2016年07月10日

【今週の風考計】7.10─「戦場のピアニスト」が泣いている

NATO首脳会議が、ポーランドの首都ワルシャワで行われた。「ワルシャワ蜂起」にまつわるソ連への怨念を乗り越え、東西冷戦が終結した後、EU諸国が参加する初めての重要な会議で、「第2のベルリンの壁」を設けるような決定をするとは何事か。「ロシア包囲網」の構築を目的に、ポーランドとバルト三国に4千人規模の多国籍軍部隊を、来年から派遣するという。合わせてミサイル防衛システムの拡充、サイバー空間の集団防衛など、新たな「鉄のカーテン」を引く時代へ、逆戻りする重大な決定をした。なぜポーランドが? わずか1カ月前、ポーランドは同国史上最大規模のNATO軍事演習「アナコンダ」を、自国の1万2千の兵士に加え、24カ国から2万人の兵士と戦闘車両3千台・艦船12隻を集めて実施したのだ。ポーランドとリトアニアに挟まれたロシアの飛地・カリーニングラード州の人々にも、不安や孤立の波が押し寄せるだろう。これでは、ショパンのみならず「戦場のピアニスト」が泣くのも無理はない。同時に開催された<対抗サミット>「戦争とNATOにノー」が言うように、「軍拡対応でなく対話と国際的連帯で平和を」でなきゃダメ。(2016/7/10)
posted by JCJ at 11:21 | TrackBack(0) | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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