とけんかになったら、確実にあらゆる武器を手元に置いておかなければならない。自分が拳を使えば、相手はナックルダスター(拳につける武器)をはめてくる。1発なぐったら、相手はナイフを出してくる。クリントン氏はトランプ氏の縄張りで戦っている。トランプ氏は必ず、もっとひどいものを手にして戻ってくるだろう。
6)本選挙の投票日までまだ5カ月あるが、2016年の大統領選はすでに「Crooked Hillary(いんちきヒラリー)」と「Trump the Fraud(詐欺師トランプ)」との争いになっている。醜い争いが絶頂に達するのは、まだしばらく先だ。
 クリントン氏は、避けられないエスカレーションに対処できるだろうか。民主主義はこれほどえげつない争いを無傷で乗り切れるだろうか。
7)クリントン氏は、重大な欠点をいくつも抱えた弱い候補だ。前向きなテーマをいたずらに探した揚げ句、後ろ向きなテーマに落ち着いた。トランプ氏は、大統領になるには危険すぎる、というものだ。この点ではクリントン氏は正しい。だが、トランプ氏の条件で戦うことを選んでしまった。

 Edward Luce氏の「今回の争いの場合、野蛮な人間には、皇帝になるチャンスがある。トランプ氏が成功しようがしまいが、米国の民主主義はもう二度と元に戻らないだろう」との刺激的な言葉が印象的だ。
 現職大統領の支持率が高めで推移しており、それはクリントン候補に有利に働くだろうという記事、トランプ氏が成功しようがしまいが米国の民主主義はもう二度と元に戻らないだろうと警鐘を鳴らす記事を見てきた。
 ここでさらに、あえてトランプ氏の過激な発言に批判を加えるのをさけて、トランプ支持者にはトランプがどのように映っているのかに着眼してみるとどうなるか、考えておきたい。

 たとえば、トランプ候補について、「保護主義」の流れを、共和党支持者内部に持ち込もうおとしているのではとらえてみると、いろいろ見えてくるものがある。  もちろん、民主党の傾向とされてきた「保護主義」とは異なるが、それへの相似性に気づく。
 ──いまは外国にかまっている暇はない、アメリカは自分の国を立て直すときだ、誇りを取り戻すにはまずそこからだ。
 そうした極端な排外政策を唱え、極端に自国への閉じこもりを主張する姿勢は、ブッシュ政権の残した膨大な戦費のツケに苦しむ庶民の要求と適合する。トランプ氏の放つ極論は、従来の共和党のタカ派的政策を転換しろという同党支持者のホンネとも合致するように思える。  共和党押し上げようと極端に右ブレして浮上した「ティーパーティー」の流れとも異なり、見方によっては栄光ある孤立を選んで、自国内部を立て直せという主張とも読み取ることもできる。

 それに対しクリントン氏は、旧来の民主党政権の黄金時代をもう一度といっているだけのようでもあり、民主党政権にさらなる変化を求める層とは真っ向から対立する。クリントン氏自体が、既存の経済界に加担し、弱肉強食の流れを止めようとしない腐敗した政治家のようにみられており、毛嫌いされる傾向も顕著になっている。
 つまり、民主、共和両党が自党の大統領候補として確定しようとしているトランプ、クリントン両氏とも、国民全体の規模でみると不人気の嫌われ者という、前代未聞の大統領選挙をこの秋、米国は迎えようとしているわけである。

 改革を好む米国の大統領選挙の傾向からいえば、トランプ氏のほうが従来の共和党の路線を変えようとしている点で、クリントン氏よりも勢いを増してくる可能性を秘めているともいえるだろう。世論調査では、クリントン氏をトランプ氏が猛追している状況がある。
 タカ派のポーズを崩せない共和党を、強気のポーズはそのままで大胆に改革しようとすると、トランプ氏のような極端な排外主義を煙幕として掲げながら利己主義をあおり、個人の生活を最優先させようと叫んで、共和党の路線を世界のタカ派から個人主義へと誘導する詐欺師的な匂いをふんぷんとさせたショーマンの登場が必要だったのかもしれない。
 共和党はもはや、軍産複合体の隆盛最優先のタカ派一本やりでは十分な支持を得られなくなってきている、ともいえるのかもしれない。これまでの政治の常識を取っ払い、あくまで米国の利益を最優先しよう呼びかけるトランプ氏のその利己的な姿は、労組の支持を基盤にもつ従来の民主党の保護主義とはまた異なる側面をもっているようでもある。

