2016年12月04日

終末迎えるアメリカ帝国主義=伊藤力司

 米大統領選挙はアメリカ本国はじめ世界中のメディアの予想を裏切ってドナルド・トランプ共和党候補が当選、ヒラリー・クリントン民主党候補が苦杯をなめた。本紙先月号で筆者も、ヒラリー氏の当選をほぼ確実と書いた不明をお詫びする次第である。  来年1月20日に第45代合衆国大統領に就任するトランプ氏が「アメリカは世界の警察官であることをやめる」という公約をどう実現するか。世界は、第2次大戦後70年余「パックス・アメリカーナ」を維持してきたアメリカ帝国の終末を見ることになるはずだ。
 当面の焦点である中東危機を「トランプのアメリカ」はどう収めるか。今のところ見えてきたのは「プーチンのロシア」を前面に立ててシリアの戦火を消し、IS(イスラム国)壊滅作戦を急ぐ。これまで米国が掲げてきたシリアのアサド政権追放は当面うやむやになる。

 もしヒラリー氏が当選したと仮定すれば、彼女のバックにいる軍産複合体はアサド打倒の旗を降ろさせず、その結果中東の戦火を根絶やしにすることはできなくなるだろう。
 ロシアとイランをバックにしたアサド政権が反体制派(ISとその他のイスラム過激派)を制圧すれば、イラク第2の都市モスルにこもるISの壊滅は早まるはずだ。
 「世界の警察官」をやめて「アメリカを再び強大国にする」というのがトランプ氏の主要公約だが、ブッシュ時代のアメリカがイラク戦争やアフガン戦争で国費を浪費した結果、依然として世界一の経済大国であるアメリカも財政大幅赤字国に転落した。

 一方、トランプ氏はこれまでアメリカがリードしてきたグローバル主義の看板を下ろし「アメリカ第一主義」で進むつもりのようだが、「世界一の経済大国」はグローバル資本主義のおかげで成り立っている。この矛盾にどう折り合いをつけるのか。
 「世界の警察官であることをやめる」ことは、すなわちアメリカ帝国主義の看板を下ろすということだ。しかし世界一の経済大国アメリカのGDP(国内総生産)17兆ドル超と第2位の中国の10兆ドル超の数字を見比べても、米国の力を軽視することはできない。

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2016年11月25日号


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posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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