2016年07月31日

放送法4条撤廃したら米国の二の舞いか/元NHKプロデューサー永田氏講演=小滝一志

 6月18日、都内で「報道の不自由とテレビの危機〜国連『表現の自由』特別報告者デビット・ケイ氏の報告を受けて〜」の集会が開かれた。ゲストは、2001年NHK番組改変事件当時、「ETV2001」のプロデューサーだった永田浩三氏(現在武蔵大学教授)、主催は「NHK報道を市民の手にネットワーク」。
 永田氏は最近のニュースと報道番組を具体的に取り上げながらテレビの危機的状況を告発。  「私は『クロ現』に8年携わり、内5年は編集責任者だった。3月で降板した国谷キャスターがお手本にしていたのは、『フェアであること』を最も大切にしていたテッド・コッペル(米ABC『ナイトライン』で25年間アンカー)。降板のきっかけになったともいわれる菅官房長官とのインタビュー(昨年7月3日放送)では、国谷さんは国民が聞きたいことを代弁してぶつけたに過ぎず、のらりくらりと回答を回避した官房長官こそ責められるべきではないか」

 「福島原発事故で東電が『炉心溶融』を長く隠蔽していた背後に政権の圧力があったと推測する報道がされているが、当時の菅内閣で内閣審議官を務めた下村健一氏の証言を聞くと、『炉心溶融』隠蔽は、首相官邸内部や官僚、メディアそれぞれの『忖度』がこの事態を招いたのではないかと思える。メディアの劣化を指摘したい」
 「消費税増税延期を『新しい判断』として、平然と公約違反発言を展開した安倍首相記者会見で沈黙する記者たちの態度は国民への裏切りではないか。1972年佐藤内閣退陣記者会見では『新聞記者は嫌いだ。テレビはどこだ』と言う首相に記者全員が抗議して退席した。当時の記者たちの気骨を今の記者たちは忘れていないか」
 渦中にあった[ETV2001」番組改変事件を振り返って「人生最大の汚点」と語ったのも印象的だった。
 永田氏は、4月に来日したデビット・ケイ国連「表現の自由」特別報告者のヒアリングにも応じた。「ケイ氏は、日本のメディアの危機的状況を全般的に把握しており、NHK番組改変事件も私の説明を要しないほどよく知っていた。正式な報告書は来年出されるが『放送レポート』7月号に暫定報告書全文が載っているので関心ある方は見て」
 会場との質疑で、「デビット・ケイ氏が『放送法4条撤廃』を提言していたがどう考えるか」との質問に対し、永田氏は「憲法21条『表現の自由』で(政府に)タガをはめているが、放送法4条を外せばテレビは良くなるのか。アメリカではフェアネスドクトリン(公平原則)を撤廃した後、極右的ニュースを垂れ流す『FOXテレビ』が登場した。今、日本で放送法4条を外したら良くなるだろうか」と否定的だった。

(放送を語る会)


*JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2016年7月25日号


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