2016年11月11日

米大統領選:TPP反対のトランプ氏が勝利/あえて強引に可決しながら、次期大統領詣でにまっしぐらの日本の首相の政治音痴

 10日、衆院本会議。
 山本農相に対する不信任決議案(民進、共産、自由、社民の野党4党が提出)を反対多数で否決。
 あれだけの暴言・珍言で議会を愚弄した閣僚を。安倍自公政権は野放しのうえ擁護した。
 またこの日の衆院本会議は、自公与党と日本維新の会の賛成多数で、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)承認案と関連法案を可決、衆院を通過させた。

(JCJふらっしゅ「報道クリップ」増補版=小鷲順造)


 TPPは参加12カ国でも経済規模の大きい米国議会が承認しなければ発効しない。それに8日の大統領選で勝利したトランプ氏は「来年1月20日の大統領就任日にTPP脱退を宣言する」(共同通信)としており、日本など他の参加国に再交渉を求める考えもないとしている。にもかかわらず、この日採決を強行したのはなぜなのか。ただの行きがかり上のメンツがそうさせているのなら、愚かこの上ないということになろう。

 米国は、オバマ政権が年内の議会承認を目指していたが、大統領選ではTPP脱退を掲げた共和党のトランプ氏が勝利した。
 マコネル上院院内総務(米議会で過半数を占める共和党の重鎮)は、9日の記者会見で「環太平洋連携協定(TPP)が年内に議会に提出されることは確実にない」と述べている(→同)。

 また、日本と同様に早期の議会承認を目指してきたニュージーランドは、TPPに関連する国内法改正案の審議が終盤にきているが、キー首相は10日、米大統領選でトランプ氏が勝利したことを受けて、TPPが来年1月までの間に開かれる米国のレームダック(死に体)議会で「承認される可能性はゼロに近い」と述べている。

 10日、テレビ朝日は、「4日の特別委員会でTPP関連法案の採決を強行して以来、本会議での採決ができなかった与党側は、この後、午後1時から本会議を開いて法案を通過させる方針です。政府・与党は、TPPに反対してきたトランプ氏の勝利に戸惑いながらも協定の批准に向けた日本側の姿勢は変えないとして、あくまでも10日の採決にこだわっています」とニュースで伝えた。

 民進党の山井国対委員長は「(トランプ氏が大統領に決まったなかで)国会でTPPについて強行採決する。国民からも世界からも全く理解されないと思います」と話した。
 同ニュースは、民進党幹部のひとりは、トランプ氏の勝利でTPP協定そのものが風前の灯となっているなか、このまま安倍政権が審議を進めれば傷が深くなるだけだとして、参議院でも追及していく方針を示したことを伝えた。

 なお、首相の安倍氏は10日午前、米大統領選に勝利した共和党のトランプ氏と電話会談し、米ニューヨークで今月17日に会談する方向で調整を進めることで合意した。共同通信によると、安倍氏はトランプ氏に祝意を表明したうえで、アジア太平洋地域の平和と繁栄の確保に向け、日米同盟強化を両氏は確認したという。安倍氏は、今月中旬にペルーで開かれるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議への出席に先立って、ニューヨークを訪問する意向なのだという。

 ところで首相の安倍氏といえば9月(つまり大統領選直前)にヒラリー候補と会っている。
 産経新聞が9月20日付で、以下のように書いている。

 ――9月19日午後(日本時間20日朝)、米大統領選民主党候補ヒラリー・クリントン前国務長官を米ニューヨーク市内のホテルで迎えた安倍晋三首相は、こう語りかけた。女性政策を持ち出しつつ、クリントン氏との個人的な“信頼関係”を見せつけることで、共和党候補のドナルド・トランプ氏への不信感をにじませたのだ。――

 ――会談すればクリントン氏に「肩入れ」したとも受け取られかねない。それでも首相が踏み切ったのは、日米同盟を覆しかねない言動を繰り返すトランプ氏が大統領になることへの危機感を強めているからだ。トランプ氏は在日米軍の撤退や日韓の核武装容認論などに言及しており、そうなれば厳しさを増すアジア太平洋地域の安全保障環境は混迷に陥りかねない。安全保障問題で現実的な路線を取るとみられるクリントン氏とあえて会談することで、トランプ氏を牽制(けんせい)する狙いがあったようだ。――