 クリントン氏に次いで民主党の予備選で最後まで競い合ってきたサンダース氏もまた、既存の労組の枠組みから出てくる要求とは異なる層の絶望からの叫びをまとめ上げ、それを背景に現在から未来へかけて米国の光明を見いだそうとする切実かつ建設的な提言で支持を獲得してきた。
 ブッシュの戦争を最大の契機とした国家財政の疲弊・破綻、あるいは米国にばかり有利に働くとは限らなくなった経済のグローバル化の影響は、弱肉強食社会の極端な行き過ぎを招き、取り返しのつかないところまで貧困を拡大し、中間層の没落を生み出してきた。
 オバマ政権は、期待も最初から背負わされた荷物も巨大だったがゆえに、当面の変化に敏捷とはいえなかった。米国経済もオバマ支持率も乱高下を繰り返しながら、なんとか現在、平常飛行を続けているが、国民生活における貧富の格差の拡大、貧困の増大、従来のやり方ではもはや既存の地位を保てなくなった膨大な中間層の没落や危機には、ほとんど無力だったかのようにも見える。

 その意味では、クリントン候補がいくら黄金の民主党政権をもう一度と訴えても、オバマ政権以上のことがてきるという確信を与えるにはほど遠い印象だ。その印象は、クリントン陣営は、トランプ氏からの口撃に対して同じ土俵で同レベルの口撃しか返せないている姿によって、さらに強まることになるだろう。
 民主党政権が既存の体制に安住したまま、今度の大統領選挙を勝ち抜けるかどうか、微妙な情勢となってきた。トランプ氏を毛嫌いする人は多いが、クリントン氏を好きではないとする人も増える傾向にあるという。

 私は、民主党がもしも、サンダース氏が集めた支持と人気をうまく生かせない場合、Edward Luce氏がいうように「トランプ氏が成功しようがしまいが、米国の民主主義はもう二度と元に戻らない」という絶望的な状況へ陥る可能性があると思っている。
 サンダース陣営と支持者が、最後まで自分たちで生み出した大きなエネルギーの力を信じその勢いを自らの手で葬り去らない限り、大統領も民主党も何らかの形で動かざるをえなくなると思っている。このままクリントン安泰路線だけで本選にたどり着くとは、まだ思えないでいる。主要候補がそろってTPPに反対する中、オバマ政権はどう出るかもからんで、民主党の党内政治も見ものとなってこよう。

 クリントンは、いっそう保護主義色を強めるしかなくなるだろう。クリントンだろうがトランプだろうが、あるいはサンダース(あるいはその陣営)が副大統領に入ろうが、日本経済にとってはあまりいい風は吹きそうにない。
 しかし、アメリカの国民が外交の問題をどう考えるか、戦争の問題をどう考えるか、貧困や格差、差別の深刻化と合わせて明確なビジョンを、市民社会の側から打ち出し、運動へとつなげられるか。それは支持を得られるものとなるか。
 7日付フィナンシャルタイムズ「米大統領選史上、最もえげつない戦い」に敬意を表していえば、アメリカが肥溜めに落ちるか、ふみとどまるか、重大な局面にある、ということになろう。

 米国の政治もひどい状況のようだが、日本はどうか。米国では共和党がその路線を微妙に変化させる可能性が出てきた。日本はどうか。相変わらずの対米従属を右翼カルト路線のみせかけだけ勇ましいという浅ましい政権・与党。それもこれも、さらにはアベノミクスの失敗も幼稚で珍妙なプロパガンダで覆い隠そうと必死の安倍政権。実に惨め極まりない。

 「トランプ氏が成功しようがしまいが、米国の民主主義はもう二度と元に戻らない」だろうと絶望的な分析がなされる一方で、日本の政府与党のクロをシロと言いくるめようとやっきの浅ましさ、憲法を無視した政治を強行しながらその正当化のためにさらに憲法を前時代的なものに変えようという右翼小児病の著しい反知性──。このあまりに話にならない政権・与党を、今度の参院選では国民総出で包囲して、退場に追い込んでいく必要がある。
 いまこそ日本社会は、「平和主義」「民主主義」「人権尊重」の楔を日本の大地の奥深くまで打ち込むときを迎えているといえるだろう。

(つづく)

(こわし・じゅんぞう/日本ジャーナリスト会議会員)


クリントン氏に追い風となるか、オバマ大統領の高支持率(Bloomberg5月31日)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-05-31/O812LX6K50XT01
米大統領選史上、最もえげつない戦い(FinancialTimes7日)
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO03266640W6A600C1000000/


◇トランプ旋風の背後で進む「共和党タカ派一本やり体質」の窮地(2)

posted by JCJ at 16:59 | TrackBack(0) | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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