2016年08月02日

「オバマさん、日本を解放して」 6・19沖縄ルポ 怒り限界を超えた=鈴木 耕

 6月19日、私は那覇市奥武山公園の陸上競技場にいた。この場所で「元海兵隊員による残虐な蛮行を糾弾! 被害者を追悼し海兵隊の撤退を求める県民大会」が開催され、私は参加したのだ。
 長い大会名だが、そこに込められた沖縄の怒りは、私のように県外からの参加者をも打ちのめす。参加者は、追悼の思いを込めた黒い衣服を身に着け、「怒りは限界を超えた」というポスターを手にして会場へ詰めかけた。開会1時間前の午後1時ごろにはグラウンドはほぼ埋め尽くされていた。

◇雰囲気まるで違う

 本土の集会とは雰囲気がまるで違う。若い女性の命が奪われたという事実が圧倒的に重い。
 私は、いろんな人に話を聞いた。ぶしつけな私の質問にも、みなさんは快く答えてくれる。沖縄の怒りと悲しみを伝えたい……。それが答えてくれた人たちの心情だったろう。
 読谷から一人で参加した高校3年生のHくん。「担任の先生にいろいろと教わって、自分の目で確かめようと思い参加しました」
 嘉手納基地爆音訴訟団の旗の下にいた新垣さん(72)は「沖縄に基地がある限り平和な生活はおくれない。ジェット機の爆音とこの女性殺害事件の根っこは同じです」
 読谷に2年ほど暮らしているフランス人女性のエブリーヌさんは「外国人だって基地に反対。軍人の暴力は許せません」
 「沖縄ママの会の人たちと一緒に参加しました」というのがSさん(31)。「子どものことを考えたら、居ても立ってもいられませんでした。絶対に基地はいりません」
 旧知の衆院議員・仲里利信さんにも会場でお会いした。
 「自民党・公明党が不参加ということで沖縄の総意ではない、などという人がいるが、この人数を見てください。私は元自民党の県会議長ですよ。いわば保守本流。その私が参加している、オール沖縄である証拠でしょう」

  ◇嗚咽と涙に包まれる

 主催の「オール沖縄の会」の共同代表のひとりでもある名桜大学4年生の玉城愛さんのスピーチに、会場が静まり返る。
 「安倍晋三さん、本土にお住いのみなさん。今度の事件の第二の加害者は誰ですか。あなたたちです。しっかり沖縄に向き合っていただけませんか。いつまで私たち県民はバカにされるのですか……」
 スピーチは何度か涙と嗚咽で中断された。そのたびに玉城さんは、気を取り直したように顔をあげて空を見上げる。「もしかしたら被害者は私だったかもしれない。私の友人だったかもしれない」と言葉をつなぐ。会場からも嗚咽が漏れる。「オバマさん、アメリカから日本を解放してください」
 私はステージからの言葉に参加者が涙するのを初めて体験した。あれは私だったかもしれない……という恐怖と哀しみ。

◇マンデラと二重写しに

 翁長知事の最後の沖縄言葉での叫びが、会場を揺るがす。「グスーヨー、マケテナイビランドー(みんな、負けてはならない!)」
 大きな拍手と指笛の中、翁長さんは退場していった。思わず「敗れざる者」という言葉が浮かんだ。あのマンデラ大統領が二重写しに見えた。

*JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2016年7月25日号


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posted by JCJ at 02:00 | TrackBack(0) | 九州・沖縄 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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