 まるで太鼓もちのような記事。浮かれている記者の姿が目に浮かぶようだ。

 まったく自主自立どころか節操も先読みもマナーも何もあったものではない。
 そういうご仁が日本の首相をやっている。恥ずかしいことである。
 後先を考えず、ただ自己満足と自己保身のために前のめりにつんのめる首相の安倍氏はじめ安倍自公右翼カルト政権。どたばたもいいところである。
 TPPの件で米国の現政権に恩を売ろうとしたその勢いで、真逆の次期大統領に階段を半歩上がった状態で見下ろしながら交渉を有利に進めようとする算段のように受け取られかねない。米大統領には、どなたにも誠心誠意、忠誠を誓いますのでとお得意の対米従属ぶりを見せれば見せるほど交渉の主導権はそのまま先方に移る。
 役所などはそこまで見越して、「最後は先方に主導権を握っていただき、日本はそれにぶらさがって生きるコバンザメぶりを発揮するのが筋です」と考えて許容したのかもしれないが、トランプ氏がまんまとそれに乗ってくるかどうか――。

 9日にはベトナム政府が、日本などが受注を決めた中部ニントゥアン省の原発建設計画を白紙撤回する方針を決めた。ベトナム国会は同日、政府が計画の中止を求める決議案を10日に提出することを明らかにした。計算違いや番狂わせとの言い訳では到底すまない変化が、レトリックだけは得意な日本の愚政を襲っている。(→共同通信)

山本農相の不信任決議案、衆院本会議で否決(読売新聞10日)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161110-00050071-yom-pol
TPP承認案と関連法案が衆院本会議で可決(共同通信10日)
http://this.kiji.is/169359207387938818
TPP承認案 衆院本会議で可決(毎日新聞10日)
http://news.yahoo.co.jp/pickup/6220494
米、TPPの年内承認見送りへ 議会重鎮「確実にない」(共同通信10日)
http://this.kiji.is/169220041334030341
TPP可能性ゼロに近い ニュージーランド首相(共同通信10日)
http://this.kiji.is/169302334872946172
トランプ氏勝利で風前の灯?TPP法案 衆院で採決へ(テレビ朝日10日)
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/ann?a=20161110-00000023-ann-pol
首相、トランプ氏17日会談へ NYで、米軍駐留経費など焦点(共同通信10日)
http://this.kiji.is/169225578375249924?c=39546741839462401
安倍晋三首相とヒラリー氏の会談、米大統領選直前に“異例” にじむトランプ氏への不信感、日米同盟崩壊への危機感(産経新聞9月20日)
http://www.sankei.com/politics/news/160920/plt1609200035-n1.html
日本受注のベトナム原発計画白紙 財政難理由、政権輸出戦略に打撃(共同通信10日)
http://this.kiji.is/168978958645937661


▽獲得票数では、クリントン氏がトランプ氏をわずかに上回った

 今回、米大統領選を制したのは共和党候補のドナルド・トランプ氏だった。
 選挙人獲得数で過半数に達し、民主党候補のヒラリー・クリントン前国務長官は9日、敗北宣言を行い、大統領としての成功を祈ると述べ、トランプ氏と協働する意向を表明した。
 しかし一般投票の獲得票数でみると、クリントン氏のほうがトランプ氏をわずかに上回っている。(→AFP、CNN)
 クリントン氏6008万6148票(47.7%)に対し、トランプ氏は5979万8956票(47.5%)だった(→CNN)。
 米国では大半の州で勝者が選挙人を総取りする「選挙人団(Electoral College)」制度を採用している。トランプ氏が全選挙人538人のうち290人を獲得して勝利した。

 2000年の大統領選でも、アル・ゴア氏(民主党)が投票数の48.4%を獲得し、ジョージ・W・ブッシュ氏(共和党)が47.9%を得たが、選挙人の獲得数によって、ブッシュ氏が勝利して「物議を醸した」(AFP)。
 選挙制度の問題とは直接結びつかないが、それによって「ブッシュの戦争」の時代が到来し、中東・米国双方に大きな傷跡を残し、さらに膨大な戦費のツケを次代のオバマ政権に抱え込ませることになった。オバマ・ケアは中途半端にゆがめられ、核廃絶のビジョンは道半ばだ。戦争への介入に抑制的な政権は弱腰とののしられ、議会では共和党が議席を伸ばしてきた。
 軍事費における財政的な限界が米軍と日本の自衛隊の「融合」の流れを加速させながら、ブッシュ政権の「米国一強」の時代は終焉し、米国内に弱肉強食の嵐を吹かせて深刻な中間層の没落の時代を迎える。
 オバマ政権が最後までこだわったTPPは、深刻な格差と貧困が蔓延するなかで、その打開策としてアピールするための数少ない経済政策のひとつであった。
 だが、米国の市民社会はTPPに反対の声を強め、今回の大統領選では両候補ともそれぞれ言い方は異なるものの、クリントン氏もトランプ氏もTPP反対の姿勢を打ち出してきた。
 クリントン氏が当選した場合、1月の新大統領就任式までの期間をつかってオバマ氏は議会の承認を得ようとするだろうといわれてきたが、勝者は同じ民主党陣営のクリントン氏ではなくトランプ氏である。オバマ氏はその機会を失ったとみていいだろう。ましてトランプ氏は、民主党だけでなく従来の共和党陣営に対しても、米国をだめにした「エスタブリッシュメントたち」とこきおろして敵視してきた人物である。

 獲得選挙人の数と得票数の差の問題から話が横道にそれたが、その問題についてはAFPが10日、「一般投票で勝っても米大統領になれない制度、改正求める声も?」の記事を出して、<こうした展開で共和党の大統領候補が勝利するのは今回が2度目で、選挙制度の改革を求める声が上がりそうだ>と書いているので参照してほしい。ここでは出口調査のデータをもとに、投票行動の細部に少し目を向けておくことにする。

 CNNの出口調査(2万4537人から回答を得た)によると、投票行動の傾向は以下のとおり。
 トランプ候補が圧倒的な白人票に支えられたというのは伝えられているとおりだが、白人女性もクリントン氏よりトランプ氏に投票した人の方が上回った点には注目しておきたい。そこにトランプ氏のこれまでの暴言やスキャンダルに対する白人コミュニティの独自の受け止めが存在していることが仄見えてこないだろうか。一方で、黒人女性のほとんどがトランプ候補に入れなかった点にも注目しておくべきだろう。
 年齢別では、18歳〜44歳まではクリントン氏が優位に立ち、45歳以上ではトランプ氏が優勢だった。この年代による差の中に、民主党サンダース陣営が切り開き、大きく広げた貧困や格差に対する異議申し立て、米経済社会の民主的改革の流れは、どのような投票行動へと位置づくことになったのか知りたいところである。

<投票先別男女比率>
クリントン候補に投票 男性41% 女性54%
トランプ候補に投票  男性53% 女性42%

<年齢別投票先>
18−29歳 クリントン氏:55% トランプ氏:37%
30−44歳 クリントン氏:50% トランプ氏:42%
45−64歳 クリントン氏:44% トランプ氏:53%
65歳 以上 クリントン氏:45% トランプ氏:53%

<人種・性別>
白人男性 クリントン氏:31% トランプ氏:63%
白人女性 クリントン氏:43% トランプ氏:52%
黒人男性 クリントン氏:80% トランプ氏:13%
黒人女性 クリントン氏:93% トランプ氏: 4%

2016 election results(CNN)より
http://edition.cnn.com/election/results
*上記ページに<人種・性別>は見当たらなくなっている。

 また、NHKが出した【アメリカ主要メディア 全米出口調査】によると、【人種別】では以下のようになっている。

【白人】      クリントン氏:37% トランプ氏:55%
【黒人】      クリントン氏:87% トランプ氏: 8%
【ヒスパニック系】 クリントン氏:65% トランプ氏:27%

NHKアメリカ大統領選挙(ツイッター)
https://twitter.com/nhk_US_Election/status/796234161765785600?ref_src=twsrc%5Etfw

 ここで本稿、本年6月11日付の記事を振り返っておきたい。
 あの段階ですでに、クリントン氏が当選を果たすために陥ってはならないことや、トランプ候補の潜在的な強みについては、さまざまな方面から出ていた情報を総合するなかでみえてきていた。トランプ氏がクリントン氏よりも勢いを増してくる可能性にも触れておいた。
 そしてトランプ氏が勝利したいま、あらためてトランプ氏の放つ極論や従来の共和党との違い、民主党との違いなどについておさらいしておくべきだろうと思う。
 以下、記事の一部を抜き出して要約しておく。

1)たとえば、トランプ候補について、「保護主義」の流れを、共和党支持者内部に持ち込もうおとしているのではとらえてみると、いろいろ見えてくるものがある。 もちろん、民主党の傾向とされてきた「保護主義」とは異なるが、それへの相似性に気づく。
 ──いまは外国にかまっている暇はない、アメリカは自分の国を立て直すときだ、誇りを取り戻すにはまずそこからだ。──

2)極端な排外政策を唱え、極端に自国への閉じこもりを主張する姿勢は、ブッシュ政権の残した膨大な戦費のツケに苦しむ庶民の要求と適合する。トランプ氏の放つ極論は、従来の共和党のタカ派的政策を転換しろという同党支持者のホンネとも合致するように思える。 共和党を押し上げようと極端に右ブレして浮上した「ティーパーティー」の流れとも異なり、見方によっては栄光ある孤立を選んで、自国内部を立て直せという主張とも読み取ることもできる。

3)クリントン氏は、旧来の民主党政権の黄金時代をもう一度といっているだけのようでもあり、民主党政権にさらなる変化を求める層とは真っ向から対立する。クリントン氏自体が、既存の経済界に加担し、弱肉強食の流れを止めようとしない腐敗した政治家のようにみられており、毛嫌いされる傾向も顕著になっている。

4)改革を好む米国の大統領選挙の傾向からいえば、トランプ氏のほうが従来の共和党の路線を変えようとしている点で、クリントン氏よりも勢いを増してくる可能性を秘めているともいえるだろう。世論調査では、クリントン氏をトランプ氏が猛追している状況がある。

5)タカ派のポーズを崩せない共和党を、強気のポーズはそのままで大胆に改革しようとすると、トランプ氏のような極端な排外主義を煙幕として掲げながら利己主義をあおり、個人の生活を最優先させようと叫んで、共和党の路線を世界のタカ派から個人主義へと誘導する詐欺師的な匂いをふんぷんとさせたショーマンの登場が必要だったのかもしれない。

6)共和党はもはや、軍産複合体の隆盛最優先のタカ派一本やりでは十分な支持を得られなくなってきている、ともいえるのかもしれない。これまでの政治の常識を取っ払い、あくまで米国の利益を最優先しよう呼びかけるトランプ氏のその利己的な姿は、労組の支持を基盤にもつ従来の民主党の保護主義とはまた異なる側面をもっているようでもある。

▽素晴らしい経済プランがあります。国の成長を倍増させます

 トランプ氏は勝利演説で「私は全てのアメリカ人の大統領になる」と語り、「今こそ私たちは、一致団結した国民の姿を見せるべきです」「私を支持しなかった方にも、私は手を差し伸べます」と、自身を支持しなかった人々に歩み寄る姿勢を見せた(→huffingtonpost)。また「世界に向けて宣言します。私たちは、常にアメリカの利益を最優先しますが、全ての人・国に公正に対応します。紛争や対立ではなく、この機会にパートナーシップを。共通認識を探っていきます」(同)。

 クリントン氏は翌日、「昨夜、私はドナルド・トランプ氏に祝意を伝え、私たちの国のために彼と協力すると申し出た」「私は彼が全ての米国民にとって成功を収める大統領となることを願っている」(AFP)と表明した。また、今回の選挙によって米国が「私たちが思ったよりも深く分断されている」ことが示されたと述べた上で、「私たちは広い心を持ち、彼に指導者としてのチャンスを与える義務がある」と呼びかけた。

 民主党はサンダース陣営が巻き起こした改革の波を、結局、クリントン候補の選挙で活かせなかった。副大統領候補にその流れを具現化すべきだったがそうしなかったし、選挙戦ではトランプ氏のスキャンダルに乗って相手をこきおろせば勝てると踏んでいた形跡もある。最後は「既存のエスタブリッシュメントとは無縁」を訴え、それまでの暴言の数々を正当化するように「既存の体制に一撃」を食らわせようというトランプ氏のキャンペーンが競り勝った。それは破壊衝動に訴えながら、大規模公共事業への期待で民意を引き寄せようとする、非常にわかりやすい戦術だったように私には思えた。

 一般投票の翌日9日、米国の各地でトランプ氏に抗議する集会やデモ行進が広がった。共同通信は以下のように伝えた。

 ――8日の米大統領選で勝利を決めた共和党のトランプ氏に抗議する集会やデモ行進が、9日にかけて全米各地で行われた。一部の参加者が暴徒化して店舗の窓ガラスを割ったり、米国旗を燃やしたりした。インターネット上では、ヒスパニック(中南米系)の移民やイスラム教徒に対する排外的な発言を繰り返したトランプ氏を非難し、抗議行動への参加を求める呼び掛けが続いた。大半が平和的な抗議活動で、警官隊との大規模な衝突などは起きなかったもようだ。
 AP通信などによると、カリフォルニア州オークランドでは約250人が抗議。一部が高速道路に進入し通行車両を壊そうとした。――

 一方でトランプ旋風に便乗したとも思われるレイシストの暴走の事例が続く。弱者に対する排斥や脅迫、暴行など深刻な動きについて、日本のメディアも確実に報じていく必要があろう。次期政権を手中にしたトランプ陣営は、トランプ氏が吐いてきた暴言の数々を真に受け、それをまねたさまざまな暴言や暴力行為をどのように鎮めるのか。次期政権にとって非常に重要な、ある意味では政治家としてトランプ氏を見極めていく上で、最低限のハードルともいえることだからだ。(例:→ https://twitter.com/ShaunKing/status/796522266683179008 )

 なおAFPが10日、「トランプ氏勝利 同盟国は慎重姿勢、極右は歓迎 各国の反応まとめ」の記事を出しているでの、一読されたい。

 ドイツのメルケル首相は、トランプ氏が物議を醸す発言を繰り返したことに言及し、「ドイツと米国は民主主義、自由、法の支配の尊重、そして、出自や肌の色、宗教、性別、性的指向、政治的信条に左右されない人間としての尊厳という価値観を共有している」(AFP)と述べ、首脳としての責任について念を押すのを忘れなかった。決まったとはいえ就任式も終えていない。そのトランプ氏のご機嫌取りに脇目も振らず出かけていく日本の首相とは大違いである。

 AFPは極右勢力の歓迎ぶりも伝えている。
 仏極右政党「国民戦線」のマリーヌ・ルペン党首は、トランプ氏の当選は「わが国にとって良い知らせだ」と歓迎。
 ハンガリーで強硬な反移民政策を進める右派連立政権を率いるオルバン・ビクトル首相「素晴らしい知らせだ。民主主義はまだ生きている」と、トランプ氏に祝意を表明。

 トランプ氏は勝利演説で次のように強調した。
 ――私たちには素晴らしい経済プランがあります。国の成長を倍増させます。世界で最も強い経済を作り出していきます。――
 ――また、私たちと「良好な関係を築きたい」という国とは、うまく付き合っていきます。素晴らしい関係を築けることを期待しています。――

 トランプ次期米政権がどのような路線を歩もうとするのか。中間層の没落を引き起こし、放置してきた民主・共和両党のエスタブリッシュメントとは無縁であることをアピールして勝利をもぎとったこの陣営が選ぶ道は平和か戦争か、米軍産複合体との距離、金融資本との関係はどうなっていくのか。

 また日本の基地問題や貿易の問題をどのようにとらえようとしてくるのか。独自の費用対効果を含んだ判断や交渉も出てくるものと予想される。それは自民党に代表される日本の対米従属政治にとって試練となるのか、それは日本の脱皮の一大チャンスとなって訪れるのか。日本社会は米国に訪れたこれまでの共和党政権にない新たな流れをいかに受け止め、日本の平和主義、民主主義、人権尊重社会の基盤の再構築にいかに生かしてゆくのかを問われることになる。

 まずは、これから1月の就任式まで、日本社会としては、次期政権中枢、ブレーンの顔ぶれ、官僚・役人の人事など、急速に広がりをみせ、固められていく陣営の動きをウオッチして、次期政権の進む方向の大枠を、しっかりと見極めていかねばならない。

(こわし・じゅんぞう/日本ジャーナリスト会議会員)


一般投票で勝っても米大統領になれない制度、改正求める声も?(AFP10日)
http://www.afpbb.com/articles/-/3107442?act=all
トランプ新大統領が勝利宣言「私は全てのアメリカ人の大統領になる」(演説詳細)
(The Huffington Post 9日)
http://www.huffingtonpost.jp/2016/11/09/trump-speaks-11-09_n_12877868.html
クリントン氏が敗北宣言 トランプ氏との協力表明(AFP10日)
http://www.afpbb.com/articles/-/3107417?cx_tag=pc_rankday&cx_position=1#cxrecs_s
全米各地でトランプ氏に抗議 一部が暴徒化、ガラス割る(共同通信10日)
http://this.kiji.is/169247474089345026
トランプ氏勝利 同盟国は慎重姿勢、極右は歓迎 各国の反応まとめ(AFP10日)
http://www.afpbb.com/articles/-/3107416?act=all



◎「JCJふらっしゅ」(メールマガジン)
http://archives.mag2.com/0000102032/

posted by JCJ at 05:27 | TrackBack(0) | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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